高橋しんさんの作品の書影

高橋しん

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作品数:21

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558

3.7

1巻まで読みました

高橋しん作品。一冊で完結。
マーク・トゥエインのトムソーヤが原作とクレジットされてますが、ほとんど原型はないですね。
元ネタを知っていればにやりとする場面が多々ある程度のため、原作は読んだことがなくても楽しめますが、一応、知っておいたほうがおすすめです。

母の死の知らせを聞いて田舎に帰ってきた美大生(ほとんど行っていない)の女性、ハルと、親戚のおばさんの元に預けられている中学生の少年、タロが、ひょんなことから真夜中の墓地で殺人を目撃してしまう。
二人は、これを二人だけの秘密にして、血の署名をつけた宣誓書を交わす。
また、タロと同級生の女の子、ハナとの恋物語があったり、子どもたちだけで海をゴムボートで渡り海賊ごっこをしたり、時たまフラッシュバックする殺人の光景が頭をよぎりながらも、冒険の日々を送る。
舞台は現代日本ですが、大まかな筋、ラストもトムソーヤのそれに倣ったものになっていて、その置換が大変上手いと感じました。
トム・ソーヤがタロで、ハックルベリーがハル、ポジションです。
(トムがタロになったのは、一般的な男の子の名前を日本風にした結果かな)

ハルの行動が無責任すぎる(殺人を通報しない、親に無断で子供だけで無人島に寝泊まりしているのを傍観する など)点と、犯罪者側の描写が少なすぎてハルやタロの不安にリアリティーが感じられない点がマイナスですが、高橋しんらしく、意地悪な継母も優しい人で、嫌味ったらしい田舎の人々も人情に溢れた優しい人々に描かれており、心温まるいい作品だと思いました。

ちょっと厚い1冊ですが、おすすめです。

トムソーヤ

レビュー(7)件

既刊1巻

4.6

1巻まで読みました

高橋しんの初期の短編をセルフリメイクした短編集。
いいひとより前に描いた作品をいいひと連載後に描き直したもののため、最終兵器彼女やきみのカケラのようなSF色はなく、会社や学校で起きる一般的の人々のちょっとした恋愛ドラマが描かれた作品集となっています(内、1作だけは恋愛要素もなし)。

収録作品それぞれの感想は以下の5編。

・世界で一番近い島
端的にいうと、会社の受付嬢が趣味のジョギングをするだけの話です。
面白いです。文章化が難しいのですが、ただのOL、ジョギング、ひとり語りでもドラマがあり、そして感動があるんだなぁという感じ。
掲題の世界で一番近い島にもジョギングシューズで行きます。読んでいて、走りたくなる作品です。

・TWO HEARTS
新人教育を任された事務職OLと、新入社員の話。
話の中では女性事務員は雑務だけやらせればいいが罷り通っていて、すごく時代錯誤な話だと感じました。
私が努めている会社はこんな風潮は無いのですが、外資だから?一般的な企業では現代でもこんなものなのでしょうか?
話はすごく好きなのですが、舞台となっている会社の雰囲気が原始時代なのが気になりました。

・ANCHOR
高校駅伝の、タイトル通りアンカーの話です。
6位入賞を狙っていた高校駅伝のチームが、5区でトップに立ち、小心者のアンカーが渡されるタスキの重さに苦しむ話。
走り出すまでの葛藤という、元箱根の走者だった作者だからこそ描けるテーマだと思いました。

・歩いていこう。
事業団のランナーとその恋人の看護婦の女の子の話。
本短編集内では後期の作品で、いいひとの直前であるためか、二人のために全体を巻き込んだ感じのオチがとてもいいひとライクです。

・好きになるひと
個人的には5編の中で一番お気に入り。
あこがれの先輩に近づくために入った陸上部で落ちこぼれながら、先輩を応援する女の子の話。
ノートの落書きのようなスタイルになっていて、コマ割りがほとんど無く、ノートを模したページに線画でお話が描かれています。
作者の紹介文にもあるのですが、絵本のように読めます。
読み返したとき、学生の頃、本作に憧れて、授業中にノートにマンガを描いていたのを思い出しました。

好きになるひと 高橋しん初期短編集完全版

レビュー(5)件

既刊1巻

5.0

26巻まで読みました

高橋しんといえば、今は最終兵器彼女のほうが有名かもしれませんが、私的には氏の代表作といえば本作が浮かびます。
国内最大手のスポーツメーカーに入社したサラリーマンを主人公に、ジェンダー問題や雇用問題、派閥、過労死といった会社的なゴタゴタを解決する、アフター5やOL、あるいは特殊な業界にスポットを当てたわけではない、いわゆる普通のサラリーマンを題材とした作品です。
主人公、北野優二は底抜けにお人好しのいいひとで、ある企みから部署を転々とさせられますが、己の信念による行動で様々なトラブルを切り抜け、結果、大勢の人を幸せにする。
課題、問題点などは会社的で、常識の枠内で最大限の成果を上げるように奮闘するのが当然なのですが、主人公はその常識のギリギリ枠内で自身の考える多くの人を幸せにする発想を行い、成功を収める、そこに一サラリーマンとしてカタルシスを感じました。
コミックス読んでた当時は未成年でしたが。

本作の終了の原因はドラマのできであることは有名ですが、打ち切られたような唐突な終わり方をせず、今までの集大成然とした素晴らしいラストでした。
また、本作を読むきっかけがドラマ版だったので、ドラマはドラマで良かったと私は思っています。
メディアミックスするときに、原作の設定に手を加えることはよくあることなので、消費者としてドラマの内容は許容範囲、ただそれが原作者から提示したドラマ化の条件に反することであるならば、それは許されないことであり、怒りご尤もと思います。
ただし、ドラマ版はドラマ版で名作だと思うので、古い作品ですが、興味のある人にはおすすめです。

いいひと。

レビュー(27)件

完結・全26巻

3.7

1巻まで読みました

終戦から10云年後、東京にある一軒の小さな本屋さんのはなし。
主人公はその本屋さんに、半ば口減らしのような形で田舎から嫁いできた、何も知らない奥さんです。
ただし、物語スタート時点ですでに旦那さんは他界しており、未亡人となっています。
辛うじて読み書きはできるが、仕入れや販売は疎か、米の炊き方も知らない奥さんはお向かいの八百屋の長男に本を読み、自分で生きるための努力をしろと叱られます。
何も知らない奥さんは本を読み、様々なことを学んで、死んでしまった旦那さんに近づくため"本屋"となる決心をするというお話。

高橋しんさんは"最終兵器彼女"以降、世界系SF作品が中心だったのですが、本作は終戦後の東京という舞台で、潰れかけた本屋が息を吹き返すという話なので、氏の作品としては珍しいといえます。
氏のデビュー作の"いいひと"に近いものを感じました。
普通に考えてありえない手法で成功を得るのも"いいひと"の高橋しんらしいです。

ただ、本作は一冊で完結しており(関連の短編集がありますが)、駆け足な内容になっているため、成功もトントン拍子で、色々唐突な印象を受けました。
できれば同じ内容を4,5冊かけてじっくり読みたかったかなと思います。

特にどんでん返しや伏線はないのですが、ほっこりと感動できる名作です。

あの商店街の、本屋の、小さな奥さんのお話。

レビュー(7)件

既刊1巻

4.0

7巻まで読みました

地球はもうだめです…

最終兵器彼女

レビュー(378)件

完結・全7巻

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