あなたもどこかで見た事あるかも?かわいいネコミミ女の子に、よく喋るへびと、奇妙なうねうね。ゆるやかな想像でつながっていく、脱力系ショートショートコミック!個人誌を中心に活動する作家・赤井さしみが書き連ねてきた掌編が、待望の単行本化です。読み進めるたびくせになる唯一無二のショートショートトリップを、どうぞお楽しみください。丈夫なハードカバー仕様で、一生モノの一冊です。〇収録作品〇「冬の国から」「花を見るなら」「竜の生贄」「へび」「豆食鬼」「信じる心」「駆けよ脱兎の如く」「さらば愛しき人よ」「グッドバイマイメモリー」などなどなどなど、キュートな掌編が40本以上。カラー漫画もたっぷり!おまけのイラストコーナーに加えて、描きおろし漫画も収録です。
死ぬと最初にたどり着くさびしい場所、それが「たそがれの市」。自分が死んだと気付かない“大人のおいと”を見かけた少女のおきく。おきくはおいとにまとわりつく幽霊を遮り言う。「お前は元の場所に戻りな」と。神隠しとされていたおきくは、幼馴染のおいとと谷筋でもみ合ううちに――。たそがれの市でおきくの思いを知ったおいとは……(「第一話 紅の皿」)。ほか、病で先だった母が子を思う深い哀しみを描いた「第二話 涙池」や身分違いの恋と因縁を描いた「第三話 思い出」、津波に流されて命を落とした娘を探し求めて迎えにくる現代の家族との交流の物語「第四話 津波」など。たそがれの市で、思いを残した死者と生者が交わるとき……生と死という壮大なテーマに向かい合った感動の全十一話。
【北見優作(52歳)】。名前はわからないが、ドラマで顔は知っている――優作は、そんな脇役俳優である。気ままなシングル、大好きな役者仕事に大きな不満はない。仕事が終われば夜な夜な酒場へと繰り出して、うまい酒と美味しい魚に舌鼓をうつ。。ただ、〔オトナの余裕〕と〔未熟すぎる恋愛術〕を持ち合わせるがゆえ、いつも越えられない「男と女の壁」に苦悩させられる。小料理屋の美人女将、老舗居酒屋で相席となるフランス人女性、往年の大女優、そして離婚した妻・・・・・・が、艶っぽくもコミカルに五十路過ぎの男ゴコロを惑わせていく。枯れることなき男の色気を身にまとい、未熟な中年男のダンディズム全開・・・・・・といきたいところだが、優作曰く「男は五十にしても惑うばかり・・・・・・」なのである。
52歳の盛本芳春は、入社以来、30年間わき目もふらず仕事に励み、現在は銀行支店長の座にいる。会社人間で、本社への復帰を夢見ていたが、ある日系列会社への出向を打診され、呆然。自分の人生に疑問を感じて、ヤケ気味にスイス・マッターホルンへの旅行を決意。そこで優雅で上品な妙齢の日本人女性、誠子と知り合う。ホテルのレストランで食事の後、部屋で飲み直すことになるが、連絡先も本名も知らないまま、気まずく別れるはめに。彼女への恋心を抑えきれず、苦悩の日々を過ごしていたある日、意外な場所で再会を果たす。ふたりの恋心は一気に燃え上がるが、そこには障害も少なくなかった。