人の心が分らないクズ青年と人の心を知りたいアンドロイドが人を識る物語。 他人に合わせることができず 誰とも関わらず一人の生活を送っていた 上小杉惣介。 そんな彼の下に アンドロイドの少女が届けられる。 「私は人とは何かを知りたいのです」 「そんなもの俺にわかるわけがない」 突然始まる同居生活! 果たして上小杉に平穏は訪れるのか!
人間×アンドロイドの次第に心をかわしていくありがちなSFヒューマンドラマ。 ではあるんですが、主人公の人間側に「他人の感情を汲み取る」一般的な能力に欠陥がある点に特徴があります。 主人公は過去その感覚の欠如により家族を壊した経験があり、人間対アンドロイドの問題だけに終始しているわけではない点も本作の特徴です。 アンドロイドのロボ子が「人間らしさ」を学習するためにチャレンジしていく姿勢、そしてその対比として自己嫌悪に陥る主人公の描写。また主人公の妹との確執のエピソードなど、読み応えがありました。全3巻ですが、もっと読みたいくらいでした。 なにより、伊咲ウタ先生の繊細なイラストが美しいです!『現代魔女図鑑』で惚れ込んだ絵柄です。 横顔の美しさ、まつ毛の綺麗さ、男女ともに髪の風に吹かれた時の散り具合などなど本当に美しいです。 また各話のタイトルがユニークだったり、某死のノートや「勘のいいガキは…」のパロディなど小ネタもあり笑える部分もありました。 おすすめです。
by せーふぁ (1046)「殺したい人は、誰ですか―――?」殺人が合法化された未来の日本。凶悪、多様化した犯罪から弱者を守るため、「一生一殺法」(いっしょういっさっぽう)が制定された。それは、一生に一人だけ殺人が許可される権利。継父から虐待され続け、生きることに絶望した小学6年生や動物の虐待・殺害動画を流していた男に大切なペットを殺された家族、いじめにより、不登校になった女子高生から殺益申請がされた。これらが、受理されれば殺益執行委員が対象者の執行に向かうのだが―――。
まず言いたいのが、タイトルでめっちゃ損してる。内容を知らないとライトなデスゲーム漫画と勘違いしちゃう。なんでこんなタイトルにしたのかわからないです。。さておき、 「一生一殺法」という、12歳以上の日本国民ならば著しく心身に被害を被ったと認定されれば、誰でもその相手を殺すことが許される法律が存在する日本。 またこの法律に則り、これを"殺益権"と称し国民は行使できます。 ざっくり言うと、野崎まど先生の『バビロン』における「自殺法」の反対版と言ったら一番しっくりくるかもしれません。 こういう思考実験のような作品はとても好きです。そりゃ突けば矛盾点とか出てきますけど、それは野暮。 ちなみに作中世界では「一生一殺法」が抑止力となって実際に犯罪件数が減り、自殺大国日本もいまは昔、と描写されています。 3巻で完結ですが、非常に考えさせられる作品です。コンパクトにうまくまとめてあり、読み返すのにも丁度良いです。
by せーふぁ (1046)