ソラニン

浅野いにお

3.64

12092

発刊:2005.12.05 〜

完結・全2巻

『ソラニン(1)』巻の書影
『ソラニン(2)』巻の書影
ドッホさん、他2人が読んでいます

この漫画のレビュー

5.0
4.0
3.0
2.0
1.0
3.64

420件の評価

4.2

2巻まで読みました

私が20歳前後の頃、隣室に住んでいた友人の部屋が汚部屋でして、そいつの京都の田舎から野菜が送られてくるのですが食べきれないというのでよくおすそ分けに預かってました。
ガス代節約を兼ねて健康的に生でかじっていたのですが、イモ類は流石に生で食えないのでやるといわれても拒否ってたんですが、ある梅雨の日、そいつん家で湿ったダンボールを開けると中に紫色の触手の塊があって、よく見ると芽が伸びてシューティングのラスボスのような変わり果てた姿になったじゃがいもだったという、ソラニンというワードを聞くとそんな思い出が勝手に蘇ってきて切ない気持ちになります。

そんな思い出とは一切関係ないのですが、本作ソラニンは浅野いにおの出世作ともいえる作品です。
典型的なサブカル系なので、好きな人は好きですが、苦手な人は苦手だと思います。
宮崎あおい主演で映画化し、作中で出てきた楽曲「ソラニン」にアジカンが曲をつけて歌い、映画の主題歌となっています。
ちなみにソラニンというタイトルとした所以にはアジカンが関わっているというエピソードがあり、どこか因縁めいたところのある作品です。
その後新装版が発売されていて、追加収録された描き下ろしの追加エピソードがあるそうなのですが、そちらは未読です。
ただ、今のいにおと当時のいにおでは作風が変わっている感じがあるので、ちょっと読むのが怖いような気がしています。

社会への不満、将来への不安、大きな夢はあるにはあるが叶うわけがないと諦めている自分と、かといってサラリーマンにはなりたくない若者の葛藤、そしてすでにアディショナルタイムに入ってしまっているモラトリアムに対する焦りがないまぜになった作品です。
何を言っているのかわからないですが、そういうことです。
デザイン事務所のアルバイトをしながらバンド活動を行っている種田と、同棲中の彼女・芽衣子の物語です。
仕事にやりがいを見いだせず、社会への不満を抱える芽衣子は、ある日勢いで会社を辞める。
そして自らの才能を平凡と言って本気にならない種田に、芽衣子は「バンドをやってほしい」という思いを伝える。

サブキャラクターそれぞれにもエピソードがあり、内容は濃厚ですが、全2巻ですっきりとまとまっています。
名作です。名作なのですが、やはりサブカル色が強く、例えばストーリーを瞬間で捉えずに全体を読んでから「要するに~じゃん」という感想を持ってしまう人にはおすすめできません。
あと漫画あまり関係ないけどアジカンのソラニンは名曲です。

12

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