毎日残業続きの平凡なSE、飯田くんの、誰も知らない密かな楽しみ、それは宅配便の夜間配達を受け取れるノー残業デーに、全国から取り寄せる美味しいお取り寄せをすることだった☆幸せ料理研究家こうちゃんもお薦めの、ささやかだけれど温かいお取り寄せ男子のおうちご飯の数々♪
全国各地の"お取り寄せ"をテーマにした作品。 一話完結型で、1話につき1つのお取り寄せを題材にストーリーを展開する構成になっています。 主人公「飯田好実」はとある中小のSE企業に務めるエンジニアで、与えられた仕事はこなすものの人付き合いが悪く、定時後はまっすぐ帰宅し、自分だけの時間を大切にする性格です。 彼の趣味が全国各地からお取り寄せをするグルメを堪能することで、避けられない人言関係や仕事に翻弄されながらも自分だけの至福のときを楽しむ日々を描いたものとなっています。 作中ストーリーの進展はほとんどなく、登場人物が増えたりキャラクターのバックボーンが語られる程度です。 大体は、家に届いたお取り寄せを飯田好実が一人で楽しむだけの回となっています。 本作の主役は毎話語られるお取り寄せ品と飯田好実によって語られる薀蓄で、お取り寄せ品の素晴らしさ、食感、味、見た目の美しさや、モノによっては開発経緯などが熱く語られます。 お取り寄せ品は実在のもので、巻末にはお問合せ先情報が記載されており、実際に取り寄せることも可能です。 また、作中、飯田好実はお取り寄せ品の感想をTwitterに投稿しますが、このアカウントも実在しているようで、リアタイで読んでいた方は併せて楽しむことができたようです。 実質、お取り寄せ品を題材にしたグルメ漫画で、読んでいると同じものが食べたくなります。 名産品の宣伝効果はすごくあったんじゃないかなと思いました。 なお、序盤で描き慣れていなかったためか、最初2巻くらいは微妙に感じました。 主人公は仕事に対して情熱が感じられず、同僚とのコミュニケーションも不全で、一緒の職場にいたら困るタイプで、そんなやつがお取り寄せ品を手にしたときだけ、一人で騒ぎ、踊るので、そんな姿は、見ていて不快に感じるところもありました。 ペラペラと薀蓄を並べてますが、これ全部独り言なんだよね?と思うと普通に不気味というか、不自然な感じを受けました。 ただ、3巻くらいかな、からは主人公の会社でのポジションも確立してきて、ただの困ったちゃんではないということがわかってきたからでしょうか、展開が自然に感じてきました。 最初の方もお取り寄せ品自体はよく描けているのですが、序盤主人公に嫌悪を感じた場合、3巻くらいまでは読んでみるのとをおすすめします。 最終回は、最終回らしくない終わり方でした。 私も完結していたのに気づかなかったです。続刊がなかなか出ないなーと思っていたら終わっていたという。 いつでも続けられそうな感じなので、続きがあるといいなぁと思います。
by うにたべたい (528)高津カリノ氏の『WORKING!!』に続くお仕事マンガ2作目。 WORKING!!では北海道のファミレスが舞台でしたが、本作では少し年齢があがり舞台は区役所です。 そこで働く人々を描いた日常4コマで、WORKING!!同様、キャラクター同士の掛け合いや恋愛模様が描かれます。 お堅いイメージのある役所の職員が主役ですが、役所の仕事はほぼ描かれないです。 全巻読み終えましたが、結局のところ、ご老人の話し相手、窓口の案内くらいしか仕事の場面はなかったように思います。 全4巻と短いように見えますが、連載期間は約7年というなにげに長期連載作品で、4コマで起承転結ついているので、実のところかなり読み応えはあります。 濃度は高かった、はずなのですが、役所の職員という仕事に関する部分はすっからかんなので、誰でもゆるく読める作品です。 主人公は複数いて、その中でも特にメインというべきなのは、一巻表紙の「山神ルーシー(略)」です。 ルーシー(略)と「長谷部豊」、「三好紗耶」の三人が、新人職員として架空の自治体"みつば区"の区役所保健福祉課に配属されます。 ちなみに、ルーシーに"(略)"とついているのはそこまでが本名ではなく、本名が恐ろしく長くて作中でも全部出てこなかったため、ルーシー以降は略されてるんですね。 ルーシー(略)は、そんな奇天烈な名前を受理した役所が憎く、探し出して文句をいうために公務員となったという事情があります。 そんなルーシーを口説くチャラ男の長谷部、おとなしいが実は非常に毒舌な三好と、そんな三人の教育係になった可哀想な先輩社員「一宮大志」、オフではコスプレイヤーな臨時職員「千早恵」、そしてそんな彼らをまとめ上げる謎の課長は、うさぎのぬいぐるみの姿をしているという、個性的な面々のドタバタが描かれた作品です。 話数が進むとヘンテコな登場人物が増えて、ワイワイガヤガヤがカオスじみてきます。 ただ、登場人物はそれほど多くなく、個人的にはWORKING!!より読みやすく感じました。 ワンクールアニメ化もしていて、アニメの方で知っている方も多く、割りと知る人ぞ知る作品だと思います。
by うにたべたい (528)週刊少年ジャンプで連載していた福島鉄平氏の連載作品としてはデビュー作。全8巻。 ラストは打ち切りの憂き目にあい、中途半端なところで終了していますが、打ち切り作品なのに今尚、名作として名前が挙がることが多いという稀有な作品です。 ジャンプ漫画には珍しい時代劇で、主人公は下級武士の「宇田川伍助」。 彼は数えで15歳で、これまたジャンプにしては珍しい既婚者です。 縦割りの武士社会で、出過ぎぬよう落ちこぼれぬよう気を使いながら生きてきた伍助は、それでも剣の世界では実力がモノを言うと修行にはげんでいた。 だが、ある日、己の剣術すらも出世の踏み台として使われているという現実に気づき絶望する。 そんな折、妻「志乃」の言葉に救われ、くだらない見栄や体面から、ウサギのように飛び出して天下一の剣術道場を開く決意をするという内容です。 時代劇ですが、時代考証はざっくばらんで、歴史上の出来事や人物と絡めた展開もありません。 序盤は伍助の開いた剣道場の門弟となった個性的なメンバーの個別のストーリーとなっていて、それぞれのストーリーを伍助が悩みながら不器用ながらに、妻の助けも借りて解決する、ほっこりとした展開となっています。 ただ、中盤以降はテコ入れにあったのか、徐々にバトル展開にシフトしてきます。 後期、メンバーそれぞれに専用の武具を与えられた辺りからは完全にバトルマンガとなってしまいます。 序盤は伍助の独白のような形でストーリーが綴られていて、ギャグともバトルともつかないオリジナリティのある独特な雰囲気の作品であり、そこが魅力でした。 ただ、バトルにシフトしてからも基本的な雰囲気は変わらないため、最後まで楽しく読めましたが、やはり序盤の展開を保てなかったのが残念に感じます。 ドラマ性を重視するマンガは、週刊少年ジャンプには難しかったのでしょうか。 ちなみに作者の福島鉄平氏は、現在、魔法少女になってしまった11才少年を主人公にしたHENTAIマンガを執筆中。 方向展開の向け先が凄くてびっくりです。 これはこれで興味を唆られるものがありますけどね。
by うにたべたい (528)