16世紀、数万人が迫害を受けて死んだ“魔女狩り”。その狂気の時代に魔女と断罪された人々に寄り添い、医療の力で救おうとしたひとりの医師がいた──。精神医学の先駆者でもある実在した医師、ヨーハン・ヴァイヤーを描いた歴史ドラマがついに書籍化!
中世ヨーロッパ。現代医学とは対極の、魔女狩りが常識として行われていた時代。 "常識"ほど、不安定で移ろいやすいものはないでしょう。それが本作を読むと痛いほどわかります。 現代医学の礎の裏には、戦争がありました。失敗無くして成功はありません。 魔女狩りも、精神医学が発達していなかった中世の頃、更年期を迎える中年女性を中心に行われました。 自失状態や錯乱状態にあった彼女たちを「魔女」と呼び、その多くは火あぶりにかけられました。 人は、わからないものには無理やりでも理由をつけて安心したい性分なのでしょう。 そんないわば魔女の烙印をおされた人々を救った実在の医師、ヨーハン・ヴァイヤーの半生を描いた作品。 淡々としたテンションですが、それがかえって小気味良かったです。
by せーふぁ (1038)