夢中さ、きみに。

和山やま

4.08

23916

発刊:2019.08.10 〜

完結・全1巻

『夢中さ、きみに。(1)』巻の書影
やんまさん、他2人が読んでいます

この漫画のレビュー

5.0
4.0
3.0
2.0
1.0
4.08

561件の評価

4.7

1巻まで読みました

和山やま氏の最初の単行本。
Wikipediaによれば、元は同人誌として頒布されていた作品ですが、コミックビームの編集者の目に止まって単行本化されたとのこです。
2019年から活動開始なので、2021年6月時点でマンガ家としてはデビューしたての新人なのですが、本作も2020年のマンガ大賞で7位にランクインしいて、さらに同作者の別作品『カラオケ行こ!』は、2021年のマンガ大賞で3位に選ばれています。
また、本作はいくつかの賞を受賞していて、大西流星主演でドラマ化もされており、和山やま氏は今注目の作家といえると思います。

内容は全8編の作品からなる短編集です。
ただ、前半の4作と後半の4作はそれぞれ一連の作品となっています。

前半の4作『かわいい人』から『走れ山田!』までは、ミステリアスな男子高校生「林美良」が中心になっています。
最初の作品『かわいい人』では、体育祭で借り物競争に出場した「江間くん」は、"かわいい人"を借りるというお題で、なぜか網に絡まっている林くんを借りてゴールします。
それが嬉しかったのか、林くんは江間くんにかわいいいアピールをします。
授業中にクマに偶然遭遇した際に備えるための本を読んでいた林くんは、江間くんの家にパンダのキグルミ姿で現れ、生活を脅かし職質にも会うという内容となっています。
端的に言うと林くんは相当変なやつで、シュールな笑いを誘うギャグ漫画となっています。
タイトル、作品の雰囲気からBL的な作品かと思ってドキドキしてページをめくったのですが、嬉しい誤算でした。

後半4作は"二階堂シリーズ"です。
二階堂くんはジメジメして陰気な雰囲気を醸しており、目が合うと金縛りにあうだの、二階堂に触れると二階堂になるなどの話があるため、誰も近づこうとしません。
伊藤潤二か丸尾末広のキャラクターのような見た目の彼ですが、クラスメイトのユウイチくんは、ひょんなことで彼が、中学校の頃はジャニーズ系美少年で、女の子の人気者だったことを知ります。
試しに二階堂くんを笑わせてみると、とてもかわいい本当の彼の顔が顕になってしまい、ユウイチくんは、二階堂くんが人を遠ざけるためわざとそういうキャラ付けをしていたことを知るという展開です。
こちらもシュールなギャグ漫画で、前半の4作同様どこかほっこりした気持ちになれる作品でした。
もてないようにするため入学式に向けて坊主にし、ブレザーのすそをズボンにインして高校デビューに挑むなど、林くんと同じく二階堂くんもかなり変なキャラです。

読んでいて何度もフフフッとする、不思議な魅力があふれる短篇集です。
タイトル通り、君に夢中になれる作品だと思います。

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