「ずっとあなたと、こうしたかった…」 幕末の志士・新選組。池田屋事件で名をはせた後、彼らを待ち受けていたのは凄惨な歴史の仕打ちだった。そんな中で、彼らが最後にした恋とは……。結核に犯された沖田総司は、新選組本隊を離れ、病気療養のために千駄ヶ谷に隠居していた。総司に想いを寄せる医師の娘・菊の献身に心動かされる総司のもとに、衝撃的な知らせが届いて…!? 会津での戦いに身を投じた斎藤一は、輝姫付きの女中・時尾に淡い恋心を抱く。けれど戦いに敗れた斎藤は地方に事実上幽閉されることになり、その上権力者に強引に嫁を娶らされてしまい……。沖田総司にの身代わりとして土方歳三と共に五稜郭までやってきた婚約者の琴は、いつしか「武士」として生きることが身に付き始めていた。そんな琴に「俺の前でだけは『琴』でいてほしい」と願う歳三だったが、戦局がそれを許さず、ついに二人も最前線で戦うこととなり……。骨太な歴史ロマンに、TLの恋愛要素をたっぷりと加えたオリジナルストーリーに、切ない胸きゅんが止まらない! 『新選組恋慕』外伝シリーズのほか、短編『ドS将校の愛玩仔猫』も同時収録!!
初めて、人を好きになった気持ちを覚えてる? 言うつもりじゃなかった、閉じ込めておくつもりだった。 なのに、零れてしまった。好きって気持ちが溢れてしまった。 ののと不破先輩との出会い、告白、その後までを描いた表題作『女の子のいちばんやわらかいところ。』 私は、みんなから愛されるために可愛くいなくちゃ。 なのに、あの子には私の魔法は最初から効かなかった。 クールないばらと人気モデルの苺の二人っきりの屋上での出来事を描いた『バラといちご』 クラスでは人気者のあいつは、私が好きらしい。 誰かの特別なんて、どうしたらいいかわからない。 「キスをさせて」と迫ってくるありすと好意をうまく受け止められない詩を描いた『キス魔イリップス』 不器用で、キラキラな少女たちの恋模様を描いた珠玉の3篇を詰め込んだ作品集。
十九歳の若き柔術家・柳勘九郎は父の遺訓である「打倒・講道館柔道」を胸に上京する。文明開化に揺れる東京の街。青春の彷徨。理不尽と不条理、矛盾と欲望ー男の胸を、誰が知る。学生運動の嵐吹き荒る1970年代、右も左も読んでいた――「今」を生きる全ての人に。バロン吉元の最高傑作が蘇る。●雑誌掲載時のカラーページを再現。画業60周年記念 新装・新編集版『柔?伝』の連載開始と共に幕を開けた1970年代。同作の誕生から半世紀となる2020年を目前に控え、リアルタイムで連載を読んでいた鈴木敏夫(スタジオジブリ・プロデューサー)は下記のように述べている。「自分のベッドの傍に置いてある本の中で、漫画はバロンさんの作品だけです。自分の生きるスタンスをどこに置くべきか悩んだ時期に『柔?伝』に描かれている生き方が大きなヒントになりました。ヤクザも学生も夜の女たちも、皆が同じ空気を吸っている。世界が分断されていない。その中で主人公が見せるリアルな明るさというのは、『前向き』というのとは違って、いつも『今、ここに生きている』姿です」作中では理不尽と不条理の渦巻く社会の矛盾が色濃く描かれる。その中で主人公の柳勘九郎は、時に信念を貫き、時に揺らぎながら生きていく。多情多感、義侠心の強い彼の精神はバロン吉元の美学に基づいたもので、学生運動の盛んであった連載当時「右も左も、真ん中も読んでいた」と評される本作。そこに描かれる個性豊かな人々の生き様は、70年代を代表するヒット作品として多くの読者の共感を得、その人生観に多大な影響を与えてきた。日本を取り巻く情勢や、暮らし、流行など、様々な様式は当時と現代とでは大きく異なる。しかし、多くの人が生きることに困難を感じ、先の見通しが立てられない現代においてこそ、主人公・柳勘九郎が魅せる「今、ここに生きている」姿は更に輝きを放つ。今、この時代に新装版として蘇った本作は、単なるノスタルジアではなく、“平成のその先”を手探りで迎えようとしている我々にとって「新たな出発点」となり、同時に世代を越えた「回帰点」となるだろう。本作が多くの人にとって頼もしい道しるべとなり希望の灯となることを願う。