時は遥かに遡る。ごく普通の少女・田無美代子は、事故で両親を失ってしまう。孤児院へ行った美代子を待っていたのは凄惨な虐待だった。そしてそこから、昭和58年6月の雛見沢へ至る、運命の扉が開かれていく……。「ひぐらしのなく頃に」シリーズの完結編がついにスタート。すべての謎が明かされる――!!
「ひぐらしのなく頃に・解」4作目にして最終章、祭囃し編のコミカライズ。 前作では、ミステリーの枠をとっぱらってしまい、オヤシロ様や未知の病原体、国家的な秘密組織を登場させ、真面目に考察していた層を阿鼻叫喚させることになりました。 本作は完全にそれありきのため、過去作とは違い、少年少女の冒険活劇のような展開となっています。 "未知のウイルス"、"ヤマイヌ"と呼ばれる特殊部隊、突拍子もない話を訴える少女と、それを信じ行動する仲間たちが激突する物語です。 もはや惨劇ではなく、今までの物語を終わらせるためのクライマックスそのものでした。 第1巻表紙の少女は、幼き日の"鷹野三四"です。 鷹野三四の生い立ちから、入江京介、富竹ジロウの招待、これまでの鬼隠しの舞台裏が描かれており、かなり非現実的な内容ではあるものの、これまでの惨劇にまるっと説明がつけられているのは見事と思います。 雛見沢症候群という病について対策が示せていないのが気になりますが、本作でようやくハッピーエンドで終了していて、一作目製作時点でここまでプロットを考えていたとして紛れも無い名作と思いました。 圭一もレナも魅音も沙都子も梨花ちゃんも詩音も羽入も、かつて見せた表情は本作には無く、本作では未来を掴むためにみんなで協力して戦う前向きな姿が見られます。 これまでの作品を追ってきた身からするとその姿だけで非常に感動的で、同時に終わりが近いことを感じられ、寂しさもありました。 なお、中盤にある人物の頭を生きたまま開いて脳をいじくるという"猿脳"を彷彿させる禍々しいシーンがある他、序盤、幼少期の三四が壮絶な虐待を受けるシーンがあるなど、グロ・ホラーなシーンは本作でも健在です。 後半までは暗い展開となるので期待していいと思います。 なお、終盤、有名な"ひぐらしコピペ"のシーンがあるのですが、なんか感動しました。 コピペだけ見ると痛いセリフでしかないですが、一連の流れの中で読むと自然で、何より熱いセリフのように感じられます。 このシーンや、機関車富竹、入江京介の固有結界・メイドインヘブンのシーンは象徴的な名場面ですね。 メインストーリーは本作で終了ですが、コミック版はいくつかサブストーリーやオリジナルストーリーがあるので、そちらもあわせて読む予定です。
by うにたべたい (525)舞台は昭和57年。双子の妹という事で忌むべき存在だった園崎詩音は、園崎家頭首の意向に背き興宮の街に戻ってくる。詩音を襲う不安と孤独。だがそんな彼女の前に一人の少年が現れる。彼の名は北条悟史。悟史との出会いが詩音の運命を大きく変えていくのだった! 「ひぐらしのなく頃に 綿流し編」で語られなかった謎が、今明かされていく――!!
「ひぐらしのなく頃に」解答編1作目、目明し編のコミカライズ。 出題編の2章・綿流し編の舞台裏で、園崎詩音の視点で語られています。 出題編までは全てコミック全2巻にまとめられていましたが、解答編からは巻数が増え、本作も全4巻となっています。 全寮制の学園を抜け出して、故郷に戻ってきた園崎詩音は、園崎家にその事が盛れるのを恐れて輿宮で園崎魅音を語り生活を続ける。 そんな折、魅音のクラスメートである北条悟史に出会い、少しづつ彼に惹かれてゆく。 そんな折、北条悟史と妹の沙都子をいじめていた彼らの叔母が殺される事件が起き、悟史は容疑者として警察に連れていかれそうになるが、とっさに詩音は、自分が魅音では無いこと、二人でいたアリバイがあるという嘘の証言をしてしまう。 園崎家に連れてこられた詩音は、園崎家当主・園崎お魎の前で、"けじめ"をつけさせられる。 この"けじめ"のシーンを初めとして拷問や殺人を実行するシーンが多く、寒村舞台にしたミステリーというよりは残虐性の高い展開が印象深いです。 復讐という名のもとに、部活メンバーや村の権力者が次々に殺されますが、過去の、"何が起きたかよく分からないまま殺されていく"という展開に比べると、解答編らしい分かりやすい内容だと思いました。 ただ、結局のところ詩音の考えたシナリオは正解ではなく、重要な部分は本作を持ってしても依然として闇の中となっています。 本作で描かれたのは、あくまでも綿流し編の舞台裏であり、惨劇の答えは次回以降の物語を読む必要があります。 ただ、綿流し編で起きていた不可解な事象の一部は解消されており、パズルのピースがハマるようなおもしろさがありました。 ラストはまだやっぱり後味が悪い感じです。 次作も引き続き読む予定。
by うにたべたい (525)「ひぐらしのなく頃に」を元にしたオリジナルストーリーのマンガ版4作のうちの一作。 ちなみに他の3作の内、「宵越し編」と「心癒し編」は読了済みなので、後一作でコンプリートですね。 本作と、現時点で未読の「現壊し編」は共に、鬼頭えん氏が作画担当していて、「現壊し編」には本作「鬼曝し編」のアフターストーリーも同録されているとのことなので、他の作品はともかく「現壊し編」は先に「鬼曝し編」を読んでおくことが必須のようです。 主人公は、雛見沢村の村長「公由喜一郎」の親族「公由夏美」。 一年前に興宮から都会に引っ越してきているのですが、明るい性格により新しい学校でもすぐになじめており、ごく普通の女子高生です。 ある日、片思いだと思っていた男子生徒「藤堂暁」と両思いだということが判って浮かれていた夏美でしたが、帰宅時家族が見ていたニュースにより、祖母の郷里である雛見沢村が夜間に発生した火山性ガスの噴出により、村の住民全員の生存が絶望的になるという大災害が発生していたことを知ります。 熱心なオヤシロさま信者の祖母は、それが"オヤシロさまの祟り"と信じて疑わず、近所の犬猫を風呂に沈め家族の身代わりに生贄にするなど、異常行動を示し始めます。 また、彼女の祖母に限らず、雛見沢村出身の人々から異常な行動をするものが多々現れ、騒ぎとなります。 家族を守るため自分達が"オヤシロさま"に関わっていないと振る舞うことに神経質になった夏実の母は、異常行動をやめない祖母を疎ましく思い始める。 "ひぐらしのなく頃に"バッドエンド後のストーリーで、親類が雛見沢村にいるだけという、一見、無関係な家族が、目に見えない"オヤシロさまの祟り"に振り回され、やがて恐ろしい結末を迎える展開となります。 絵は可愛らしいのですが、どこか狂気じみていて雰囲気がかなり合致していると思いました。 "ひぐらしのなく頃に"のマンガ版も結構読んできましたが、本作は特に良作だと思います。 仲の良かった普通の一家が、妬み合い、やがて死んでいく様は、かなり痛ましいです。 ウジ湧きや拷問などのシーンは無いですが、人を刃物で解体するシーンなどあり、ショッキングなシーンも多々あります。 また、ラストは驚きのどんでん返しがあって、キレイに完結しています。 後味の悪い内容には違いないですが、謎は残さないので、そういう意味ではスッキリした作品でした。 全2巻でまとまっており、読みやすいのですが、バックボーンとしてひぐらし本編を知っていないと、"オヤシロさま"に怯える人々の雰囲気などが伝わってこないため、十分楽しめないと思います。 本編の出題編まで見終わった後であれば、おすすめです。
by うにたべたい (525)いかさま
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