「ごめんね寂しか思いさせて……大丈夫そうそう長くは待たせんけん……」遠く響く三味線に異国の言葉が混じり合う長崎丸山。絶世の花魁と重い病を抱えた一人の男の過去が、やがて密やかな“愛と死”の物語を紡ぎ始める……“世界”がいち早く評価した孤高の俊才・高浜寛が、長崎丸山に生きる遊女の「切なすぎる純愛」を洗練を極めた筆致で描く。国内の漫画家、海外のバンド・デシネ作家、映像作家など、ジャンルや国籍を問わず多くのアーティストたちから熱い注目を集める傑作!!<世界の巨匠たちが絶賛!!>今、最も読まれるべき漫画がここにある。知っているようで知らない時代、美しき遊女のお話。なんとも気負いのない絵と語りのうまさが際立つ――心が揺れる。高浜寛の物語表現は描く度に高まってゆく。(谷口ジロー/フランス芸術文化勲章受章作家)本作『蝶のみちゆき』の少なからぬ魅力はヒロイン・几帳が湛える穏やかな悲しみにあり、読む者を幕末・明治の遊女の世界へと導く官能と情緒にある。私たちは初期作品からずっと高浜寛の繊細な仕事に注目してきたが、彼女はこの作品により世界的コミック作家の最高峰へ至る新境地を切り拓いたようだ。(ブノワ・ペータース&フランソワ・スクイテン/アングレーム国際漫画祭大賞・文化庁メディア芸術祭大賞『闇の国々』著者)
雑誌掲載版(少年画報社版)…5点 復刊版(角川版)…4点 絵柄の描き直しは元より、一個のエピローグを削っただけで読み味変わってくるのスゲ〜。 「土地や建物、そこに住み着く霊の記憶は人々の心に残り続ける」というテーマが本編で語られる。 その上で、オリジナルの雑誌掲載版ではエピローグで主人公・真理の姪であるリサが火星に移住している話を描く。電脳と呼ばれる近未来ガジェット内に(本編の梨絵のような幽霊的扱いで)現れる真理が 失われた土地の記憶を宿している、という流れで、一気に伝奇SFになるのが凄い。 作者自身このエピローグを蛇足に感じているようで、復刊版では削られてしまっているがそれはそれで伝奇ファンタジー百合としての体裁は保っている。 …とフォローしようと思ったけど、JKと幽霊のHシーンもことごとくオミットされてるので雰囲気百合に成り果てている。悲しい。 木造建築、古びた街並みの重要なシーンがデジタル作画の描き直しによってぼかされてるのも勿体無いかな〜〜〜〜 復刊版を中古で読んでからオリジナル版を電子で買って読んだけど、オリジナルも紙で欲しくなった。 鬼頭莫宏による絶賛レビューページ http://monomichi88.blog95.fc2.com/blog-entry-30.html?sp
by 寸々 (215)