00年代初頭から中期、秋葉原が電気街からオタク街へ変遷を遂げ、スマートフォンがまだ普及していない、ある意味、オタクが最も香ばしかった時代。 そんな時代に描かれたオタクを題材にしたマンガ作品。 主人公は熱血妄想オタク野郎「山本 一番星」。 ヤマモトはある雨の日に捨て猫にカサを預けるも、後で猫耳少女になって恩返しに来なかったことに憤り、彼が描いていたストーリーを叫びながら教室で暴れまわる。 その挙げ句、その子猫を拾った少女に猫耳の幻覚を見て、少女(ステファニー)をさらって帰ろうとするというヤバい展開で始まります。 萌えを題材にしていますが、メインキャラは暑苦しくてキモいオタクの集団であり、上級者向けの内容と思います。 ヤマモト以外にも、生身の女は気持ち悪いと言い放つフィギュアマニアの渡辺、メガネっ娘教団の教祖・南雲、そして、序盤は普通の青年として登場したが、"裏松下"という欲望の権化を内包する松下などなど、現実に存在したら決してお近づきになりたくない変態たちがわんさか現れて、熱い妄想バトルを繰り広げます。 秘密組織「日本国政府フェチ撲滅機関」による襲撃や、特殊工作員による秋葉原襲撃、オタクたちの妄想刑務所への収容、それら魔の手から妄想戦士たちが立ち上がり、オタクたちの熱い滾りがより固まった通称・萌玉を放つという激しい作品です。 共感はできない、否、してはならないと思いますが、描かれる彼らの脳内シチュエーションには思わず"なるほど、一理ある"と頷いてしまうこともあり、一概にキモいと切って捨てるにはどこか心が引っかかるものがありました。 健全な男であれば、大なり小なり都合の良い展開で自分を慕う女人が現れて、なんだかんだでエロい展開になったりする妄想を育むはずで、大きな声で話せない好みのシチュエーションを、欲望顕に垂れ流す、そんなマンガです。 目を背けたくなることはあれど、読む人が読めばニヤニヤしてしまうと思います。 デ・ジ・キャラットなど、当時流行していたアニメのパロディが出ては来ますが、それほど多くなく、今読んでも楽しめます。 今も昔も本質的には変わりないと思いますが、検索サイトの検索結果から個人ブログやHPが消失し、スマホやSNSが生活の一部になった今、ファッションではない心からの妄想戦士の姿はどこか懐かしさを感じました。 電気街のエロゲショップや同人ショップを仲間たちと練り歩いたあの日の熱い思いが失われたと感じた貴殿におすすめしたい一作です。
by うにたべたい (581)3.40
11
発刊: ~
通常版・他2作品
新刊通知
a3.17
11
発刊: 2000.03.01 ~
既刊8巻
新刊通知
a3.10
11
発刊: ~
通常版・他4作品
新刊通知
a江口寿史先生の代表作品です! №1 出会いはショック!! №2 女の子!?男の子!? №3 彼女!?アイドル 他№4~№20 全320Pの作品です!
今は主にイラストレーターとしてよく見かける江口寿史のギャグ漫画。 個人的には幼少期、ジャンプで『アラレちゃん』や『奇面組』と一緒に『すすめパイレーツ』を読んでた記憶があるので、江口寿史といえばパイレーツの印象が強いのですが、本作のほうが認知度が高いらしいですね。 母が病死し、天涯孤独の身となった坂本耕作は、母の遺言で大空いばりを訪れるが、氏は暴力団の組長だった。 物々しい雰囲気に耐えきれず逃げ出そうとする耕作の前に、美少女が現れて耕作に微笑む。 その後、いばりの娘だという3人の女の子が登場、最初の美少女もいばりの娘かと勘違いしたが、実は最初の美少女:大空ひばりは男で、女の格好をして街を練り歩く変態だった、という話。 1話完結か、3,4話で終わるストーリーになっていてテンポが良く、今読んでも面白いです。 ひばりちゃんは男性なのですが普通に美少女として描かれており、そしてこのことは主人公と本人、家族しか知らないため、学内一の美少女に一方的に好かれているがどうしても両思いになれないという設定がギャグ漫画として突拍子もないのに分かりやすく、かなりうまいと感じました。 おまけに江口寿史は現在もイラストレーターとして生き残っているだけあって、当時から絵のレベルが高く、女の子がかわいいです。 絵がキャッチーで若干のエロ要素もあり、設定がうまくて話も面白いので、これは売れるわという感じですね。 ただ、本作は作者逃亡により打ち切られており、一応、その後に出た完全版で完結しているのですが、手元のコミックでは非常に中途半端なところで終わっています。 名作なだけに、その点のみすごく残念。ギャグ漫画なのでストーリーもないですが、作中の恋の行方をきれいにまとめて欲しかったかなと思いました。
by うにたべたい (581)3.29
11
発刊: ~
既刊2巻
新刊通知
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