交渉とは言葉を武器にした戦いである――。世界一の交渉成功率を誇る交渉人(ネゴシエイター)・別府勇午(べっぷゆうご)のもとに現れた涙を浮かべた若い女性・岩瀬繭子(いわせまゆこ)。「どうか、お願いです……父を……たすけてください」1人の日本人サラリーマンが反政府ゲリラ集団に誘拐され、多額の身代金が要求される事件が起きていた。勇午は繭子の思いとともに単身パキスタンへ向かう。ダコイットとパキスタン政府軍の思惑が絡む灼熱の大地で、勇午の交渉(ネゴシエーション)は成功するのか!?
中学生の三木涼太は、母ひとり子ひとりで仲むつましく見えていたが、いつも母は息子の一挙手一投足に怯えていた。一方、クラスメイトの笠井薫は過保護な親に辟易し、自分がイジめられるのはの母親が悪いと考えていた。そんなある日、イジメを助けたことがきっかけで、ふたりははじめて会話をするが…!? 究極の母性に取り憑かれた少年のサイコ・サスペンス!
養母と暮らす中学生の主人公、三木涼太。 最序盤は仲睦まじい親子関係のように見えますが、勿論そんなものは虚像です。 涼太の生い立ちは詳しく述べられていませんが、「理想の母親」を探して物語開始以前から様々な女性のもとで暮らしていた様子。 そしてそんなひと回り、あるいはふた回り以上歳の差があろう養子の機嫌を取ろうと必死な養母。 また涼太の友人となるいじめられっ子の薫とその母。 病的はまでに過干渉な母。こちらの親子関係も歪でおかしいです。 つまるところ、登場人物全員頭のネジが飛んでいます。 コマ割りは描き込みがすっきりしていて読みやすく、絵に癖もないのでとっつきやすいです。 でもところどころ生理的嫌悪感を煽る描写があって、さすがに手放しにおすすめはできかねる作品。 サイコサスペンス好きならおすすめです。
by せーふぁ (1047)時は遥かに遡る。ごく普通の少女・田無美代子は、事故で両親を失ってしまう。孤児院へ行った美代子を待っていたのは凄惨な虐待だった。そしてそこから、昭和58年6月の雛見沢へ至る、運命の扉が開かれていく……。「ひぐらしのなく頃に」シリーズの完結編がついにスタート。すべての謎が明かされる――!!
「ひぐらしのなく頃に・解」4作目にして最終章、祭囃し編のコミカライズ。 前作では、ミステリーの枠をとっぱらってしまい、オヤシロ様や未知の病原体、国家的な秘密組織を登場させ、真面目に考察していた層を阿鼻叫喚させることになりました。 本作は完全にそれありきのため、過去作とは違い、少年少女の冒険活劇のような展開となっています。 "未知のウイルス"、"ヤマイヌ"と呼ばれる特殊部隊、突拍子もない話を訴える少女と、それを信じ行動する仲間たちが激突する物語です。 もはや惨劇ではなく、今までの物語を終わらせるためのクライマックスそのものでした。 第1巻表紙の少女は、幼き日の"鷹野三四"です。 鷹野三四の生い立ちから、入江京介、富竹ジロウの招待、これまでの鬼隠しの舞台裏が描かれており、かなり非現実的な内容ではあるものの、これまでの惨劇にまるっと説明がつけられているのは見事と思います。 雛見沢症候群という病について対策が示せていないのが気になりますが、本作でようやくハッピーエンドで終了していて、一作目製作時点でここまでプロットを考えていたとして紛れも無い名作と思いました。 圭一もレナも魅音も沙都子も梨花ちゃんも詩音も羽入も、かつて見せた表情は本作には無く、本作では未来を掴むためにみんなで協力して戦う前向きな姿が見られます。 これまでの作品を追ってきた身からするとその姿だけで非常に感動的で、同時に終わりが近いことを感じられ、寂しさもありました。 なお、中盤にある人物の頭を生きたまま開いて脳をいじくるという"猿脳"を彷彿させる禍々しいシーンがある他、序盤、幼少期の三四が壮絶な虐待を受けるシーンがあるなど、グロ・ホラーなシーンは本作でも健在です。 後半までは暗い展開となるので期待していいと思います。 なお、終盤、有名な"ひぐらしコピペ"のシーンがあるのですが、なんか感動しました。 コピペだけ見ると痛いセリフでしかないですが、一連の流れの中で読むと自然で、何より熱いセリフのように感じられます。 このシーンや、機関車富竹、入江京介の固有結界・メイドインヘブンのシーンは象徴的な名場面ですね。 メインストーリーは本作で終了ですが、コミック版はいくつかサブストーリーやオリジナルストーリーがあるので、そちらもあわせて読む予定です。
by うにたべたい (528)何事にも中途半端なサエない人生を送る、童貞の漫画専門学生・御子柴亮。 ある日突然、身に覚えのない謎のスマホが届く。 それは、ラブホを覗き見できたり、信号機を自在に操作できる 違法なアプリ満載のスマホだった!! 神にも悪魔にもなれるスマホを手にした御子柴の行動とは!? 絶対ハマる! 予測不可能なジェットコースターストーリー!!
高校2年生の金田一一(はじめ)は、いつもは気の抜けたひょうきん者だが、実は、かの名探偵・金田一耕助の孫! ひとたび事件に関われば、明晰な推理力で犯人が仕掛けた難解なトリックに、幼なじみの七瀬美雪と共に挑んでいく!! タイトル新たに、パワーアップ!! 一(はじめ)の名推理がますます冴え渡る!!
舞台は昭和57年。双子の妹という事で忌むべき存在だった園崎詩音は、園崎家頭首の意向に背き興宮の街に戻ってくる。詩音を襲う不安と孤独。だがそんな彼女の前に一人の少年が現れる。彼の名は北条悟史。悟史との出会いが詩音の運命を大きく変えていくのだった! 「ひぐらしのなく頃に 綿流し編」で語られなかった謎が、今明かされていく――!!
「ひぐらしのなく頃に」解答編1作目、目明し編のコミカライズ。 出題編の2章・綿流し編の舞台裏で、園崎詩音の視点で語られています。 出題編までは全てコミック全2巻にまとめられていましたが、解答編からは巻数が増え、本作も全4巻となっています。 全寮制の学園を抜け出して、故郷に戻ってきた園崎詩音は、園崎家にその事が盛れるのを恐れて輿宮で園崎魅音を語り生活を続ける。 そんな折、魅音のクラスメートである北条悟史に出会い、少しづつ彼に惹かれてゆく。 そんな折、北条悟史と妹の沙都子をいじめていた彼らの叔母が殺される事件が起き、悟史は容疑者として警察に連れていかれそうになるが、とっさに詩音は、自分が魅音では無いこと、二人でいたアリバイがあるという嘘の証言をしてしまう。 園崎家に連れてこられた詩音は、園崎家当主・園崎お魎の前で、"けじめ"をつけさせられる。 この"けじめ"のシーンを初めとして拷問や殺人を実行するシーンが多く、寒村舞台にしたミステリーというよりは残虐性の高い展開が印象深いです。 復讐という名のもとに、部活メンバーや村の権力者が次々に殺されますが、過去の、"何が起きたかよく分からないまま殺されていく"という展開に比べると、解答編らしい分かりやすい内容だと思いました。 ただ、結局のところ詩音の考えたシナリオは正解ではなく、重要な部分は本作を持ってしても依然として闇の中となっています。 本作で描かれたのは、あくまでも綿流し編の舞台裏であり、惨劇の答えは次回以降の物語を読む必要があります。 ただ、綿流し編で起きていた不可解な事象の一部は解消されており、パズルのピースがハマるようなおもしろさがありました。 ラストはまだやっぱり後味が悪い感じです。 次作も引き続き読む予定。
by うにたべたい (528)