福本伸行さんの作品の書影

福本伸行

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作品数:56

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4,029

4.0

13巻まで読みました

「賭博黙示録カイジ」の続編で、カイジシリーズの2作目。
なお、カイジシリーズは現在まで続いている長期シリーズですが、現在連載されているのが第4章で、本作「賭博黙示録カイジ」に収録されているのはその第3章にあたります。
「賭博黙示録カイジ」が1,2章なので、4章だけが長いような感じなんですね。

前作ラストで兵藤に敗北し、1000万ほどの借金を負ってしまったカイジは逃亡し、帝愛グループの借金取り立て人たちはその行方を追っていた。
利根川失脚により、小さいファイナンス事務所でつまらない仕事をしていた遠藤は、カイジを追い求める一人だったが、そんな遠藤の前にカイジが現れ、一発逆転、起死回生のギャンブルを紹介するよう依頼する。
巨額の負債しかないカイジに紹介できるようなギャンブルはなく、遠藤はカイジを帝愛グループの地下施設で強制労働を強いる。
脱出不可能、生活も賃金も最低限に管理され、刑務所以下の生活を強いるそこの生活での唯一の楽しみは、ペリカ(日本円の10分の1)で支払われる雀の涙ほどの給料で購入するビールと些細なツマミのみだった。
そんな中、一日外出券を購入し、外で何か一発当てることを画策するカイジだったが、班長「大槻」の策に嵌り、お金は貯まらず、地下で催されるチンチロ博打で逆に借金をこしらえてしまう。
本作では、大槻の私腹を奪い地上に出ることを画策する「地下チンチロ」、地上に出たカイジが挑戦する「沼」の2つのギャンブルが描かれます。

前作と異なり、本作は一旦完結しており、次回に続くことが明らかな終わり方にはなっていないです。
次回作「賭博堕天録カイジ」からは以降、現在まで長期化しているので、カイジは本作までとするのもありかなと思います。
個人的には次回の「賭博堕天録カイジ」がカイジシリーズでは一番好きなので、そこまではおすすめします(「和也編」以降は結構グダグダ続いている感じがしています)。
前作では、ギャンブルに自分の肉体、命であったり、鼓膜や指を賭けるシーンが多々ありましたが、本作ではコマはすべてお金です。
ただ、それで緊迫感が薄れるようなことはなく、負ければ地獄が待っている背水の陣で勝負に出ていること、また、必勝の策を持って挑んでいるが、ギャンブルなので負けることがあるということが十分伝わってきました。
ちなみにカイジ側の策は割とご都合主義で、普通に考えてそんなことは起こらないと思いますが、特に「沼」は非常に奇抜な作戦で対応していて所見だと驚くと思います。
ラストは、まさかの展開になり、カイジらしい終わり方かなあと思いました。

賭博破戒録カイジ

レビュー(419)件

完結・全13巻

4.0

10巻まで読みました

『賭博黙示録カイジ』に登場した帝愛グループの最高幹部「利根川幸雄」を主人公にしたスピンオフ。

利根川は、本編で全編にわたってカイジの宿敵で、悪徳金融企業のNo.2として君臨する悪党として強いカリスマ性を見せますが、本作では部下を気遣い上司を立てる、タイトル通り彼の中間管理職としての気苦労が描かれています。
また、本作は一話完結型のギャグ漫画で、無個性に見えて実は個性的な黒服たちや、乙女のようにめんどくさい兵藤に囲まれ、日々の業務のドタバタを描く内容となります。

なお、作者はカイジシリーズの福本伸行氏ではなく、福本氏は"協力"という形で、原作・作画とも別の方が担当しています。
ハンチョウのスピンオフもそうなのですが、絵もストーリーも違和感なく、知らなければ気づかないレベルと思います。
ちなみにハンチョウはハンチョウで、利根川とはまた作画担当は別です。
福本絵そっくりに、絵ではなくてマンガが描ける方が沢山いるのに驚きます(まさか、影武者)。

読みやすく、とても面白かったです。
内容は基本的に利根川の業務内容についてなのですが、兵藤も思いつきに振り回されたり、ライバルより気に入られるため頑張ったり、AI黒服を雇ったり、トラブルが絶えない割に非常にシュールです。
日常系といえば日常系で、巻数が進んでもキャラが増えるだけでストーリーは展開しません。
"カイジ"に出てくる"エスポワール"や"限定ジャンケン"、"Eカード"の誕生秘話が明かされたり、また、本編では"沼"の攻略者として利根川の写真が飾られていましたが、その伏線回収をちゃっかりやっていたくらいですね。
読んでなくても楽しめますが、"カイジ"本編は読んでいた方がより楽しめると思います。

最終回は、"カイジ"本編でラストで失脚した後の話が描かれていて、なかなか感動的なラストでした。
ただ、この最終回も"カイジ"本編知っていないとあまり意味が無いだろうなと思いました。
そういう意味でも、"カイジ"を併せて読むことをおすすめします。

中間管理録トネガワ

レビュー(317)件

完結・全10巻

3.9

18巻まで読みました

"アカギ" のスピンオフ元として有名な作品。
連載開始は1989年と福本伸行作品としては初期からの作品ですが、連載終了は2002年で、その間に"金と銀"、"賭博黙示録 カイジ"、"無頼伝 涯"などが始まって終わったこととなります。
連載開始時と終了時で絵柄が大きく変わっており、歴史を感じることができます。

主人公は「天 貴史」という博徒。
彼は義理人情に厚く、代打ちという裏稼業で食っていますが、弱者に優しい面を持つ男です。
ある日、「井川ひろゆき」という、お小遣い稼ぎ程度に麻雀を打っていた青年と天が、雀荘で対決することになります。
純粋な雀力では、ひろゆきの方が上と思われたのですが、あからさまなイカサマにより天が逆転勝利し、これを機に、ひろゆきと天は親交を深める。

序盤はそういう感じでストーリーが展開し、麻雀を通して人と人が繋がっていく人情漫画が予定されていた様子なのですが、途中から今の福本伸行作品らしい、闘牌の様が描かれるようになり、いつの間にやら『ざわ・・・ざわ・・・』というおなじみの擬音語も違和感なくついてきます。
昔の福本伸行作品といえば人情ものだったそうで、本作は、人情から闘牌マンガへの過渡を感じさせる内容でした。

内容は終始麻雀で、変速ルールではありますが、読み合いや点数を計算して勝利への道筋を練る展開が多々あり、麻雀のルールを理解しているのは必須だと思います。
大きなモノを賭した勝負が繰り広げられますが、命までは賭けられていないので、シンプルに麻雀マンガとして読めます。
ただ、登場するキャラクターは、結局どういったカラクリでそれを達成しているのかよく分からない技のようなものを繰り出してきます。
"仕組みは分からないがこういうことをしてくる"相手に対処する展開があり、能力者バトルじみていると感じることがありました。

なお、本作のスピンオフとして"アカギ"以外に、井川ひろゆきを主役とした"HERO"という作品もあります。
こちらは未完結なので、完結したら読みたいと思っています。

レビュー(113)件

完結・全18巻

3.9

福本伸行氏の現時点で再長期連載作品。
27年の長期連載の後、2018年3月に完結しました。
一度完結しましたが続編が連載される準備があることを近代麻雀の編集部が述べており、実際、本作の続編にあたる作品が現在連載されています。
ただ、アカギは何気に女性人気が高い作品だったので、続編の主人公が女の子になっているのはちょっとどうかなと思います。
既存のファンが求めるものと方向性が違うのでは。

「赤木しげる」という風来坊の博打狂が主人公で、最終章の"手本引き"以外は麻雀による勝負が描かれています。
ラストの手本引きは、それ自体の知名度が低いためかガッツリとルール説明がありましたが、基本的に本作は麻雀のルールを理解していないと読むのはきついと思います。

ラストの手本引きを加えると4つの章に分かれますが、その大部分は同牌の4牌中3牌が透けて相手から見える特殊な牌を使った鷲巣麻雀編で、36巻中28巻以上が鷲巣麻雀です。
裏社会の帝王「鷲頭厳」と「赤木しげる」の命をやり取りする真剣なイチャイチャが本作のメインとなっていて、薄い本が作られるわけです。

なお、鷲巣麻雀は半荘6回の勝負で、5回戦までは比較的サクサク進むのですが、6回戦(特にラスト一局)の引き伸ばしが凄まじいです。
黒服の助言が入って1話、鷲巣の妄想が入って2話、配牌だけで何話も消費するので、緊迫感を通り越してもはやそういうネタではないかと思われる始末。
更には対局中に倒れた鷲巣が地獄で大暴れする地獄編などが入り、もういいから先に進めてくれと、ただ、本当に終わってしまった時は、本当に終わったのか?という不信感不安感がありました。
そういうわけでなんだかんだ引き伸ばしも含めて楽しんでたのかなと思います。

アカギ

レビュー(245)件

完結・全36巻

4.1

福本伸行のカイジ連載開始前に連載していた作品。
「平井銀二」、通称「銀王」と呼ばれる裏社会を牛耳る人物と、彼に後継者として目を付けられ、銀王を超える「金」と呼ばれる人物になることを目指す「森田鉄雄」を主人公とする物語で、政治や駆け引き、殺人鬼との戦闘、巨額を掛けたギャンブルを描いた内容になっています。

ラストは打ち切りのような形で中断されています。
物語の区切りではあるのですが、森田と銀二が別れ別れとなったまま中途半端な終わりとなっています。
現時点で続編は無く、この結末を飲み込む必要があります。確率は薄いですが、連載再開を期待しています。

主に銀二が主役の政治メインの話と、森田メインのギャンブル/バトルメインのストーリーで別れています。
どちらが面白いかと言うと森田メインですが、"銀と金"という物語らしさというか、本作の印象が強いのは銀二メインのストーリーです。
政治、裏社会、裏取引の話は文章量が多く、内容も重くて難しいため、銀二のストーリーのチェイサー的な役割として森田のストーリーが働いているように感じました。
ただ、テコ入れがあったのか、銀二編でも競馬を題材とした勝負があり、一概ではないです。
全編政治ネタで埋まった、ガッツリした"銀と金"も読んでみたいです。

カイジでおなじみの特徴的な絵柄ですが、1巻時点ではまだ絵が固まっていないようで、キャプテン翼やワンピースのように顔が異様に小さく体が異常に大きく描かれることがあります。
ただ、雑で読めないというレベルではなく、私的には少し気になった程度で、読むのに支障はありませんでした。

最近の福本作品に比較するとテンポも非常に良いです。
政治パートの難しいやり取りを楽しめるかがポイントと思います。興味があれば良作です。

銀と金 新装版

レビュー(74)件

完結・全10巻

4.3

今も尚続くカイジシリーズの1作目。
今更レビューする必要も無いレベルの有名作ですね。

自堕落な生活を送っていた伊藤カイジは、自分が保証人になっていた借金を利子ごと押し付けられる。支払うアテも能力もないカイジは、遠藤の進められるままギャンブルが行われるという船に乗り込むというストーリー。
数量が制限されたグー・チョキ・パーのカードで戦う「限定ジャンケン」、落ちると命が危ない高さにある1本の鉄骨を渡る「鉄骨渡り」、そしてギャンブルを取り仕切る利根川と、針と鼓膜までの距離を賭けて戦う「Eカード」、最後に元締である兵頭とのギャンブル、計4つのギャンブルが描かれます。

本作で完結せず、続編がタイトルだけ変わって連載されているため、ラストはスッキリしない終わり方になっています。
ただ、連載中唐突に終わるわけではなく、ストーリー的には区切りになっているので、一応、本タイトルのみでも楽しめる形
にはなっています。
個人的には続編の「賭博破戒録カイジ」、その次の「賭博堕天録カイジ」の17歩編の方が好みです。ちなみにその次以降は、まだ連載中ですが冗長と感じています。

その後長いシリーズが続く1作目だけあって、絵に癖はありますが、非常に引き込まれる作品です。
作中、長考シーンが度々挟まりますが、焦れるというより必要な場面と感じます。
引き伸ばされて苛立つような展開ではなく、窮地に立たされた心理描写、閃き、一か八かの賭けに出る心理描写に優れていて、その上で続きが次回に跨るので、単純に続きが気になりました。
絵も特徴的ですが、今連載中のカイジとそう変化はないので、今の絵で問題ないならば、本作も違和感を感じないと思います。

なお、今のカイジと比べてギャグが少なく、必死で真面目な感じが強いです。
最近久しぶりに再読したのですが雰囲気が非常に懐かしく感じました。

賭博黙示録カイジ

レビュー(608)件

完結・全13巻

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Ikuru

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レビュー(184)件

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