うにたべたい さんのレビュー

581

4.9

33巻まで読みました

今日から俺は!!、GS美神 極楽大作戦!!、行け!!南国アイスホッケー部などと同時期に連載され、1990年代頭頃に全盛期だったサンデーを支えた一作。
超王道系の少年漫画で、壮大なストーリー展開、序盤から貼られれていた伏線を見事に回収して、迎えた最終決戦、そのカタルシスがすばらしい、マンガ史に残る名著だと思います。

主人公は、当初、元気が取り柄のただの少年だった蒼月潮(うしお)です。
寺の住職をやっている父の言いつけで蔵の掃除をしていたうしおは、その地下で、一本の槍に縫い止められていた妖怪と出会います。
かつてその圧倒的な強さで、多くの妖怪に恐れられた大妖怪だった"そいつ"は、人間を食い散らかすため槍を抜くことをうしおに命ずるが、そんな危険な命令を聞くはずもなく、うしおは蔵から出てゆく。
だが、地下の扉を開けたことで引き寄せられた妖怪が同級生を襲いかかったことから、やむなくうしおは、その大妖怪を開放するが、槍から放たれたそいつは同級生たちを助けること無く行動しようとする。
それに怒ったうしおは、槍の力を使ってそいつをひっぱたいて、妖怪たちを退治する。

その槍は『獣の槍』といい、2000年以上も前、中国で妖怪退治のために作られた槍だった。
うしおは監視のため、とらと名付けたそいつを槍で制御し、襲い来る妖怪たちによる奇妙な事件に立ち向かっていゆくというストーリーです。
最初は短いストーリーがいくつか入り、妖怪による怪事件を、うしをととらが力を合わせて解決していく展開が続きます。
中盤、うしおが母の秘密を知るために北へ向かうのですが、その道中、"あの女の息子"として命を狙ってくる妖怪より、「白面の者」という大妖怪の存在を知ります。
そして、獣の槍誕生の秘密、母の居場所、うしおの使命、さらには、とらの正体や、白面の者とはといった謎が少しずつ解き明かされてゆく内容となっています。

最初から最後まで一直線にストーリーが進み、ひょっとしたらあったのかもしれないのですが、サンデーお決まりの引き伸ばしをあまり感じませんでした。
中だるみはなく、話数が進むたびに面白くなってゆくのがすごいです。
ただ、気味の悪い妖怪が罪のない人々を惨たらしく殺してゆく展開が多く、しかもなんとなく良い話みたいに終わってスッキリしないことも多々あります。
基本的には短い話でも毎話毎話感動的で、グロだけは注意ですが、多くの人におすすめしたい作品です。

うしおととら

レビュー(565)件

完結・全33巻

4.6

1巻まで読みました

歴史研究家・明智 憲三郎氏の著書『本能寺の変 431年目の真実』を原案としたコミカライズ作品『信長を殺した男~本能寺の変 431年目の真実~』の外伝。
本編連載中に描かれた作品のため、作中に本編のネタバレはなく、本編は読み途中であっても本作を読んで問題はないです。

内容は大きく4編の短編集となっています。

"本能寺の変"から一年後、「大阪城築城」を祝した茶会で羽柴秀吉に呼ばれた茶人「道薫」は、かつて信長の謀反人であった「荒木村重」であった。
秀吉は村重をこき下ろすと共に、大謀反人であった「松永弾正」について回想する。
"乱世の梟雄"松永弾正を下した信貴山城攻めを、羽柴秀吉視点で描いた「日輪」と、本編連載内容の再掲となる、信貴山城攻めの真実「饕餮」。
そして、太田牛一によって書かれた『信長公記』のエピソードの一つをコミカライズした短編「乱世の妖術師」。
明智光秀の長女、歴史上ではただ"女"とだけ記された彼女を描いた「戦国を生きた女」が収録されています。

本書中メインとなるマンガは「日輪」で、「饕餮」は本編のエピソードと同じ内容を載せたもの、「乱世の妖術師」と「戦国を生きた女」は非常に短い話になっています。
「日輪」は、信貴山城の戦いを歴史上の定説を交えて紹介したものとなっており、非常に勉強になります。
ただ、本編しかり、一般に流布されている歴史もしかりですが、登場人物は多少誇張されていたり、内容は明智憲三郎氏の一説である部分もあるので、その点は注意が必要と思います。
本書記載の内容はそれとして、歴史の真実は、自分で調べるなりすることが重要と思います。

ただ、本作自体はストーリー漫画として面白く、歴史の授業はそれすなわち睡眠学習の時間であった私が読んで十分楽しめる内容でした。
"本能寺の変"という言葉は知っているが、それがどういうものであるかピンとこなかった頃に比べると、ありがたいことに本作と本編でかなり基礎的な知識がついた気がします。
本作を足がかりに、この時代の時代小説や時代劇も触れてみたいと思いました。

信長を殺した男 外伝―乱世の麒麟たち―

レビュー(1)件

既刊1巻

4.3

28巻まで読みました

ヤングジャンプで連載していたラブコメディ。
原作者の赤坂アカ氏は、他に『推しの子』の原作も手掛けたヒットメーカーで、本作も、言わずとしれた氏の代表作です。
2025年8月時点で3クールにわたるアニメ化、平野紫耀と橋本環奈をメインに据えた2度の実写映画化を行った大ヒット作品。
その一方で、最終回が一部ファンの期待にそれたことから批判され、『推しの子』の最終巻も同様に投げ出したような最終話に炎上したという経緯があります。
『推しの子』は未読なので、なんとも言えないですが、少なくとも、本作は批判されるようなラストではないと個人的には思いました。
ネタバレになるので細かくは書かないですが、最終話で批判をしている方のポイントを確認すると、わからなくもないような気もしており、今までその世界に浸ってきたからこそ気になるポイントのように思えます。
ただ、そこまで読み込んだファンではなく、気ままに一作品として読んでいた私的には、正直、気にもしなかったところなので、「おもしろいそうなので、読んでみよう」という方は十分楽しめる作品だと思います。

舞台は、東京港区にある名門校・秀知院学園。
元々、貴族や士族の教育機関として設立されたという由緒ある歴史を持ち、日本の将来を担う大富豪や名家の子息・令嬢が通っています。
外部入学も一応可能だが、偏差値は77前後という高い水準を誇っています。
その秀知院学園の生徒会室にて、生徒会長を務めるのは、珍しい一般市民階層からの入学である秀才・白銀御行。彼が本作の主人公です。
生徒会室副会長を務めているのは、総資産200兆円の巨大財閥『四宮グループ』の令嬢・四宮かぐや。彼女もまた、本作の主人公の一人です。
学園一の秀才と大財閥の令嬢のコンビである二人は、衆目を集め、似合いの二人であると噂されています。
お互いがお互いを認め合っており、互いに惹かれ合っているのですが、共にプライドが高く、そのまま半年経過しても何も進捗のない状態となっていました。
いつしか二人は、自分から告白することを「負け」と考えるようになり、「如何にして相手に告白させるか」を競い合うようになる、というストーリーです。

些細な言葉尻、揚げ足を取り合い、好きであるということを認めさせるために頭脳をフル回転させるという、非常にバカバカしいですがお互い真剣な勝負として成り立っているのが面白いです。
序盤は基本的に一話完結型でテンポも良く、ライトに読みやすいと思います。
サブキャラクターも魅力的で、天然でへっぽこな藤原書記が、二人の攻防戦に空気を読まずに割り込んで、戦局を不透明にしたりします。
序中盤の生徒会選挙戦で、白銀御行は一年生・伊井野ミコと生徒会長の座を巡って争いますが、以降は、会計・石上優と会計監査となった伊井野ミコ、石上が片思いをしている子安つばめを含めた恋愛ドラマが平行する形となります。
結構、サブキャラクターは多く登場し、中盤からはサブキャラクターのストーリーが多くなります。
また、四宮家のお家騒動が発生し、すべてを巻き込む形で最終回へつき走り、序盤の中学生同士の恋愛のような展開からは想像できないドラマティックな終わり方となりました。

個人的には大満足な内容で、すべてのわだかまりが解決された、素晴らしい終わり方と思います。
ただ、途中までサブキャラクターのストーリーが並行していたのですが、メインの二人以外については、あまりその後を語られずに終わったのが微妙なところで、批判の対象でもあるところですね。
もう少し丁寧に描かれていればと思う部分もないではないのですが、それを踏まえても良い終わり方だったと思いました。

かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~

レビュー(1061)件

完結・全28巻

4.5

20巻まで読みました

週刊少年ジャンプ連載のヤンキー漫画。
1980年代から1990年代、「今日から俺は!!」、「ろくでなしBLUES」、「カメレオン」などの名作が生まれた、ヤンキー漫画全盛時代の作品の一つです。
当時、週刊少年マガジンで連載していたヤンキー漫画に名作が多く、1997年にはマガジンの発行部数がジャンプを上回る結果となりました。
一応、ジャンプでもヤンキー漫画の連載があったのですが、幽遊白書やジョジョ三部など、主人公は不良だがヤンキー漫画とは言えない作品が多かったです。
そんな中で、割と珍しい、特殊能力を持たない不良が描かれたジャンプ連載のヤンキー漫画だと思います。

私立楽園高校の1年、日々野晴矢が主人公。
彼が街を徘徊していたところ、工事現場でバイト中の岡本清志朗に衝突されます。
そこで人間離れした腕力に圧倒される岡本だが、その日の帰りに、路地裏に不良集団に絡まれ、バイト代を奪われそうになる。
そこに再度、晴矢が現れ、岡本を助けたところでストーリーが始まります。

数話程度の短いストーリーが繰り返されるスタイルで、その間のインターバルはほぼなく次々と悪人が現れます。
基本的に未成年の不良集団が相手なのですが、ジャンプでは珍しく、レイプ描写があります。
直接的なシーンはないですが、平凡な一般人が、気の触れた悪人に襲われた後となる描写や、あるいは、過去に繰り返してきたような発言があり、過激度は高めです。
また、タバコ、酒はもちろん、ドラッグ使用のシーンもあり、調理するためさらった生まれたばかりの子どもを悪人から取り返すようなストーリーもあります。
文字通り命がけで戦うシーンがあり、等身大の不良というよりも、ジャンプらしいバトルマンガよりであると言えるかもしれません。

ライバルやラスボスのようなキャラはおらず、基本的に悪人側は一度倒すと再登場はないです。
途中、ロックバンド・FIRE GUNSのギタリストである一条誠が登場し、マッドサタンの襲撃に負けずバンドを続けるため、晴矢をボーカルに引き入れます。
これが最終回の伏線となっており、一条のバンド活動と岡本の夢が描かれる形で物語が終幕しました。

絵はきれいで読みやすく、テンポも良いです。
暴力的な世界観の中、晴矢は最強のキャラとして描かれているのですが、晴矢自身の心情や、彼自身のストーリーがあまり描かれていない感じがあります。
世界征服の野望を持っているのですが、彼が何者で、なぜこれほどまでの強さを身につけているかといった経緯は描かれないです。
ジャンプらしい血筋や過去編もなく、物語が薄い感じがあったのが少し気になりました。

文庫版 BOY

レビュー(3)件

完結・全20巻

4.7

38巻まで読みました

週刊少年サンデー連載のヤンキー漫画。
代表的なヤンキー漫画を上げたときには必ず列挙される有名作品です。
地上波アニメにはなっていないですが、実写化でドラマ化、映画化されており、週刊少年サンデーの代表作としてもあげられる多いです。

舞台は千葉県の私立軟葉高校。
主人公の三橋貴志は、転校を機に髪を金色に染めヤンキーデビューします。
同日、同じく軟葉高校に転校してきた伊藤真司もまた、転校を機にヤンキーデビューするため、髪をツンツンに逆立てます。
初登校の日、二人は偶然、同じクラスになり、顔を合わせるのですが、早速、ケンカになってしまう。
目立ちたがり屋で卑怯な三橋とマジメで義理堅い伊藤は反りが合わないのですが、なんだかんだコンビを組み、ケンカにだらけの学園生活を過ごしてゆくストーリーです。

ヤンキー漫画なので暴力描写は多いのですが、どちらかというとギャグ色が高いです。
等身大の名うてのヤンキーたちが三橋のせいでひどい目にあい、笑いものにされる哀れなシーンが多く、息が苦しくなるくらい爆笑できます。
一方で、悪党が現れて卑劣な手段で理不尽な暴力を振るうのを、その仕返しで三橋が手段を選ばないさらに卑怯な手を使って相手をタコ殴りにするシーンも多いです。
卑怯を卑怯で返す展開が多々あるのですが、かなり性格悪く描かれる悪人が多いためか、不思議に誤読感は良く、勧善懲悪的なすっきり感がありました。
数話程度の中短編が繰り返されるパターンで、テンポが良く読みやすいです。
ストーリーの縦軸のようなものはなく、話数が進むにつれてキャラクターは増えてゆきますが、メインキャラはあまり増えないためかゴチャゴチャ感は少ないです。
三橋、伊藤、ヒロインポジションの赤坂理子と伊藤と恋人同士となる早川京子、途中でほぼ道化役となってしまう紅羽高校番長の今井、その子分である谷川くらいがレギュラーですね。

また、ヤンキー漫画ですが描写も比較的マイルドです。
タバコ、ドラッグはほとんど出てこず、レイプも表現自体なし、暴走族も出てこず、ヤクザもほぼギャグ要因としてしか登場はないです。
悪党は登場しますが、直接的な暴力がほぼで、その後、三橋らに成敗されるのがオチである上、ほとんどギャグ漫画よりのヤンキー漫画なので、子どもに悪影響が少ないのもヒットした要因と思います。

今となっては古い作品ですが、今読んでも十分楽しめます。
まさに不朽の名作といえる作品です。

今日から俺は!!

レビュー(417)件

完結・全38巻

3.8

19巻まで読みました

イギリス・ウェールズにある魔法使いの村にて、首席で卒業した10歳の少年「ネギ・スプリングフィールド」が主人公。
彼はその卒業式の日に、修行の地として日本で教師をすることを示される。
立派な魔法使い(マギステル・マギ)を目指すネギは、一人、赴任先である麻帆良学園に降り立ち、そこで魔法使いということを秘密にした上で、教師を始める。

「ラブひな」を大人気の中、完結させた赤松健氏の次回作です。
ネギが教壇に立つ女子中等部の2年A組には個性的な31人のクラスメイトがいて、ネギは各生徒と懇親を深め成長していく物語となっています。
序盤はハーレムもののラブコメが展開されており、いたいけな中学生女子がネギのうっかりで全裸をさらしてしまい、暴力ヒロイン神楽坂明日菜にぶん殴られるのがフォーマットです。
ただ、主人公が子どもであることと、うっかり乳揉むなどのラッキースケベ的な展開が少ないためか、前作「ラブひな」に比較すると暴力描写は少なくなったように思います。
一方で、主人公は10歳の子ども先生ですが、女子中学生のお姉さんに迫られるシーンは多く、そういう意味では「ラブひな」以上にスケベな作品と言えるかもしれません。

31人のクラスメイトは非常に個性的です。
大人びた子、逆に小学生低学年のような子、今どきの子たちに、忍者からスナイパー、中国拳法使い、マッドサイエンティスト、ロボ、魔物などなど、個性がすぎるメンバーがいます。
全員がヒロインというわけではないのですが、各キャラに設定があり、読み進めると実は魔法世界とつながりのあった生徒や、つながりをもつ生徒が登場します。
並行して、ネギとの親密度を上げてゆく生徒がいたり、語られない過去があったり、衝撃の正体が明かされるキャラがいたりします。
そうしてストーリーが進んでゆき、ネギはマギステル・マギを目指しながら、行方不明の父「ナギ・スプリングフィールド」を探すというストーリーとなっています。

絵はきれいで、個性的なキャラの描き分けもかなりうまいです。
ラブコメ描写もさすが赤松健という感じです。
個人的には、大好きなネギ先生に近づいていく宮崎のどかと、友人を応援するという名分で自分の心を偽り続ける綾瀬夕映の三角関係が好みでした。
また、メインキャラではないが、シンプルにビジュアルが可愛らしい佐々木まき絵が、序盤、(自分も含めて)大人気でした。
ネギを尊敬しながらも、女の子同士でくっついてしまう近衛木乃香と桜咲刹那などがいたり、多方面に対応したラブコメで、当時のオタクたちが推しを巡ってCD(キャラソン)を買い漁っていました。
人間関係がかなりぐちゃぐちゃしているのですが、その点では混乱することがなかったです。
序盤はまき絵推しでしたが、最終的には古菲や大河内アキラがかわいくみえてきて、読者サイドの感情が忙しいマンガだと思います。

中盤まではラブコメが続くのですが、中盤よりネギと一部の生徒は、魔法世界へ旅立つこととなります。
以降は、過去の大戦が絡んだストーリーとなり、魔法世界の正体や世界滅亡の危機、様々な立ち位置の思惑を持って動く組織や人々が登場します。
文字数がかなり多くなり、ストーリーが複雑で難しくなってゆきます。
序盤から想定していたストーリーではあると思うのですが、時々挟まるラブコメパート以外はついていけなくなったというのが正直なところです。
終盤はかなり駆け足となり、スッキリしないまま完結となりました。
その後、同一世界観の続編として「UQ HOLDER!」という別作品が連載され、その完結をもってネギまは完結となったようなので、そこまで読み切るまでは評価は仮置きとした方がいいのだろうか。

魔法先生ネギま! 新装版

レビュー(7)件

完結・全19巻

3.6

29巻まで読みました

週刊少年ジャンプ連載作品。
2019年から2025年まで連載しており、同時期には呪術廻戦やチェンソーマン、少し後にアンデッドアンラックやマッシュルなどの連載が始まりました。
様々な作品が連載開始し打ち切られていく中で、無難な人気を継続していた作品です。

主人公は、高校生の朝野太陽。
彼は幼少期に家族を失っており、以来ショックで他人との関わりを避けています。
そんな中で、唯一、幼なじみの夜桜六美にのみ心を許せる太陽でしたが、そんな六美を溺愛する変態教師・昼川凶一郎に目をつけられ、喉元にナイフをあてられます。
その時、謎の人物たちに助けられるが、彼らは皆、六美の兄妹であり、六美を含めた全員がスパイのスパイ一家だった。
実は昼川凶一郎も六美の兄でスパイなのだが、凶一郎は六美を溺愛しており、六美と懇意にしている太陽の命を狙っています。
それを迎え撃つ兄妹たちだったが、そんな兄妹ゲンカに終止符を打つため、太陽は六美と結婚することにする、という展開です。

最初はギャグですが、途中からバトルにスライドするジャンプの王道展開をとっています。
スタート時点からバトルにスライドしやすい展開になっており、ジャンプらしい作品といえると思います。
一方で、序盤は六美やクラスメイトの切崎殺香など、ラブコメ要素が入りそうなところもありましたが、途中からラブコメ要素は完全切り捨てとなりバトル漫画にシフトしています。
途中から太陽と六美の子どもが登場し、ラブコメ路線は完全になくなりヤンデレ気味な殺香も空気キャラとなったのは少し残念でした。
人妻の六美も完全に落ち着いてしまい、兄弟姉妹たちのサイドストーリーもなく、ラブコメ要素がなくなってしまったのは個人的に残念なところでした。
一方で、四女の四怨が露出変態キャラみたいになり、ジャンプ読者の注目を集めました。
四怨目的で読んでいた層も一定量いたのではないかと思います(私含め)。

バトルにシフトしてからは、夜桜家に流れる「ソメイニン」と呼ばれる血の力や"開花"と呼ばれる能力の覚醒という、パワーアップ要素が追加されます。
割と王道バトルな展開なのですが、次々と新たな敵が登場するのではなく、基本的に一本道なストーリーです。
太陽の両親の死の真相や、兄弟のパワーアップ、太陽と六美の子どもの登場がありますが、最終的な敵を倒すために夜桜家は最後の作戦を決行する展開となります。
大筋としてはわかりやすく、キャラクターも少ないのですが、それでも終盤はかなりごちゃつきます。
兄弟同士がわちゃわちゃする日常パートは良かったのですが、それも終盤はほとんどなくなり、ほぼバトルとなります。
終盤は読んでも頭にほとんど残らなかったというのが、正直なところですね。

日常パートは良かったのですが、クールで無自覚エロ担当だった四怨もあざとくなっていったのも残念なところです。
一方で、そんなごたごたの末に迎えた最終話はかなりきれいに収まっています。
終わり良ければ全て良し的なところもあり、トータルで悪くない作品だったと思います。

夜桜さんちの大作戦

レビュー(170)件

完結・全29巻

4.7

20巻まで読みました

週刊少年ジャンプに連載されていたギャグ漫画「ジャングルの王者ターちゃん♡」の続編。
タイトルだけを改題した続編ですが、完全に下ネタギャグマンガだった前作とは違い、改題後は長編のバトル要素が入ることが多くなりました。
アニメ化も改題後に決定され、"新"の内容がメインだったため、『ジャングルの王者ターちゃん♡』といえば、本作の方が有名なのではと思います。

主人公は、生まれてすぐにアフリカサバンナに置き去りにされ、チンパンジーに育てられた野生児・ターちゃんです。
ターちゃんは、類まれなる格闘センスでサバンナの動物たち守るためを密猟者と戦い、サバンナの平和を守っています。
キャラクターは前作から引き続き登場しますが、改題後に改めて舞台やキャラクターの説明などは行われていないです。
ただし、元々ストーリーのほとんどないギャグマンガだったということもあるので、特に説明がなくても読む上で問題なく楽しめると思います。
そのため、本作からでも十分に楽しめると思います。

前作は一話完結の形式でしたが、本作では長編のエピソードが挿入されています。
数話が進むと、ユンケル帝国の国王の推薦を受けて格闘トーナメントに参加することになります。
そこで王位簒奪の野心を持つマハラジャの企みと、彼が創り出したバイオ戦士との戦いに巻き込まれることになります。
ユンケル帝国編の後は、勁の力を扱う中国西派のトーナメントに出場、アメリカではターちゃんの出生の秘密に近づくMAXとの戦いに巻き込まれまれるなどのように続きます。

長編のバトル展開が挟まり、それが終わるとまた一話完結型のギャグマンガに戻る構成になっており、ヴァンパイア一族との戦いや、終盤では未来からきた昆虫人間と戦うという、ファンタジーやSF要素も含まれています。
戦闘の描写には人体の切断や全身火傷といったハードな表現があり、命を失いかねない生身のバトルが描かれているのが特徴的です。
一方で、非道な敵のふるまいに激怒したターちゃんが敵を誅つという、ジャンプらしいスピーディーでわかりやすい展開も魅力です。
また、シリアスな場面の間に下ネタギャグが挟まれ、テンポよく読みやすい作品となっています。

改題前に比較するとシリアスな場面は多いのですが、一方で、改題前からあった下品なギャグも健在です。
女性の全裸描写も相変わらず多く、いい大人がちんちんぶらぶらさせるに留まらず、時にはカウパーすら流しながらバキバキに勃起します。
アニメ化するとして、謎の光や不自然なカメラワークが必須になるような内容で、今改めて読むとよくアニメにできたなと驚きです。

新 ジャングルの王者ターちゃん

レビュー(55)件

完結・全20巻

3.9

10巻まで読みました

渋谷を縄張りに自分らしい生き方を貫くギャル「寿蘭」を主人公にした少女マンガ。
りぼんマスコットコミックス連載作品で、『超GALS! 寿蘭』というタイトルで日曜朝に、4クールアニメになっていました。
後に同枠は、小学生男児向けのアニメ枠になりましたが、ニチアサのアニメということで記憶にある方も多いのではと思います。

主人公の寿蘭は、渋谷を拠点とする女子高生ギャルで、代々警察官の家系に生まれ育ち、幼少期から警察官になることを言われ続けています。
しかし、本人にその気はなく、口うるさい親や警察官の兄を交わしながら、渋谷の街で大暴れしています。
厳しい家に育てられ家から逃げ出した優等生「星野綾」と、蘭の中学時代からの友人で、両親が離婚し再婚した母から見放されている「山咲美由」の3人が主人公格として登場します。
3人とも家庭に少し問題があるのですが、底抜けに明るく喧嘩っ早い蘭に引っ張られる形で笑顔を取り戻す姿が描かれます。

渋谷でギャルとなると、パパ活でお金を稼いでホストに貢ぐ展開とかイメージしてしまうのですが、そこはりぼんマスコットコミックスなのでそこまではないです。
ただし、援助交際というワードは登場し、作中のキャラが自暴自棄になりかけるのですが、そこで我らが寿蘭様が登場して切り込みをいれるので、子どもにも安心の作品だと思います。
3人の少女の友情も本作のテーマで、親から見捨てられた美由は一時期、寿家に居候をしたりします。
ギャルの明るい面だけを捉えているわけではなく、明るい雰囲気ではあるのですが、なにげにしっかりとドラマ性も含まれていると思いました。

恋愛描写もあります。
ただ、作中で序盤より、「スーパー高校生グランプリ」で優勝したイケメン男子高校生「乙幡麗」が登場し、彼が実は寿蘭に好意を抱いているという描写があります。
その思いを秘めながら、綾の猛アタックにより綾と付き合うのですが、綾に対しても蘭が好きだと告白をしています。
三角関係がどこかで描かれるのかと思いきや、その後、ぽっと出のガングロ男子高校生「タツキチ」が登場。
軽いノリで蘭と付き合い、最終的に両思いになるのがなんかモヤりました。
麗とタツキチ、蘭と綾がぶつかったりはせず、少女マンガですがドロドロの恋愛ドラマは展開されず、思いを胸に秘めたまま笑顔で終わるのは逆に珍しいような気がします。

今となっては古い作品なのですが、絵はかわいらしく、ごちゃごちゃしていますが読みやすいです。
また、2025年3月現在、続編が連載中です。
舞台は現代ではなく、蘭たちが卒業した2002年が舞台になっているそうなのですが、こちらも読んでみたいと思います。

GALS!

レビュー(112)件

完結・全10巻

4.2

46巻まで読みました

NARUTO、BREACH、銀魂と並び、2000年代のジャンプを代表する作品の一つです。
10クール以上のアニメ化、実写映画、ゲーム化に加え、2.5次元と呼ばれるミュージカルが、特に女性を中心に人気になりました。
テニミュと呼ばれるミュージカル版のテニスの王子様は20作品以上が作られ、もはや独自のジャンルとして確立されています。
テニスをテーマにしたスポーツ漫画なのですが、個性的なキャラクターたちにより繰り出す多様な技によって、通常では考えられないテニスが行われる内容になっています。

舞台となるのはテニスの名門校「青春学園中等部」。
そこに、アメリカのジュニア大会で連続優勝を果たした天才テニスプレイヤー・越前リョーマが転校してきます。
彼はその実力を示し、1年生ながらレギュラーに選ばれ、さまざまな試合でライバルたちと戦いながら成長していくストーリーです。

テニスマンガなので、テニスのテクニックや用語、うんちくが多数登場します。
主人公リョーマが得意とするツイストサーブや、2年生の海堂が得意とする弧を描くスネークショット、さらにはダブルスの戦略のオーストラリアンフォーメーションなどが登場します。
それに対する相手も中学生とは思えないスーパーテクニックで挑んでくるため、技の押収が熱い作品となっています。序盤までは。

途中からは、スネークショットがコートの横を回り込んで相手のコートに飛ぶ場面や、手塚部長がボールをコントロールして相手の返球をすべて自分のところへ引き寄せる"手塚ゾーン"を展開します。
さらに、全く弾まないショット放つなど、常識を超えた技が繰り出されますが、このあたりでもまだ理論的にはわからないでもない範囲です。
更に進むと、ダブルス要因だった菊丸先輩がシングルで出場、「やっぱりダブルがいい」と言い出すや否や分身します。
キャラクターたちはテニスをすることで「無我の境地」に達してオーラを纏いますが、「無我の境地」をすでに会得している部長は「百錬自得の極み」という最終奥義を開眼し、オーラのコントロールをして身体能力を向上させます。
リョーマの先輩である河村隆は、爆発的な力を込めたスマッシュ技である波動球を操りますが、ある試合では波動球を打ち合うという完全なバトル漫画に突入します。
波動球を開発した石田銀の撃つ波動球を食らうと、ガットが裂け、観客席まで吹き飛んで全身血まみれになる惨事が発生します。
この時放った、「ワシの波動球は百八式まであるぞ」というセリフはあまりにも有名です。
終盤ではドライブショットが体にまとわりついて顔面を攻撃するなど、攻撃技が基本になり、あるキャラは立ったまま気絶します。
もしまじめにテニスマンガとして読んでしまうと、テニスに対する誤解がすごいことになりそうなので、注意が必要ですね。

異次元のテニスっぷりにテニヌなどと呼ばれたりもしますが、それでもキャラクターたちは真剣で、展開は熱いです。
一方で、個性的なキャラ同士の掛け合いが読んでいて楽しく、女子人気が高いのも頷けました。

3巻無料

テニスの王子様

レビュー(764)件

完結・全46巻

4.3

26巻まで読みました

このレビューにはネタバレを含みます。

パン作りを題材にした料理漫画。
週刊少年サンデーで連載していた作品で、小学館漫画賞受賞作。
また、4クール以上のアニメ化をしています。かつてのサンデーを支えた、サンデーを代表する作品の一つです。

幼い日に姉に連れられて訪れたパン店の主人より、日本を代表するようなパン「ジャぱん」の話を聞かされた少年、東和馬が主人公。
彼は生まれつき手の体温が高く、パン作りに適した"太陽の手"を持っており、独学でパン作りを学びます。
そして大手パンチェーン店「パンタジア」の採用試験に挑むことになります。
この採用試験は面談や筆記ではなくライバルたちと戦うパン作りの大会にのようになっており、以降、パン作りの料理対決が続く展開です。

最終選考まで残ったが、本店採用を逃した和馬は、そのきっかけとなってしまった河内恭介と共に、パンタジアオーナーの孫娘・梓川月乃に拾われて、南東京支店に勤務することになります。
しかし、勤務の様子はほぼなく、パンタジアグループの新人戦やパンの世界大会に出場し、個性的なパン職人たちとのパンバトルを繰り広げます。
パン対決のマンガということで、パンの知識や技術が多く登場します。
超低温長時間焼成という技法やトュルニュ、フォンデュなどの手法、べーパーアクションや老麺法などといった、ややマニアックなパン知識を楽しむことができます。
知識やひらめきによって逆境を突破する、少年マンガらしい料理漫画作品だと思います。

作者は超速スピナーと同じ橋口たかし氏で、超速スピナーでは霧崎マイというキャラクターのかわいらしさが話題となりました。
本作の女性キャラもとても魅力的なのですが、恋愛要素やお色気の要素はないです。
初期にはミステリアスさのあった月乃も、中盤以降はツッコミ役となっており、パン対決にはほとんど関与しません。
登場キャラクターはほとんど男性で、それも変態が多く、テンポよく読みやすい一方で、可愛い女の子を描ける作者なのに残念な感じがしました。

料理対決といえばリアクションです。
他の漫画では、作った料理を食べた審査員が口からビームを発射したり、よだれを垂れ散らかしてアヘ顔しますが、本作はそのレベルではないです。
序盤はまだおとなしい方だったのですが、中盤以降はうまさのあまり死んだり、過去にタイムスリップして歴史改変をするなどやりたい放題です。
終盤には、パンを食べたことで精神をパンに支配された男を助け、パンを食べたリアクションで地球を救うという狂気じみたストーリーが展開されます。
その後、パンを食べてダルシムになった恭介が、リュウやケンと戦い続け「なんやて!?」というセリフで幕を閉じるシーンはネットでも有名ですね。
そこだけ切り取ると、ひどい最終回に見えますが、そこに至る過程もなかなかひどいので、「なんやて!?」が気になったら読んでみるのをお勧めします。
ジャぱんの制作や、子供の頃に出会ったパン職人との再開、月乃と梓川家の確執など、物語はちゃんと収束しており、最後のコマだけは「なんやて!?」ですが、全体としてはキレイに終わっていると思います。

焼きたて!!ジャぱん

レビュー(266)件

完結・全26巻

4.4

12巻まで読みました

ベクターウイルスを研究している国立生態科学研究所の室長である蔵間は、非常に厳しい人物でした。
周囲の人々は彼を怖いと評していたのですが、彼の秘書・如月は、そんな彼を優しい人と呼んで慕っていました。
ドジっ娘で要領が悪いが明るいキャラで職員に人気がある彼女でしたが、ある日、危なっかしい足取りでとコーヒーを運んでいる途中で、うっかり転んでしまう。
その瞬間、彼女の目の前に謎の仮面を被った全裸の女性が現れ、驚いた如月の首を引きちぎり、その上、彼女の体を散弾銃の盾として利用してしまう。

この作品は、前知識無しでアニメを見ていたら、ヒロインかと思ってたキャラクターが出会って5秒でくびちょんぱされたという衝撃の事件で有名です。
目が大きく、可愛らしい絵柄に反して、激しい拷問や四肢切断、そして首がはね飛ぶシーンがたくさん出てくる、微グロ作品です。
なお、アニメの冒頭で退場した如月の出会い頭に首を引きちぎった全裸の女性こそ、本作のメインヒロインの「ルーシー」ですね。
彼女は研究所を脱走した際に頭部に重傷を負い、そのショックで記憶を失うことになります。
その頃、大学に通うために鎌倉に住む親戚を頼ってきた青年・コウタは、いとこのユカと共に由比ヶ浜を訪れ、そこで流れ着いたルーシーと出会うことから物語が始まります。
頭部の損傷により「にゅう」としか言葉を発せなくなっていたルーシーは、コウタに「にゅうと」名付けられ、コウタ、ユカと一緒に楓荘で一緒に暮らすことになるという展開です。

研究所は表向き、ウイルスの研究機関ということになっていましたが、実はルーシーのような特異な能力を持つ存在「ディクロニウス」の研究を行っていました。
秘密保持のために脱走したルーシーを捕まえるため、ルーシーを狙う研究所の傭兵やディクロニウスの襲撃が行われます。
物語は、覚醒したルーシーの人格、明らかになってゆく研究所の企み、そしてルーシーとコウタの過去の約束が交錯するストーリーとなっています。

グロいシーンや痛いシーンがあり、罪のない人々が一方的に殺されてゆくシーンがあります。
しかし、絵にリアリティがなく、シーンの割にはあまりグロい感じを受けないです。
一方で、コウタの周辺には、ユカやにゅう以外にも、ルーシーを狙ってきたディクロニウスのナナ、虐待に耐えかねて家出した女子中学生のマユ、音楽学校への進学を反対されて暴力を受け逃げてきたノゾミなどの女の子が集まって一緒に暮らす、ハーレム展開があります。
ハードなSFマンガと思いきや、微妙なエロ要素もあり、ユカはコウタに股間をこすりつけ、無知なにゅうは頻繁にコウタに乳を揉まれます。
特にノゾミはおもらし癖があり、ところ構わず放尿してしまうためおむつを常備しているという、ストーリーとは全く無関係な属性がついていて、作品の方向性が正直よくわからないところがあります。
しかし、そういった要素があるためにシリアスすぎないところもあり、深い内容の割には読みやすさがあると思います。

最後は空気化しつつあったコウカとルーシーの過去と結びつきながら収束します。
ただし、切ない終わり方です。
コウタとルーシー以外の生存者たちは、ご都合主義的に大団円となりますが、二人の運命に救いがない、と思いきや、最後の最後でどんでん返しと取れる展開が待っていました。
絵柄に抵抗感がなければ、おすすめの作品です。

エルフェンリート

レビュー(101)件

完結・全12巻

3.7

13巻まで読みました

主人公はせっけんや化粧品などのメーカー「リリアドロップ」に勤務する、経理部のOL・八重島麻子。
彼女は重度の汗かきで、そのことが彼女のコンプレックスとなっています。
そのため、匂いに対して特に敏感になっていますが、そんな彼女に対して執拗に嗅いでくる男性がいます。
彼、名取香太郎は、同社の商品開発部に務めるプランナーで、麻子の匂いにインスピレーションを受け、新製品開発のために嗅がせてほしいと迫ります。
そんな変態紙一重の香太郎と、そんな香太郎のお願いにドン引きしつつも、次第にそんな彼に惹かれていく麻子の恋愛マンガです。

割と序盤で肉体関係になり、交際を始めます。
きっかけは少し特殊ですが、その後は一般的な恋愛ドラマのような展開が続きます。
ただし、二人の関係に障害になる要素はそれほどなく、付き合い始めた最初はライバルキャラも登場しますが、複雑な恋愛感情のもつれはありません。
魔が差してワンナイトしたとか、それがバレて亀裂が入ったところに相手側にも誘惑があり、みたいな昼ドラな展開はないので、安心して読める作品です。
二人の恋愛のステップアップを描いた、日常系に雰囲気としては近いと思います。
交際が始まり、お互いの両親に紹介をして、同棲を始める中で、麻子は自身のコンプレックスの根源である過去のトラウマに向き合うことになります。
その間のセックス描写もめちゃくちゃあり、ドロドロ展開だけがないレディスコミックスのような内容だと思いました。

主人公たちを取り巻く友人や上司、親族は個性的で、読んでいて楽しいです。
しかしながら、パンチの弱さはどうしても感じました。
汗かきがコンプレックスという割には、頑張って抑えている結果なのでしょうけど、そういうシーンも少ないです。
私の友人の汗かきは、牛丼屋で大盛りをふうふう食べながら、汗をぼちゃぼちゃ流すのですが、女性と男性の違いなのでしょう。
そこまでではなくとも、夏の炎天下の中で絶え間なく汗が湧き出るようなシーンや、汗でメガネが曇り前が見えなくなる場面などはなかったような気がします。
そのため、汗や臭いフェチに刺さる内容ではなく、そういう方面の期待はできないと思います。
また、制汗対策のハウ・トゥー的なものもなく、普通に大人の恋愛ドラマとして展開していました。

3巻無料

あせとせっけん

レビュー(499)件

完結・全13巻

3.5

23巻まで読みました

このレビューにはネタバレを含みます。

『かってに改蔵』、『さよなら絶望先生』などの代表作がある久米田康治氏の連載デビュー作品。
南国鹿児島県の浜津学園高校にあるアイスホッケー部に、カナダからの帰国子女・蘭堂月斗が助っ人として転校してくる。
現地では有名なアイスホッケー選手だという蘭堂の活躍に、学園は期待を寄せるのだが、実はダーティープレイの連続によりカナダから追放されていた。

序盤は弱小アイスホッケー部が、蘭堂の姑息なプレイで勝ち上がる、スポーツコメディマンガでした。
当初はスポーツ中心で、蘭堂のプレイに感化されてダーティプレイを冗長するチームと、形はどうあれ勝利に湧く学校にスポットのあたった内容となっています。
お下劣なギャグは序盤から健在ですが、等身大の高校生たちの学園生活を描いた作品でした。
ですが、徐々にお下劣ギャグが中心となり、アイスホッケーのシーンが少なくなっていきます。
そして割と序盤の4巻1話を最後にアイスホッケーは完全に行われなくなり、以降はきっついダジャレと安易な下ネタだらけのギャグ漫画となります。

絵柄も序盤と中盤以降はガラリと違うのも特徴と思います。
序盤は陰影があり、肉体的な高校生男子たちが描かれていますが、中盤からは現在の久米田康治の絵柄に通じる、手足が長くてシンプルな線の作画となります。
序盤の絵柄からからは『かってに改造』と同じ作者と連想できないレベルで、絵柄の大幅なチェンジは作中もネタにされていました。
序盤に登場していたアイスホッケー部員は登場しなくなり、月斗のライバルキャラだったロブ・ドールマンも出番がほとんどなくなります。
毎話のようにちんこやオナニーを絡めたギャグが繰り広げられ、一発のみのゲストキャラが登場する一話完結型となり、女性キャラも、ヘアーの描写こそないものの、股間や乳首描写も含めた全裸が描かれます。
絵柄が独特になったため、女の子はかわいいのですが、全裸がエロいかは正直微妙なところだと思います。

同じテーマでギャグを連続で畳み掛けるという、今の久米田康治の原型は感じられるのですが、とにかくギャグがオヤジギャグでかつ下ネタのみでワンパターンのため、ぶっちゃけ笑えなかったです。
テンポはよく、読んでいて飽きはこないので、かなり惰性で読んでいた感じですね。
ちなみに最後は、蘭堂月斗がシモネタ星からきた王子で、地球人の記憶を消して星に帰るという唐突な展開で幕を閉じます。
最後はなんかいい感じの終わり方になりますが、こういうところも久米田康治のルーツを感じるところでした。

行け!!南国アイスホッケー部

レビュー(17)件

完結・全23巻

4.7

24巻まで読みました

1988年連載開始の週刊少年ジャンプ連載作品。
ドラゴンボールや幽遊白書、スラムダンクと同時期に連載され、ジャンプの黄金期を象徴する作品の一つと思います。
後にROOKIESやべしゃり暮らしを描く森田まさのり氏の代表作です。

東京・吉祥寺に位置する帝拳高校を舞台にしたヤンキー漫画で、登場人物のほとんどは不良のレッテルを貼られた高校生たちです。
主人公の前田太尊は帝拳高校の番格で、彼の喧嘩に明け暮れる日常は描かれています。
リーゼントの髪型でタバコを吸い、仲間と共に教師を睨みつける"ワル"なのですが、恐喝やいじめといった弱者への一方的な暴力は行わず、ただ、自身のスタイルを貫いた姿勢によるものであるような感じです。。
暴力描写は多いですが、拷問や強姦、殺人といったシーンは無く、不良たちが自らの誇りをかけて戦うストーリーが展開されます。
ただし、高校生の飲酒や喫煙が当然のように描写され、教師への暴力はもちろん教師からの暴力、セクハラの描写も多く見受けられます。
明らかに教育には悪く、今はこういう作品は連載が難しい気がしますね。

序盤では、帝拳高校内でのボクシング部と応援団の対立や、吉祥寺近辺の高校同士の仲違いが展開されます。
中盤に入ると、東京を代表する不良たち「東京四天王」という設定が登場し、前田太尊もその一人に数えられます。
各四天王とのストーリーが入るのですが、全員がそれぞれ独特の魅力と男が惚れるほどの風格、そして強さを持っています。
終盤では、事情から四天王が共闘する場面があり、そのシーンは本当に奮えました。
また、四天王以外のキャラクターも個性強くて魅力的です。
絵もとてもうまく、回が進んでも捨てキャラはほとんどおらず、大尊以外の四天王のナンバー2や3でさえも、キャラクターと設定が印象深く記憶に残るほど、キャラの個性が光る作品です。
本気のバトルシーンだけではなく、コメディ回もおもしろくて、退屈の瞬間がない名作だと思います。
個人的には鬼塚がキャラクターとしては好きですが、ベストバウトは大尊vs葛西が熱いと思います。

非常にジャンプらしいスカッとする内容で、古い作品ですが今でも十分に楽しめます。
特殊能力や突飛な設定に頼ることない、等身大の不良たちのドラマが展開されるため、今ではなかなか読めない、当時ならではの作品といえると思います。

文庫版 ろくでなしBLUES

レビュー(29)件

完結・全24巻

3.9

14巻まで読みました

『宝石の国』を読了しました。
この作品は、心えぐる鬱展開が話題で、単作が多い市川春子氏の初の連載作品で、ワンクールアニメ化もされています。
人間と呼ばれる生き物が古代と呼ばれる時代に存在したとされる遠い未来を舞台に、そこに生きる宝石の生命体たちを描いたファンタジーです。

登場するのは宝石の擬人化のようなキャラクターたちであり、人間は登場しません。
彼らは人の形をしており、人間と同様に会話し、軽口をたたいて日常生活しています。
宝石の名を冠している通り、体を構成する無機物の特性を受け継いでおり、シンシャは毒物を含んでおり、硬く黒いボルツは頑丈故に前線で敵と戦います。
宝石たちには敵がいて、月人と呼ばれる襲来者が度々月からやってきて、宝石たちを攻撃し、そして拐ってゆこうとします。

そんな宝石の国の主人公は、フォスフォフィライト。
彼は硬度も低く、得意なことも特にないため、仲間と違い役割を与えられないことに不満を抱いていましたが、根拠のない自信を持ち、明るく過ごしていました。
ある日、宝石たちの指導者である金剛先生は博物誌作成の仕事を彼に与えます。
しぶしぶその仕事をこなしていると、ある晩、月人の襲撃があり、夜の見回りを担当をしていたシンシャに助けられます。
美しい宝石たちによる未来世界のファンタジーですが、鬱展開と呼ばれるのは、主人公であるフォスフォフィライトが直面する悲劇的な運命のためですね。
フォスは仲間たちのために奔走し、足を失い、腕を失い、そして頭部を失うのですが、自分の体が入れ替わってゆくたびに少しずつ自我が変化していきます。
そして月へ赴き、月人や金剛先生の真実を知ったフォスは、仲間のもとに戻りますが、そこで悲しい誤解が生じます。
結果、さらに大きく欠損してしまった彼は、ついに崩壊をしてしまう。
身体が崩壊し、眼球が飛び出るようなシーンは多くありますが、ビジュアル的なグロさはほとんどなく、主人公のはずのフォスの不幸が際立つ作品です。
最終的には長い長い時間が経過し、最期のときが来てもフォスはフォスであった、その名残があったように思える悲しい結末でした。

絵はきれいなのですが、かなり読みにくさがあります。
ストーリーもやや複雑で、理解していてもなぜそうなるのか理由の把握が難しいシーンも多いです。
キャラクターも個性的なのですが、数がそれなりに多く、何度か読み返す必要があると思います。
ただ、一言で鬱展開と言う以上の深いストーリーがあり、ファンが多く話題になるのもうなづける壮大なサーガでした。

宝石の国

レビュー(523)件

完結・全14巻

4.8

26巻まで読みました

鳥栖哲雄は、おもちゃ会社に務める平凡なサラリーマンだった。
趣味は投稿サイトに自作の推理小説を投稿すること、娘の零花は大学進学と共に一人暮らしを始め、今は長年連れ添った妻・歌仙と二人暮らしをしている。
ある日、様子を見るため、久しぶりに一人暮らしの娘に会うと、娘の顔には大きな殴られた後があった。
問いただすもその理由を知らされず、その日は別れたが、その道すがらガラの悪い男たちが、自分の娘の話をしていること、そのうちの一人が娘の彼氏であるようなことを聞く。
その翌日、男たちの正体を探るため娘のマンションに忍び込み、証拠を探していたところ、娘の彼氏・麻取延人が入ってくる。
とっさにクローゼットに隠れた哲雄は、延人の電話の内容から、妻の実家の財産が目当てであること、また過去にも2人の女性を殺害していることを知ってしまう。
娘を守るため、哲雄は衝動的に延人を殺害してしまう。

2017年5月、週刊ヤングマガジン連載開始の現代サスペンスマンガ。
娘の彼氏の殺害の隠蔽から、半グレ組織に対抗し、カルト集団や暴力団との争いに巻き込まれてゆくストーリーです。
三部構成になっており、一部では、延人殺害を隠蔽し、半グレ集団から知恵を振り絞って逃れる。
二部では歌仙の実家である山奥の自給自足の村で、そこを牛耳るカルト組織と追いかけてくる半グレたちにぶつかる。
三部では村での事件から海外逃亡をしていた半グレのリーダーが日本に戻ってきたことをきっかけに、過去の出来事の精算をする展開となっています。

すべてのきっかけは零花がDV彼氏に引っかかったことではあるのですが、鳥栖哲雄、歌仙共にかなり特殊な家庭事情を持っています。
特に二部以降の展開を見ると、それが全てとも言い切れないところがあり、平凡な一般家庭が犯罪事件に巻き込まれる話ではないかなと思います。
ブラフ、矛盾のない嘘、それを半グレの前で平然と話す度胸と大胆なトリック、さらにすべてを成し遂げる凄まじい体力と、読み進めると"平凡なサラリーマン"だったはずの鳥栖哲雄が実はスーパーマンだったことに気づきます。
まるでスパイ映画のような、アクション映画のような、怒涛の展開となっていて、次が気になりページを捲る手が止まらない作品です。

一応、一般家庭のお父さんが主役なので、衝動で殺してしまったことに対してなんとか家庭を続けようと取り繕う話かと思いきや、話が進むたびに意外なほど人が死にます。
"衝動的に一人"だけではなく、半グレの手により、あるいは自らの命を絶ち、やがて大量殺人事件も発生します。
もちろん、鳥栖哲雄が手を下した相手も1人2人ではなく、そのあたりは読み進めると仰天すると思います。
全く先の読めず、とてもおもしろかったです。

作画はサイコメトラーEIJIなどの朝基まさし氏、原作は山川直輝氏で、こちらは他に「100万の命の上に俺は立っている」などが代表作です。
「100万の命の上に俺は立っている」は未読なので、そちらも読んでみたいと思います。

3巻無料

マイホームヒーロー

レビュー(779)件

完結・全26巻

4.6

24巻まで読みました

「名探偵コナン」などの代表作がある青山剛昌の連載作品。
氏がコナンの前に週刊連載していた作品で、1988年から約5年間、全24巻の長期連載です。
天下一の侍を目指す主人公・鉄刃の戦いを描いたアクション漫画で、コメディ色も強いですが、基本的にはバトルものです。

父とジャングルで修行の日々を送っていた鉄刃は、日本に戻り、父の知り合いの家に居候することになります。
その家の娘・峰さやかと同じ中学校に通うことになりますが、そこには剣道の実力者・鬼丸猛がおり、刃の前に立ちふさがります。
序盤はドタバタギャグの面が多かったですが、鬼丸が風神剣、刃が雷神剣を手にした時から、物語が動き出します。
風神の力に飲み込まれた鬼丸は鬼となり、魔王を名乗って世界征服を企てるようになります。
鬼丸の企みを阻止するため、刃たちは鬼丸の住む鬼丸城を目指します。

動物を怪人化した手下を差し向ける八鬼・鬼丸四天王編、龍神の力を得るために日本中に散らばる7つの玉を探す龍神の玉編、その後、鬼丸と一騎打ちと思いきや、龍神復活によって目覚めたカグヤと戦うかぐや編と続きます。
かぐや編以降は正直なところ引き延ばし感が強く、かぐやとの戦い終結後には岩石戦士という謎の敵が突如登場し、沈みゆく日本を救うためにエメラルドという少女と謎のピラミッドを攻略するピラミッド編が始まります。
その後、地底世界での戦いがあり、更にその後、鬼丸の刺客との戦いが始まります。
鬼丸との戦いの決着がつくのはその次、織田信長御前試合編のラストバトルですね。
個人的にはかぐや編も蛇足で、7つの玉を集めて龍神を開放した後は、鬼丸と戦って終われば収まりが良かったのにと思います。
ただ、かぐや編までは、一応、そもそも龍神が封じられていた理由につながる展開なのでありかと思います。
ピラミッド編以降は完全に引き延ばしですね。サンデー編集者の悪いところが出ていると思います。

序盤から作画は完成されていて、非常に読みやすく、キャラの描き分けも上手です。
引き延ばし感はありますが退屈なところはなく、続きが気になる展開で最後までおもしろく読めました。
また、コナンには青山剛昌氏の過去作を知っていればニヤリとするネタが散りばめられているので、コナンファンにもおすすめの一作です。

新装版 YAIBA

レビュー(32)件

完結・全24巻

3.8

43巻まで読みました

誰かが言った・・・全身の肉が舌の上でとろける霜降り状態の獣がいる、と・・・!!
人々は魅せられる、数多の食に・・・世は、グルメ時代・・・!未知なる味を求めて、探求する時代!!!

2000年代後半の週刊少年ジャンプを代表する作品で、アニメスペシャルではドラゴンボール、ワンピースと並んだこともあります。
作者の島袋光年氏は、『世紀末リーダー伝たけし』連載半ばで"やらかし"があったため打ち切り終了となりましたが、本作は見事に起死回生の一作となりました。
美食を題材にした内容ですが、いわゆる料理漫画ではなく、世界中に散らばる秘宝とも言うべき食材たちを求めて、美食屋・トリコと、料理人・小松が旅するストーリーです。

未開の味の探求のため、巨大ワニ『ガララワニ』を捕らえるために小松がトリコを雇ったところでストーリーが始まります。
ちなみに、ガララワニの推定捕獲レベルは5、捕獲レベル1で、プロのハンター10人がかりで捕獲できるレベルであることを考えると、捕獲レベル5の猛獣を捕まえて食べることなど到底不可能に思える。
だが、トリコと小松は、そんなガララワニに中でも特に長寿で巨大なガララワニ(推定捕獲レベル8)に遭遇、これを捕獲することに成功する。
この出会いを皮切りに、世界中のすごい食材を捕まえに行きます。

登場する食材は架空のもので、毒の位置が個体によって異なり無毒化が非常に難しいフグや、ビルほどの高さがあるとうもろこし、巨大なマンモスの体内のほんの一部である輝く肉などが登場します。
その中で、トリコを含むグルメ四天王の存在、国際グルメ機関と対立する美食會とのいざこざなどがあり、食材を巡って巨大な争いが勃発してゆきます。
グルメを題材としたバトル漫画であり、捕獲レベルも数十から100を超え、どんどんインフレしてゆきます。
トリコ、ココ、サニー、ゼブラら、グルメ四天王の技も強力になってゆく一方で、小松の料理技術も卓越になってゆきます。

途中まではそんな王道バトル漫画な雰囲気だったのですが、後半でトリコたちは"グルメ界"に突入します。
伝説の美食屋・アカシアのフルコースを揃えるのが目的ですが、以降はキャラも多く、かなり展開がごちゃごちゃしてきます。
とにかく熱く、シリアスな展開が続くのですが、食材が巨大化し、話が地球規模になります。
時間の流れが異なる空間や、「魂の世界」と呼ばれる別空間が現れたあたりでついてこれなくなったというのが正直なところですね。
序盤から張っていた伏線の回収が行われた結果ではあるのですが、個人的には中盤までの、不可思議な食材を追い回していたあたりが良かったです。

小松の成長も本作のポイントの一つで、幻のスープ・センチュリースープを完成させ、調理が非常に困難な薬膳餅の簡単な調理法を編み出して大勢の人の命を救います。
なお、小松は鼻の穴の大きな小男なのですが、彼がある意味で天然ジゴロで、トリコたち四天王全員からモテる描写があって、ぶっちゃけたところなろう系っぽいです。
ただ、女性キャラが極端に少なく、いたとしても節乃や千代などのおばあちゃんキャラの印象が強いです。
小松とくっつきそうな女性料理人・ののも終盤登場したのですが、結局ラストまで小松はトリコとコンビなので、小松は女性からモテる描写の無い(野郎からはある)なろう系主人公ですね。

基本はやはり今どき珍しいほどの王道バトル漫画でした。
43巻と長期連載ですが、少年漫画らしい少年漫画を読みたい方におすすめします。

トリコ

レビュー(819)件

完結・全43巻

4.2

18巻まで読みました

週刊少年ジャンプ連載作品。作者は甲本一氏。
氏の初の連載作品ですが、2024年9月現在で2度アニメ化し、海外、特にフランスでブームになっています。
また、国内では、アニメ2期のOPテーマ、Bling-Bang-Bang-Bornとそのダンスがブームになり、知名度の高い作品だと思います。

神から与えられた力として"魔法"が常識的に存在する世界が舞台です。
魔法の巧みさによって今後の身分が変わる世界観で、この世界の人々には、魔力を持つ証として一本の筋が顔に入っています。
また、10万人に1人という割合で2本線の魔道士が存在し、彼ら二線魔導師は生まれながらにして強大な魔力量を操ることができると言われています。
そんな魔法界に生まれ落ちた"魔法が使えない少年"マッシュ・バーンデッドが主人公です。
魔法が使えない者は落ちこぼれ認定されるのみではなく、殺処分される可能性もあるという厳しい世界で、マッシュは魔道士に負けないよう、己の肉体を極限まで鍛え上げています。
そんな折、マッシュの存在が魔法警察にバレ、自宅へと踏み込まれるが、マッシュは培った圧倒的なパワーでこれを返り討ちにします。
魔法警察の交換条件として、マッシュは魔法学校に入学し、そこで「神覚者」を目指す、という展開です。

ストーリー漫画で、序盤はマッシュの魔法学校での日々があり、その後、神覚者となるための選抜試験を受けます。
さらにその後、マッシュの出生の秘密が明らかになり、大いなる企みを打ち砕くためにグーパンで戦う展開となります。
格闘漫画的な側面が大きいですが、基本はギャグで、インフレしてゆく魔力、敵の凶悪さ、それに比例して強くなる仲間たちを尻目に肉体言語に励むマッシュが頼もしいです。
マッシュは序盤から作中最強で、一生懸命魔法合戦を繰り広げているのも構わずに、常識外れのマッスルパワーでぶちのめして圧倒するという斜め上な筋肉漫画ですね。

キャラクターはわかりやすく、かき分けはできています。
ただ、中盤以降バトルが過激化し、そこからは読みやすいかというと微妙なところです。
すべてのバトルをマッシュがグーパンで解決するわけでもなく、結局、魔法使い同士の戦いに落ちてしまっているのが仕方ないといえば仕方ないところですね。
そういったごちゃごちゃの末、ラスボスvsマッシュ戦では、筋肉でどうにかする上、過去登場したキャラクターによる総力戦になるので、ラストはとてもよかった。
最後もあっさりと終わりますが、『銀魂』、『斉木楠雄のΨ難』終了後のジャンプを支えた、ジャンプの看板と言って良い名作だったと思います。

1巻無料

マッシュル-MASHLE-

レビュー(576)件

完結・全18巻

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