3.36
10
発刊: ~
既刊8巻
新刊通知
a人形師・ローゼンの作った魂を持つ7体のアンティーク・ドール「ローゼンメイデン」達が、究極のドール「アリス」になるために彼女たちの生命の源である「ローザミスティカ」を奪い合うアリスゲームを行う。 主人公は過去のある出来事から不登校となり自室に引きこもってしまった少年「桜田ジュン」で、ネット通販で高額ないらないものを購入し期限内にクーリングオフすることを趣味にしていたのですが、ある日受け取ったダイレクトメールに書かれた「まきますか?まきませんか?」の問いに「まきます」と答えてしまうことから、桜田ジュンと、ローゼンメイデンの第5ドール「真紅」の物語が始まる。 今でいうFateシリーズのようなフォーマットの作品で、7体のドールが1体になるまで戦うバトルロワイヤルものです。 ただし、バトル自体は骨子ではありますがメインストーリーではなく、桜田ジュンの成長や、ジュンとドール達の日常を描いた話がストーリーの多くを占めています。 ドールたちは無機物なのですが表情豊かで、飲食をし娯楽を楽しむ描写があります。 体格が人に比べると非常に矮躯である点を除けば、立振舞は人そのものとなっているため、アンティークドールが多数出ますが一般的に楽しめる作品です。 逆に言えば、少々性的倒錯な諸氏には物足りなく感じると思います。雰囲気を楽しむ作品かと。 一方で、人形趣味な人々には人気で、本作をモデルにしたスーパードルフィーが人気を博しています。 また、自らが球体関節を持つ人形であること、本来魂はなく、やがてはモノになる運命にあることを彼女たちは心得ており、しばしば人形であることを思い出させる描写があるのが切なさを感じさせます。 ストーリーは説明不十分なところがあり、納得いかない場面も多々あるのですが、それを差し引いても読みやすく、また個性的なドールたちが見ていて飽きない作品となっています。 全8巻ですが、最終巻は打ち切られたような終わり方となっています。 本作は何度もアニメ化し、ファンも多く大ヒット作だったのですが、アリスゲームにも決着のつかないまま唐突な終わり方をしています。 このラストについては当時から流言蜚語が飛び交っているのですが、公式なアナウンスはなかったように思います。 8巻は7巻までの各巻の半分ほどのページ数となっていて、ぷっつりと終わったその数年後に掲載誌が変わって連載が再開しました。 連載が再開したヤングジャンプ版では完結まで描かれているのですが、私的にはローゼンメイデンとはBIRZで連載していた本作のため、別雑誌のローゼンメイデンは読む気が起きないというのが正直なところです。 機会があれば読んでみようとは思いますが、BIRZ版のラストは本当に残念という他ないです。 そのため、名作ですがおすすめ度は低めにしています。
by うにたべたい (581)3.02
10
発刊: ~
既刊1巻
新刊通知
a田舎暮らしのミサオは、東京で声をかけられるまま、AVに出演してしまう。「絶対バレへん」。しかし、タマキトヨヒコ君に知られてしまった。「殺す…しかない」。ミサオの安易だが完璧な(?)殺人計画は、成功したはずだった。そう、そのときまでは…。
3.70
10
発刊: ~
完結・全1巻
新刊通知
aある日突然、"P"はやってきた…!そして幸せな団地生活にドトーの混乱が…!?表題作他、日常と非日常がスパークする、縦横無尽の留美子劇場!!
3.33
10
発刊: ~
通常版・他1作品
新刊通知
a▼第1話/世界で一番近い島▼第2話/TWO HEARTS▼第3話/ANCHOR▼第4話/歩いていこう。▼第5話/好きになるひと ●あらすじ/なんとなく陸上部に入部した中学2年生の女の子、佐藤。長距離種目を選んだのだが、選手はやる気のなさそうなゆーじ先輩だけだった。毎日の練習の中で、ゆーじ先輩に惹かれていく佐藤。彼には部員公認の彼女がいると知っていながらも、佐藤は自分の気持ちをゆーじ先輩に示していくのだが……(「好きになるひと」)。
高橋しんの初期の短編をセルフリメイクした短編集。 いいひとより前に描いた作品をいいひと連載後に描き直したもののため、最終兵器彼女やきみのカケラのようなSF色はなく、会社や学校で起きる一般的の人々のちょっとした恋愛ドラマが描かれた作品集となっています(内、1作だけは恋愛要素もなし)。 収録作品それぞれの感想は以下の5編。 ・世界で一番近い島 端的にいうと、会社の受付嬢が趣味のジョギングをするだけの話です。 面白いです。文章化が難しいのですが、ただのOL、ジョギング、ひとり語りでもドラマがあり、そして感動があるんだなぁという感じ。 掲題の世界で一番近い島にもジョギングシューズで行きます。読んでいて、走りたくなる作品です。 ・TWO HEARTS 新人教育を任された事務職OLと、新入社員の話。 話の中では女性事務員は雑務だけやらせればいいが罷り通っていて、すごく時代錯誤な話だと感じました。 私が努めている会社はこんな風潮は無いのですが、外資だから?一般的な企業では現代でもこんなものなのでしょうか? 話はすごく好きなのですが、舞台となっている会社の雰囲気が原始時代なのが気になりました。 ・ANCHOR 高校駅伝の、タイトル通りアンカーの話です。 6位入賞を狙っていた高校駅伝のチームが、5区でトップに立ち、小心者のアンカーが渡されるタスキの重さに苦しむ話。 走り出すまでの葛藤という、元箱根の走者だった作者だからこそ描けるテーマだと思いました。 ・歩いていこう。 事業団のランナーとその恋人の看護婦の女の子の話。 本短編集内では後期の作品で、いいひとの直前であるためか、二人のために全体を巻き込んだ感じのオチがとてもいいひとライクです。 ・好きになるひと 個人的には5編の中で一番お気に入り。 あこがれの先輩に近づくために入った陸上部で落ちこぼれながら、先輩を応援する女の子の話。 ノートの落書きのようなスタイルになっていて、コマ割りがほとんど無く、ノートを模したページに線画でお話が描かれています。 作者の紹介文にもあるのですが、絵本のように読めます。 読み返したとき、学生の頃、本作に憧れて、授業中にノートにマンガを描いていたのを思い出しました。
by うにたべたい (581)“いいひと。”のスピンオフ短編集。 “いいひと。”ファンにはおすすめの一冊。それ以外の方には需要ないと思いますが。 収録作は6編で、その半分、内3篇はみっちゃんが主人公。表紙も成長したみっちゃんです。 その他3篇は主人公が異なりますが、なんでこのキャラを登用した?みたいなマニアックな人選はなく、本編の準主役といえる方々が主人公となっています。 個人的に好きな副社長や、Aqua Air開発の変態の人(名前忘れた)のスピンオフ短編とか読みたいと思うのですが、無難なキャラがメインとなっています。 各作品の感想は以下の通り。 ・さよなら、パパ。14歳~旅立ち~ 北野雄二がお世話になった下宿先の子供、みっちゃんこと城山みち子が主役のスピンオフ作品。 本作と次の“卒業”は前後編となっています。 本編最終回後から年月が経過し、14歳となったみっちゃんが、北野雄二を訪ねて単身札幌までトリップする話。 大きくなったとはいえ、中学生が一人で行けるほど北海道は近くなく、道中ろくでもない男に騙されて一緒に旅をすることになる。 その間ひどい目に逢いながらも、少し、大人に近づくという話、要約すると危ない雰囲気がしますが、そういう話ではないので、残念ながら。 少し切ない経験を経たみっちゃんの旅は後半に続く。 ・さよなら、パパ。14歳~卒業~ 後半。札幌に到着したみっちゃんが、北野雄二のお店に変装をして訪れるが、という話。 みっちゃんと妙子のオトボケな会話を楽しむ話、と見せかけて、実は、という内容でした。妙子さんはすごいなぁ。 本作を持ってみっちゃんは憧れの存在である北野雄二にお別れを告げて、また少し成長するのでした。 なお、本作品集において北野雄二は登場しません。 そこは寂しいような気もしますが、北野雄二は出てくると何もかもを大岡越前の如くまるっと解決してしまうので、スピンオフ短編としては出ないほうが正解なのかもしれません。 ・見合いでごはん 二階堂さんが主役。 城山部長の頼みでお見合いをすることになった二階堂さんが、部長のメンツを保ちつつもうまく断ろうと画策する話。 本編のキャラ通りの二階堂さんで、不器用の果にひどい別れ方をするも、なんとなくいい雰囲気で終わるストーリーとなっています。 ファンとしては、富士野大の岩館くんとはどうしちゃったの?と気になってしまうところですが、彼とは本編時以上の絡みはなかったようで、回想としてすら登場しないために少し切ないような気分になってしまいました。 ・フレデリック 本編連載時にも散々話題になった、稲葉くんの謎の本の話。 本誌を手にとった人の多くは、本作が読みたくで本書を買ったと言っても過言ではないのではないでしょうか。 スれててエロい稲葉くんの高校生時代の話となっています。 ただ、話自体は抽象的すぎてよくわからなかったというのが正直なところです。 結局の所、本編でなぜあんなに怒ったのかもわからず終いでした。 ・小雪ちゃんとあそぼう! タイトル通り、小雪ちゃんの話。 相変わらず就職浪人中でライテックスでアルバイト扱いで働いている小雪ちゃんがある日合コンに行くことになり、それを聞きつけたLCチームのメンバーが合コンに闖入する。 一番いいひと本編っぽい、ご都合主義でハッピーエンドな話でした。本短編集内では一番好きな話です。 ・さよなら、パパ。 再びみっちゃんが主役の話。ただし、本編終了からそれほど年月の経っていない、6歳のみっちゃんが主人公。 6歳の女の子が、単身札幌まで北野雄二に会いに行き、紆余曲折の末ゆーじのお店に着いて、そして。 本書一作目で14歳のみっちゃんを先に読んでいるため、その顛末を知っているので、本作はより切なく感じます。 “いいひと。”を読んだ上でないと楽しめない作品集ですが、全作品名作です。 感動したい人、面白い漫画が読みたい人には私的には“いいひと。”とあわせておすすめします。 久しぶりに押入れから引っ張り出してページを捲りましたが、年を経てもやっぱりいい作品集だと思いました。
by うにたべたい (581)