この漫画のレビュー

5.0
4.0
3.0
2.0
1.0
4.23

59件の評価

YSさんのアイコン

YS

yyrr2
5年前

5.0

1巻まで読みました

このレビューにはネタバレを含みます。

女の子がフライフィッシングを中心にキャンプや料理をするお話。
私もフライフィッシングが好きなので見つけて即購入しました。

正直、最初のシーンがまさかの海フライというマニアックなものだったので面食らいました(笑)
中身を読み進めていくと、作者さん本人もフライフィッシングを趣味として行っているためか、タックルやフライラインの軌跡等がしっかり描かれています。エルクヘアカディスの描写もバッチリ。
また、スペシャルサンクスにショップ名の記載がありましたが、ハーミットの再現度も外装、内装ともに高いです。行ったことある人はニヤッとできるはず。

ストーリーは、主人公二人とも片親と死別という設定で、絵柄に反して少し重い感じですが、基本的に前向きなお話で、細かい表情もよく表現できており、非常にハートフルです。一巻の終盤は軽く涙目になってしまいました。

釣りがテーマというのは大きな強みだと思います。キャンプ、料理、登山、国内外の観光地を巡りながらの釣りや生態系の知識などネタが尽きません。
これらとかわいい女の子たちの成長物語とが組み合わされば最高のお話になるはずです。
長く連載が続くように応援しています。期待しています!

名作の気配

5.0

1巻まで読みました

このレビューにはネタバレを含みます。

※ネタバレアリ
読みながら思った事を書いてるので共感して貰えると嬉しいです

釣りが得意なひよりと料理が得意な小春
何事にも動じずグイグイくる小春とやや大人しめなひより
釣りを通じて知り合った2人がまさかのお互いの再婚相手の連れ子で始まる物語
初心者の小春を通じて釣りの知識や楽しさを共感出来て
2人の漫才の様な会話をずっと観て観たいと思う漫画
2話のお互いの再婚相手に対する評価で距離感が掴めずに戸惑ってる
「まーちょっとは…」「まーちょっとは!」の返しが
素直に本音で話をしてる2人を感じてこういうのが表現できるの凄く好きです

釣りに関しても読み手の私も小春と同じくカタカナアレルギーwなんで
絵を入れて簡単な文脈で解り易く説明されていて非常に理解し易かったです
毛バリの釣りはこの漫画で初めて知りました
ゴカイやルアーや撒き餌でやる釣りは知っていたのですが勉強になりました

3話からひよりの幼馴染の恋が加わり
ひよりと恋の仲を見て嫉妬する小春が可愛い
ひよりが小春といるのを楽しみにしてるのを感じて
恋も過去にあーすれば良かったとか落ち込んだり
小春の一言で救われて恋と小春の距離も短くなるのを感じたり
人と人の距離感や心の浮き沈みが感じられて
それが短くなりより仲良くお互いを理解出来たと思えたら心が暖かくなった気がしました

帯にも載ってる2話の小春とひよりの釣竿をめぐるやりとりや
カバー裏4コマ漫画、時折なるSD絵が可愛くホンワカしました
恋のジトっとした目好き(ジト目好き)

おすすめ!

5.0

1巻まで読みました

このレビューにはネタバレを含みます。

やさしくて、さみしくて、あたたかい。
釣り糸が紡ぐ家族の物語。

病気で父親を亡くしたひより。

海辺でひとり、釣り糸を垂らす彼女の背中には
三年経った今も寂しげな空気が漂っていた。

そこに思いがけずふっと吹いた風。

三月の海に少しだけ早く訪れた、小さな春。

――海凪 小春(みなぎ こはる)。
彼女は母親の再婚相手の娘、ひよりの新しい家族だった。

釣り糸が紡いだ縁。

初めて出会ったはずの二人の距離は、
わずかな時間で不思議なほど近付いていた。


「魚釣りをしていたら女の子が釣れちゃった!」という、わりと定番っぽいガールミーツガール的な導入なんだけど、細かい演出が良いなあと思います。

小春の登場によって、まだ寒い海に春の到来を思わせたりだとか、二人の名前をあわせて"小春日和"なのとか……粋ですよね。

冒頭の
[――私の父は とても変わった人だった]

[――新しくできた家族は とても変わった女の子だった]

とか、対になるシチュエーションや言葉のリフレインは各話でも都度効いてきます。
ここでは亡き父から教わったフライフィッシングが紡いだ二人の関係なんですよね。きっと、いとでつながってる。


いつも天真爛漫に振る舞う小春ですが、彼女もまた小さい頃に事故で母親と弟を亡くしていて、ふとした瞬間に覗かせる寂しげな表情が切ない……

いきなり水着で海に飛び込もうとするのも、ちょっとおバカさんなのかな?と思いきや
"小さい頃は喘息もちでよく入院していて、外遊びを知らない" って一誠さんの話から察するに、三月の海の冷たさも知らないんだろうなあと……

でもそんな小春だからこそ、よく知らない人が苦手なひよりとも初対面で距離を縮めることができたのかもしれません。
これから二人の思い出をたくさん作っていってほしいです。


そして、忘れてはならない人物がもうひとり。

幼い頃から時間を共に過ごし、ひよりを近くで見ていた吉永恋。

元気に笑っていた顔も、物憂げに海で佇む背中も、一番近くで見ていた恋ちゃん。

お父さんを亡くしたひよりは当然めちゃめちゃ悲しいし寂しかったはずだけど、それを見て何も出来なかった恋ちゃんもかなりキツかったのではないだろうか……
ひよりはもっと恋ちゃんを頼ってくれ……

妹みたいに思ってたひよりに義姉ができたことを知った恋ちゃんの感情……
私には友達の資格がない、って思ってる恋ちゃんの感情……
でもひよりは一緒に来られて嬉しいって思ってて、それを義姉の小春に教えられた恋ちゃんの感情……
日焼け対策よ、って表情を隠すサングラスと日傘使ってるけどショートパンツな恋ちゃんの感情……
この辺は光と影を感情と絡めた演出が良いですよね……

いやでもカラーページの海で佇むひよりのもの悲しい雰囲気すごくない?あの感じを目の当たりにしちゃったらそりゃ話しかけられないよな……感情……

すみません取り乱しました

私は恋ちゃんの感情に真剣なんだ


恋ちゃんが勝手に距離をとってしまっていたけれど、釣りに一緒に来られて嬉しいっていうひよりの笑顔は本物で、ここでは小春を通して三人の絆が紡がれました。

基本的にはこの三人の感情に重きを置いて描写されていますが、親も人間。愛する人を失った悲しさ寂しさは今の家族も、お別れした家族も抱えているはず。
"笑顔でいれば"というのはみんな同じなのかもしれません。

寂しい気持ちを置き去りにせず、一緒に生きてゆく。
簡単に忘れたり乗り越えたりできるものではないからこそ、みんなで大切にあたためてゆっくり家族になってゆく。

そんな彼女たちの様子を、傍らからそっと見守っていきたいと思わせるやさしい物語です。

名作の気配

5.0

1巻まで読みました

このレビューにはネタバレを含みます。

親の再婚で義姉妹となった小春とひより。この作品は、そんな二人が"釣り"という共通の話題を通して絆を深めあっていく様子を描いた日常系漫画である。字面だけ見ると「新米姉妹」を彷彿とさせるが、作品の方向性は「新米姉妹」とは大きく異なる。「その変わった父は、三年前にとてもポピュラーな病気で亡くなってしまった」どこか他人事めいたモノローグと共に、父の遺したフライフィッシングに勤しむひよりから物語は始まる。父の死に塞ぎ込んでいるわけではない、現実はきちんと頭で受け入れつつ、それでも父との思い出に縋らずにはいられない、そんな"痛ましさ"を感じる少女に、胸をきゅうと締め付けられる。けれど、突然できた2ヶ月上の姉、釣りに興味を持ってくれる女の子、天然だけどいつも元気で周りに笑顔を振りまいてくれる―――そんな小春に、ひよりの心は救われていく。「なんか、最近……釣りが楽しい」「それは、きっと……」"日常"というものは普遍的なもので、当たり前のこと。そんな前提で描かれてきた日常系漫画とは一線を画す(そういう日常系漫画を否定してるわけではない。むしろそんな漫画の方が深い場合も多い)。三年前、父が亡くなったときから凍りついてしまったひよりの日常を、小春が溶かしてくれた。彼女らにとっては、「ようやく手に入れることができた日常」なのだ。だから僕らは、ひよりや小春が幸せそうにしていると癒やされる。日常系漫画によくある、「関係性の変遷」の描写はほとんどない。ただひよりたちが幸せそうにしているのを眺めているだけで、僕らは満足なのだ。これは、所謂「新日常系」と同じような楽しみ方ができる作品だと思う。日常の尊さを視覚化し、それを享受するキャラクターたちを眺めて幸福を追体験する。これが、スローループが日常系漫画として完璧たる所以だ。
漫画作品としての評価も高い。これは実際に読んでもらったらわかると思うけど、アングルの使い分けがめちゃくちゃ巧い。そのおかげで釣り漫画としての躍動感がバリバリ出ている。釣りキャンプの時のひよりの釣りシーンはスタイリッシュすぎて惚れる。その他にも1話と6話で「釣る側」「アシストする側」が反転して小春の釣り人としての成長を見せたり、高いところが苦手な小春にひよりが手を伸ばすシーンで、過去にひよりも父親に手を引いて貰ったという回想を重ねたり(多分このシーンにもめちゃくちゃ意味あるんだろうな)、とにかく色んな構図を見せてくれる。他にもキャラクターたちが感情を露わにするシーンではトーンバシバシに貼って演出してくれるし、上述したアングルの使い分けで大ゴマや見開きはとんでもない迫力。キャラクターたちが幸せそうにしているだけでも泣きそうになるのに、その上演出と表現力で殴ってくる。誰も勝てないよ。
恋ちゃんのこととか、「家族の形」という作品共通のテーマについてとか、釣り漫画としてのスローループとか、語りたいことはまだあるけれど、それは個別に語った方がいい気もするので、とりあえずここまで。
スローループは、間違いなく歴史に名を遺す作品になると思う。まだ買ってない人がいたら買ってみよう。古参ぶるなら今のうちだぞ!俺も釣り始めてみようかな〜と思ったけど、昔生きた魚触れなくて挫折したの思い出してやめた。

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