弘兼憲史さんの作品の書影

弘兼憲史

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作品数:105

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472

2.0

6巻まで読みました

完結

1巻無料

相談役 島耕作

レビュー(13)件

完結・全6巻

3.9

1巻まで読みました

課長島耕作のスピンオフ。
見知らぬ部屋で全裸で目覚めた島耕作は、隣に寝ている女性の絞殺死体を発見する。
慌てて警察に電話をしようとする島だったが、出頭前に身の潔白を証明する必要を感じたため、先に私立探偵の木暮久作に連絡を取る。
そんな中、女性宅を訪れた女性の妹「若槻美緒」と共に、真犯人を探すべく逃亡するストーリーです。

タイトルの通りのミステリー作品で、原作も『金田一少年の事件簿』を手掛ける樹林伸(天樹征丸)氏です。
雑誌の35周年企画として描かれていて、全一巻で完結しています。

殺害されるのは一人ではなく、連続殺人になっていること、意外な犯人がトリックを用いて殺人を行っていることなど、金田一っぽさがあります。
追われる身でありながら、比較的自由に行動し、結果的に会社に迷惑をかけずにことを収めるに至っているあたり、とてもうまいと思いました。
ビジネスを重視した普段の島耕作のような作品とは毛色がまったく異なる作品ですが、本作は本作でとても楽しめました。

なお、基本的な骨子は殺人事件の真犯人の調査ですが、1987年のニューヨーク株式の大暴落(ブラックマンデー)や、六本木の再建計画等が事件に密接に関わっていて、島耕作同様、社会派なところもあります。
完全なるフィクションではなく、その時代を舞台にした社会派ミステリー的な読み応えがあり、松本清張や宮部みゆきファンにもおすすめです。

島耕作の事件簿

レビュー(7)件

完結・全1巻

3.5

1巻まで読みました

弘兼ご乱心の、島耕作で異世界転生もの。
タイトルでわかる方はわかると思いますが、"転生したらスライムだった件"とのコラボ作品です。
通り魔に刺されて死亡、転生する三上悟の転生先が、スライムではなく島耕作だったらという内容で、実際の課長島耕作の一場面が、精神体だけ三上悟となっています。

全一巻ですが、掲題の作品に該当するのは2話のみで、残りは『課長島耕作』の関連エピソードと、『転生したらスライムだった件』第一話が収録されています。
そのため、島耕作も転スラも知らなくても楽しめますが、個人的には知っていたほうが楽しめると思います。
本作を読んで興味が出たら、島耕作と転スラにハマってみるのもありだと思います (ジャンルが全く違いますが)。

刺された転生した三上悟は、初芝電産のデスクで仕事中の島耕作として目覚めます。
お茶を持ってきたOLが鳥海赫子と気づいたことから、今が課長時代と知った三上は、福田部長の命令でソラー電機に情報リークした原因調査を行うという展開です。
該当する課長島耕作のエピソードは5,6話で、本書に同録されています。
私も読んで思い出したのですが、島耕作の女性キャラって結構器量が似通っており、おまけに女性関係が盛んだった課長時代のOLの顔と名前をフルネームで即答えられるあたり、三上悟は相当島耕作を読んでたんだなと思いました。

なお、女性の扱いがわからない三上悟なので、せっかく女性遍歴の激しい島耕作に生まれ変わりますが、"モテてモテて困っちゃう"系の異世界ライフを満喫するような内容ではないです。
本編のエピソードとは当然、少し異なりますが、一応、問題解決に向けて動く展開となります。
面白かったですが、2話だけとすごく短いのが残念でした。
ただ、残りの島耕作と転スラの同録部分で、特に島耕作の方は結構忘れていたので助かったは助かりましたが、やっぱりもう少し"荒唐無稽な行動をしてしまう島耕作"を観てみたかったような気がします。

転生したら島耕作だった件

レビュー(6)件

完結・全1巻

4.4

3巻まで読みました

『学生島耕作』の大学4年生の一年間をタイトルだけ変えたものです。
"就活編"とついてますが、実際に就職活動をしているのは1巻のみで、役職が変わるわけでもない本作については本当に"学生"のそのまま続きといった印象があります。

序盤は島耕作が初芝電産に入社するまでのドラマ、残りは学生編で出会った友人、恋人達との清算編という感じの内容です。
学生運動にのめり込んで進学できなくなってしまったクラムチャウダーくんや、ダンスパーティーで壁の花だった最上陶子、その他、友人たちの就職活動が描かれています。
縁故や偶然から、大手企業の内定をゲットするエピソードが2,3あり、就職は成績ではなく"人"だと感じられるシーンもあります。
現在面接を受けて回っている就活生の参考になるかというと微妙なところで、こういうことは無いではないと思いますが、時代も違うし、マンガ内のエピソードとして読むのをおすすめします。

大学4年の就職間近ですが、女性関係はアクティブで、大学生らしらかぬアダルトな恋愛シーンも多いです。
前作でようやく脱童貞したと思えないほどの成長っぷりで、ある意味では島耕作の(下半身の)成長を描いた物語といえなくもないですね。

全3巻で完結、本作によりイブニング連載版の島耕作は終了となります。
最後におまけマンガとして"課長中沢喜一"が収録されていました。
若い日の中沢氏のほっこりエピソードは読んで嬉しかったです。
島耕作は難しいですが、個人的には中沢喜一な生き方こそサラリーマンのお手本として尊敬できる姿だと思いました。

1巻無料

学生 島耕作 就活編

レビュー(17)件

完結・全3巻

4.4

6巻まで読みました

連載順としては『係長島耕作』の次に描かれた、島耕作・学生編。
戦後のベビーブーム期に生まれた島耕作ら団塊の世代の大学生生活はいかなるものであったかが描かれています。
単独のタイトルで書籍化されている島耕作シリーズでは、現時点で一番時系列的に古い作品のため、島耕作シリーズを読み始める場合、本作からというのもありだと思います。
本作時点では初芝電産は一企業としてしか登場しないため、初芝のクセの強い面々は登場しません。
初芝入社以降、ライバル兼友人として登場する「樫村健三」、そして今後、伴侶となる「岩田怜子」、探偵の「木暮久作」は本作からの登場ですね。

初芝入社以降のサラリーマン島耕作とは舞台が全然異なるため、基本的に役職が変わるだけの連続シリーズであるヤング以降と比較すると、独立しています。
ただ、大学4年の1年間は『学生島耕作 就活編』とタイトルを変えています。
本作と就活編はタイトルだけ変えたひと続きで、本作ラストもストーリーに区切りは特についていないので、本作と就活編2作で一作品として読むべきだと思います。

ストーリーは、山口から大学受験のため上京するところから始まります。
入学試験、大学入学からバブル期の大学生のリアルな日常が描かれていて、その頃新宿の赤線地帯で流行っていたヌードスタジオ、大学生主催のダンスパーティー、恋人とのセックス、酒、麻雀、バイト、そして学生運動と、当事者は本気ながらも、傍から見ると思わず「勉強しろよ」と思ってしまいます。
特にマルクス主義に被れた学生たちの紛争は象徴的で、島耕作の友人が反ブルジョワ運動の中心までのめり込んでしまいます。
(本人もブルジョワ層にも関わらず)
ベトナム戦争反対を持ち出して羽田空港などで蜂起した学生がゲバルト棒なる角材を持って機動隊と戦うシーンなどがあり、非常に興味深く読めました。
当時の大学生がみんな学生運動に関わっていたわけでも無いと思いますが、本作で描かれる学生たちの姿も一つのドラマだと思いました。

1巻無料

学生 島耕作

レビュー(19)件

完結・全6巻

4.4

16巻まで読みました

『島耕作シリーズ』六作目。
入社時から数えると、"ヤング島耕作"、"ヤング島耕作 主任編"、"係長島耕作"、"課長島耕作"、"部長島耕作"、"取締役島耕作"、"常務島耕作"、"専務島耕作"と積み上げてきたシリーズで、ようやくたどり着いた"社長島耕作"です。
団塊世代のサラリーマンとして社会の歯車に組み込まれそれを感受するも、上司の不正に加担することを拒否して嫌われ、手柄を横取りされ、良かれと思って行った行動により上司の顔に泥を塗り、絶対的ピンチで一夜を明かした女性に救われ、派閥を拒否して遠方に流され、尊敬する上司に引っ張り上げられ、その上司が死に、友人が死に、嫌っていた男とわかり合い、アメリカに行き、中国に行き、インドに行き、韓国に行き、いろんな出来事が駆け巡る上での社長就任なので、読む方としてもなんか胸がいっぱいになりますね。
なお、島耕作社長就任時には、各社新聞の社会欄に"新社長に島氏"という記事が乗ったそうです。
まさにビジネスマンのバイブル的存在と言えると思います。

専務編で五洋電器のホワイトナイトに成功した初芝電器は、五洋電器を傘下に持つ、初芝五洋ホールディングスになります。
島耕作はこのHDの社長であり、初芝電器は島耕作とともに郡山社長を補佐していた「松橋葉一」が就任しています。
マンガにする上で、わかりやすく描かれていますが、それでも文章量は多いです。
関連会社のMBO騒動や、中国の領海侵犯による政府の動向、それに関連するビジネスの展開、ストラテジーが真面目に描かれます。
おとぼけなシーンもありますが、課長時代のような仕事に女性関係は不可分な展開はなく、真面目に読むと相当時間がかかります。
常務あたりから難しい仕事の話は多少読み飛ばしてたのですが、本作からは飯のシーンもゴルフのシーンも、会話は全部仕事になっていて、仕事シーン読み飛ばすと読むところないくらいになっています。
読み飛ばさずにちゃんと読むと、テレビで流れる政経関連のニュースもわかった気分になってきますね。理解しているかはさておき。
今思えば、島耕作がガンプラ作ったり、アイドルのコンサートで武道館行ったり、趣味に没頭するシーンはなかったので、島耕作の人生とはすなわち仕事なんだろうなと改めて思いました。

社長編では前作以上に活発化した中国人の反日問題や政権交代などの大きいニュースが作中でも取り上げられます。
また、会議中に発生した東日本大震災により、初芝のビジネスにも大きなダメージを被ったが、そんなときだからこそ経済を活発化させるため戦う姿が描かれます。
ブランドを残すため社名を残していた初芝五洋も新会社「TECOT」に変更し、社長島耕作の大きな足跡の残した、激動の一作でした。

島耕作シリーズは社長編で終了の予定だったそうなのですが、本作ラストで島耕作は社長を退任し会長になります。
本作ラストで作者が唸るのですが、会長職は社長以上にマンガ的おもしろさを描くのが難しい役職の様子です。
大会社の社長ならまだしも会長を主役にしたマンガなんて島耕作くらいしかないと思うので、次回作も引き続き期待して読もうと思います。

3巻無料

社長 島耕作

レビュー(28)件

完結・全16巻

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