『ミッドナイトブルー:色の名称。「真夜中の青」と形容される、ほとんど黒に近い青のこと。濃紺よりも暗い紫みの青。中国明朝の磁器に用いられた釉薬から名前がついた「ミンブルー」に由来するという説もある。』 ――それは高3の夏「卒業しても2年ごとに集まって4人で火星観測をしよう」そう約束した2日後に、彼女は交通事故で死んでしまった。天文部の同級生だった僕たち3人は彼女との約束を守り、2年に1度集まっている。そこには、僕にしか見えていない彼女も来ているけれど―――…。(「ミッドナイトブルー」) 戻れない青春の日々を大事に慈しむ表題作他、ノスタルジー溢れる短編全7編を収録。新世代の叙情派ストーリーテラーが贈る傑作短編集。―― 人生の宝箱に入れたくなる物語たちをあなたへ ――
灯がともる。涙があふれる。『世にも奇妙な物語』にてドラマ化された一編を含む、名手の傑作ヒューマンSFシリーズ!街がある。その街には、「スキエンティア(科学の女神)」と呼ばれる像が掲げられた超高層タワーが立っている。ひときわ高く、あたかも人々の営みを見つめるように。主人公はその街に生きる彷徨える者たち。彼らは今日も、己の人生を一変させたいと願い、「禁断の科学」にすがる…自殺願望のある女が、車椅子の老婆に身体をレンタルする『ボディレンタル』飲ませた相手に必ず惚れられるクスリ『媚薬』母親が死んだ娘のクローンを育てる『クローン』愛が見えると噂のドラッグを女子高生が求める『ドラッグ』それを使うと誰もが「天才」になれる『覚醒機』ほか、全7編を収録。戸田誠二プロフィール1969年静岡県生まれ。自身のHP「COMPLEXPOOL」にてオリジナル短編漫画の無料公開を開始、「インディーズコミック」の地平を拓く。それらの作品を集めた『生きるススメ』で単行本デビュー。代表作『しあわせ』『ストーリー』『説得ゲーム』『唄う骨』『化けの皮』『美咲ヶ丘ite』
ヒトの形をした動物に関する歴史の話。水たまりの中の自分と顔を交換した人の話。ゴミ川の中のフラスコの中の人魚の話。現代の路上にいる神の話。ウェブで話題のSF作品群に描き下ろしを加え、待望の単行本化。●収録作品『偽史山人伝』『日曜は水の町に』『人魚川の点景』『人間のように立つ』『姉の顔の猫』『現代路上神話』『存在集』(描き下ろし)●詩野うら作品既刊『有害無罪玩具』(好評発売中)
『有害無罪玩具』に続く、詩野うら2作目の読切集。 表題作「偽史山人伝」ほか6作、うち描き下ろし1作。 奇妙奇天烈で心がザワつくような作風は前作通り。 前作よりも"全ページ全行に挿絵が入った奇想小説"感(伝われ)が強くて、やはり腰を据えてじっくり読むことをおすすめ。 『有害無罪玩具』よりもフォークロアチックなSFで、表題作「偽史山人伝」からそれに続く「あとがき」、さらに書き下ろし「存在集」と後半が凄かった。 前半は前半で「人間のように立つ」のちょっとウェットな雰囲気や「現代路上神話」の頭がおかしくなってきそうな(貶してない)ザ・"奇想"感も病みつきになります。 そしてラストの「巻末あとがき」。ここまで見逃さないで読んでください。
by せーふぁ (1046)