池谷理香子

読み応えがあった。あちらこちらで複雑な人間関係が繰り広げられている・・。
あーちゃんと開が良いやつすぎる。開にはほんとに幸せになって欲しいな。
記憶喪失って実際こんなに人格変わるんかなと思ったけど、環境で人は作られるからそりゃ変わるか。

事故で記憶を失ってしまった詩織。事故前の横暴な自分に嫌気がさしながら、菊川詩織2号として家族、友人と関わりながら成長をしていく過程を描く作品。

記憶を失っても兄であるあーちゃんを好きになってしまうところは運命が引き寄せているのか。しかし、兄を好きになってはいけないことだとグルグルしながら気持ちを押し殺そうとしている姿が切なく、上手く表現されている。

記憶が戻った後、病み落ちした詩織の表情や言動の表現も秀逸だった。詩織のヤンデレ感にゾワゾワしながら、そして早く元に戻ってくれと願いながらページをめくる手が止まらなかった。

恋愛のことはもちろん、家族にたいする感情に対しても丁寧に描いているので、キャラの特徴が掴みやすい。そして、綺麗事ばかりじゃない汚い感情が溢れる現実世界もありのまま描き切っているのが、普通の少女漫画ではそうそうないので、そこもまた魅力である。