2025年、NASAは日本人宇宙飛行士・南波ヒビトを含む、第1次月面長期滞在クルーのメンバーを発表。時を同じくして日本では、自動車の設計をしていた南波ムッタが会社をクビに。大きく異なった運命を歩んでいたふたりの兄弟。しかしそれぞれの未来が、幼少時代に交したある約束によって、動き出そうとしていた。 幼少時代、星空を眺めながら約束を交わした兄・六太と弟・日々人。2025年、弟は約束どおり宇宙飛行士となり、月面の第1次長期滞在クルーの一員となっていた。一方、会社をクビになり、無職の兄・六太。弟からの1通のメールで、兄は再び宇宙を目指しはじめる。
2070年代、人間は地球圏を月面にまでようやく押し広げていた。 夢とエゴに満ちた航宙士志望の青年・星野八郎太(通称ハチマキ)の成長を軸に描く、「惑う人々(プラネテス)」たちの物語。「SF」を一段階進めた大傑作。 2002年度星雲賞コミック部門受賞。2003年にはNHKでアニメ放送開始。そのアニメも2005年度星雲賞メディア部門受賞。同賞の原作・アニメのW受賞は『風の谷のナウシカ』以来だと評判になった。 しがないデブリ(宇宙廃棄物)回収船に乗り組むハチマキは、大きな夢を持ちつつも、貧相な現実と不安定な自分に抗いきれずにいる。同僚のユーリは、喪った妻の思い出に後ろ髪を引かれ、自分の未来を探せずにいる。前世紀から続く大気の底の問題は未解決のままで、先進各国はその権勢を成層圏の外まで及ぼしている。人類はその腕を成層圏の外側にまで伸ばした。しかし、生きることーーその強さも弱さも何も変わらなかった。