口に含めば昔の夢を見せてくれる金平糖。近い過去、遠い過去、時空にたたずむ誰かの想いが、君を呼んでる――。4つの味を召し上がれ。
いろんなタイプのホラーが詰まったオムニバス。 各エピソードはガッツリ怖いです。ぐいぐい読ませる。 また構造的に面白いのが、「タイトルと実際の百物語、主人公の年齢と家庭環境」のギャップです。 記録によると百物語は「100個目を話してしまうと、怪異に見舞われるため99個まで語って朝を待つ」のが正式なやり方とされています。 しかし、本作一話目で「全部終わった時に本物の幽霊が出るんだって」と主人公が話しています。 さらに、毎話の始まりと終わりに挟まれるカットで、どうやら主人公の家庭環境が普通じゃないことがわかってきます。 ここでメタ的に、いくつか結末が予想できます。 ① 本作は全十巻・全百話で構成されている? ②-1 100話目を話してしまって、怪異に見舞われて死んでしまう?(タイトル回収) ②-2 99話を話し終えて、最後の百話目で「家庭環境がもたらす災厄」で死んでしまう?(ある意味タイトル回収) 怪談を一つ語るたびに少しずつ主人公の家庭環境について話が進みますが、それが②-2の結末につながる終え方もあるので読者は読んでいる間ずっと気が抜けないんですね。 また本作をより怖く感じるのに一役買っているのが、 「主人公が小学校低学年という年齢上、客観的事実、いわゆる神の視点で見えるものが正しいかどうかがわからない」という部分です。 主人公の自室から聞こえる情報だけで想像するしかないのですが、ここがそもそもボヤけているのがより怖くしているポイント。 とても面白い作品です。最後まで追いかけたいと思います。
by せーふぁ (1046)エリート会社員の父に憧れ、大手企業を目指して就活していた正道(24)。しかし面接に失敗し、投げやりな気持ちで書店員になる。一方、正道の先輩・真希(27)は、少女漫画をこよなく愛するものの、7年付き合った彼氏にフラれ、現実の恋には臆病に。――不器用なふたりが出会ったとき、温かくときめく、素敵な恋の物語がはじまります。(収録作品:「僕は小さな書店員。~倉持真希の場合~」第3話)
就活に失敗し、書店員として働く正道と7年付き合った彼氏に振られたアラサーの真希、ふたりの優しくてあたたかい物語。 正道が真希を好きになる過程をすっ飛ばしており、1巻で付き合う&初夜を迎えるという展開の早さ。さすがにもう少し、付き合うまでの過程をじっくり読みたかったかも。 しかし、登場人物は全体的に好印象!正道はクールかと思いきや、年下の素直な可愛らしさと、稀に見せる男っぽさを持ち合わせた色気のあるボーイ。一方、真希は仕事面に対してはしっかりしているが、恋愛面に関しては初恋のように、ひとつひとつのときめきを噛み締めているところがめちゃくちゃ可愛い。そして、サブキャラの店長も仏のような存在なのが推せる。 不器用なふたりの可愛い恋模様をじっくり堪能したい方におすすめ。
by れとれとさん (961)