1992年に『紅の豚』を公開してから沈黙していた宮崎駿が、1997年満を持して発表したのが『もののけ姫』である。このセットはそのフィルムコミック全5巻。フィルムコミックとは、映画のシーンをマンガのように再編集して本にしたものだ。 <p> 舞台は室町時代の日本。北の地で暮らす若者アシタカは、突然村を襲ってきたタタリ神に触れ、腕に「呪い」を受けてしまう。その呪いを解くために、彼はひとり西へと旅立つ。旅の途中、シシ神の森で、エボシ御前によって傷つけられた山犬を治療する少女サンに出会う。やがてエボシ、山犬たちとの争いに巻き込まれるアシタカは、両者が共存できる道を探そうと立ち上がる。 <p> この「時代劇」は、これまでの宮崎作品とはずいぶん異質である。彼の得意とする飛翔場面はなく、少女は可憐どころか山犬と暮らし人間を厭(いと)う。映画のテーマである「自然と人間との共生」にたいして、宮崎は希望的な結末を用意しなかった。それでも、この映画は日本人の1割が見たといわれるほどの大ヒットとなった。この『もののけ姫』の深く奥行きある世界を、本書でじっくりと味わってみてはいかがだろうか。(文月 達)
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発刊: 1985.03.10 ~
既刊3巻
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a3.00
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発刊: 1998.11.01 ~
既刊1巻
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a本の内容 彼氏はいても、まだ本当の恋を知らない18歳の由衣子が惹かれたのは、妻も恋人もいる大人の男—。切ない恋を描いた表題作ほか、記憶喪失になった大富豪の娘・ビアンカを巡るミステリアスな作品「夢のあとさき」を収録。