町人文化が花咲き、隆盛を極める江戸の町――。しかし、その栄華の影で、闇に蠢くものたちがいた……。ある日、瓦版に書かれた河童の噂に興味を持った浪人の獅子緒は、河童を探しに佃島へと向かう。瓦版屋の番太郎も、自分の書いた記事の真相を確かめるべく獅子緒に同行するが、そこで彼らを待ち受けるものは河童ではなく……!?鬼才・猪原賽が大胆な解釈でクトゥルー神話を綴り、実力派・横島一が豪快なアクションで描く、問答無用のエンターテインメント!!〈巻末には、底本のカバーや表紙などに掲載されていたイラスト、漫画を「電子版オマケ」として特別収録!!〉
▼第1話/海から来た娘 ▼第2話/難破船 ▼第3話/警固料 ▼第4話/黒鷹 ▼第5話/船大工 ▼第6話/異変 ▼第7話/鼠(ねずみ) ▼第8話/やけっぱち ▼第9話/京の都 ●登場人物/鶴姫(陸の武将たちに恐れられ三島水軍の領袖・大祝家の娘。破天荒な性格で、兄たちを困らせている)、爺(鶴姫の守り役。三島水軍の古株)、安房(大祝家の次男。妹鶴にはいつもふりまわされっぱなし)、黒鷹(大祝家の郎党。鶴姫に惚れている) ●あらすじ/室町末期。播磨のある村に異形のお面をかぶった異人が現れた。村人たちが大騒ぎし、異人は兵に囲まれてしまう。その異形の面の下からはまだあどけなさの残った女性の顔が現れた。言葉が通じないためその娘の処遇に困る領主の元に三島水軍が来たという知らせが入る。じつは、その娘は三島水軍の領袖である大祝(おおほうり)家の娘・鶴だったのだ。三島水軍を敵に回したくないが、体面も繕いたい領主は大弱り。そこで、鶴は領主にある申し出をする(第1話)。