この物語は2つの軸で進行します。1つは惑星ソラリスに存在するプラズマ状の「海」との接触。2つめは「海」がステーションに送り込んできた"ゲスト"と呼ばれるものとの対話です。 海は眠っている間に人間の記憶の痕跡を探り、未解決の隠された葛藤を実体化し、送り込みます。 主人公の"ゲスト"であるハリーも彼の隠された記憶の断片が再構成されたものであり、彼らは否応なく未解決の葛藤という自らの意識に直面させられます。 再生したハリーは彼自身の後悔や良心を形象化したものであり、彼を常に責め苛み、強制的に葛藤を想起させる存在に他なりません。 惑星ソラリスでの「海」との接触は、結果として人間自身の内なる未知との出会いを齎すことになりました。ソラリスという未知を研究してきた人類は、自らの内面に存在する未知と遭遇することなった、というのがこの作品の序盤の展開となります。 そして、複製のハリーは自己犠牲という形で主人公への変わらぬ愛を貫くことになります。複製体はソラリスでしか存在することができないため、2人で一緒に暮らすということは主人公が故郷に帰ることができずに、一生良心の呵責に苦しみ続けるということを意味します。 悔恨と郷愁の狭間で苦悩し葛藤する主人公を理解した複製のハリーは自ら進んで永久に姿を消すことを決意しました。 ここまでの物語から複製のハリーは自己のアイデンティティ危機に直面し、主人公も同様にアイデンティティ危機に直面することがわかります。そもそも複製のハリーは主人公の記憶を投影された鏡像だったということがここで思い出されるという流れです。 そして物語終盤に主人公は同僚のスナウトと惑星ソラリスと神についての議論を交わします。 2人が惑星ソラリスについて結論付けたことを考えると、愛や赦しが人間にとって何ものにも代え難い貴重な価値であるとしても、宇宙はそれに無関心であり、人間の理性では捉え難い絶対的な他者として存在しているということです。 人間らしさの本質にこだわりつつ、自己の意識と向き合わされた人間の内なる旅を描いた作品でした。楽しかったです。
by 山形 (536)《『自転車屋さんの高橋くん』松虫あられの幻の新連載、復活!!》加藤アリスは自分の名前と体型がコンプレックスな25歳。他人と容姿を比べてしまう自分、押し付けが強い母親…「ここにいたら、消えたいまんまな気がする」。埼玉の実家を離れ、親戚のいる青森でアリスが出会ったのは、りんご農家の青年・正市だった。彼の不思議な優しさと広い空の下で、アリスは少しずつ《自分の居場所》を見つけはじめる…。傷ついた心をそっと癒す、出会いと再生の物語。【単行本限定おまけ漫画収録】
ある日、瞬間移動の超能力<サイク>に目覚めた佐山ことね。サイズ変更のサイクを持った須谷ねむるとの出会いをきっかけに、超能力者が住むシェアハウス・サイクハウスに誘われ…!? ねむるとことねの、ふしぎでふつうな日々が始まる!!
格闘技をこよなく愛する青年・三島ユタカ。目はいいが、体が弱いユタカは、ジムに出没する天才セコンド・外山晃一郎に、自分のセコンドになって欲しいと頼む。外山は、組んだ人間を誰でも勝たせてしまう天才トレーナーであり、金に五月蠅く、そしてアル中であった。「無敗」の戦績で国内最強になる事こそ、MMA(総合格闘技)の頂点への最速ルート…… 異色の超王道格闘漫画、ここに開幕!
不況、高齢化、汚職、裏金。朽ちゆく日本を救うため“正義”が暴走する。━━真の愛国心を問う、令和のピカレスクロマン。地球外生命体から日本を守る秘密組織、地球防衛隊。隊員である大和孝一は、外生体を捕らえることこそが国の平和につながると思っていた。彼女に出会うまでは━━。「本当に日本をダメにしているのは外生体なのかしら?」不況、高齢化、汚職、裏金。国の内側に巣くう法で裁けない理不尽な悪、老害。持続不可な社会を救うため老害どもを駆逐せよ。真の愛国心を問う、令和のピカレスクロマン。