1995年に発表された短編集『羽生生純の強者劇場』に、未発表作6編を加えたリニューアル版。250ページ以上の大ボリューム、全30編の中で、黒いユーモアが自由奔放に暴れ回る。 <p> たとえば「原因不明」という短編。この短編を構成するいくつかの要素は、どれを取っても、それ単体では既視感のある設定ばかり。娘を叱る厳格な父親、家族に反抗的な息子、宇宙人の地球侵略などなど。しかしその組みあわせ方があまりにもぶっ飛んでいる。また、1ページ目から2ページ目へ移った瞬間の、世界観の原因不明の飛躍には、漫画ならではの有無を言わせぬ破壊力がある。こういった設定の組み合わせの妙や、ヤケクソ気味にすら見える勢いは、収録されたほとんどの作品に顕著である。そしてこれらは、各短編の要所要所に時折漂うどこかいとおしいようなせつなさと共に、羽生生純の天性の持ち味と言えるだろう。 <p> 本単行本には、傑作長編『ワガランナァー』の原型とも言うべき短編「キャンデーヅ」も収録されている。抜きん出てキャラの立った浮浪者3人・奇想天外な設定・爽快すぎるオチ、と素晴らしい内容。確かに、これは短編だけで終わらせるのは惜しい、と思わせる怪作である。 <p> 見たことのあるものばかりで埋め尽くされた、見たことのない光景。羽生生純の、パロディ作家としての、またオリジナル作家としての見事な手腕が存分に堪能できる。心地良いくらいのスピードで、読者を突き放し、呆然とさせてくれる濃密な1冊。(横山雅啓)
▼第5話/バットを鍋に持ち替えて中華野球拳▼第6話/夢をあなたへペット天国▼第7話/エレキ再び電気屋▼第8話/そのまんまです高田マネキン紹介所▼第9話/一見様お断り天心▼第10振り返れば奴がいるカットサロンBLACK敵か味方か▼第11話/集まれ仲間たちとれいん▼第12話/あの人は今こんな事を松山勝太郎の店▼第13話/歴史はここで作られる赤坂料亭富士▼第14話/だれにも知られずにそっとあなただけにクサヤ千石堂▼第15話/書は心の泉坂田書店▼第16話/ドラゴン初めてのおつかい八百政魚政▼第17話/あの黒服がいる店六本木黒服▼第18話/麺類による人類支配ラーメン帝王▼第19話/性で心を奪ってしまえ大人のおもちゃKKD▼第20話/オプショナル革命メガネマート▼第21話/てめえら金じゃねえ金物辰▼第22話/もう、やみつきドラッグヤマウチ▼第23話/手作りです!手で作ってます!ベーカリーBABA▼第24話/復讐の鬼宣言不死身北町店▼第25話/他の店のは、とうふじゃねえ!手作りのとうふみとや▼第26話/マスターが一番の名物かもねモンカへ▼第27話/たけだけしいですフラワーショップ花ぬすびと▼第28話/そこに笑顔がある陽気なトムの店▼倒産覚悟売りつくしセールの章▼第29話/スピード一番星おでん隼▼第30話/夕闇の華バー黒蜥蜴▼第31話/数々の苦労と挫折を乗り越えて三笠松太郎商店▼第32話/くさい…でも行きたい松の肥▼第33話/ふるさとの味おふくろの味あけぼの食堂▼第34話/夏はやっぱりこれだねひえひえ弁当▼第35話/昔から横丁のかどにずっと。そしてこれからもたばこの平野▼第36話/どうなってるの間商店▼第37話/よきにはからえ殿の店▼第38話/変態さんいらっしゃい変質屋▼第39話/プラッシーいまだに健在俵屋米店▼第40話/いろんなもの写します木下写真館▼第41話/冷えたまなざし乾いた笑い皮肉屋▼第42話/彼は店を持たない。なぜなら彼自身が居酒屋だからだ。居酒屋ジョージ▼第43話/こんな時代やさかい高う売るでえ暮利松▼第44話/一歩そこにはいればそこはパリビストロール・シェール▼第45話/商売敵
▼第1話/開化 ▼第2話/召魔(めすま) ▼第3話/交霊 ▼第4話/罪 ▼第5話/霊視 ▼第6話/攘夷 ▼第7話/出生 ▼第8話/魂の声 ▼第9話/魔法使いの弟子 ●登場人物/鬼窪巖(明治新政府参議。国のことを真剣に思い多忙)、妙(参議・鬼窪の愛妾。心の病を患っている?)、召魔(巷間“妖術使い”と噂される異人。「動物磁気」など怪し気なもので病気を治す?) ●あらすじ/1868年、明治政府樹立。しかし、新しい世になっても、血の匂いは消えなかった。新政府に反発する反乱や一揆の首謀者たちはもちろん、時には無実であっても新政府にとって都合が悪ければ斬首、切腹…… 冷徹な強権をふるっていた―― 参議・鬼窪は、その新政府の中心人物として多忙を極める日々。世の中も、政府・文化・思想・化学…… 全てが新しいものへ移行しようと目まぐるしく動いていた時代、外国人居留地はずれの洋館に妖術使いが住んでいるという噂がたった。夜な夜な冥府から亡霊を呼びだしているというのだ。そんな折、久々に鬼窪と一夜をともにした愛妾・妙が生首の亡霊を見る!! (第1話) ▼妙がフラフラしながら入っていったという例の洋館を訪れた鬼窪。玄関の扉を開けるなり、目に飛びこんできたのは、かつて見たこともない奇妙な光景だった。ひとりの異人と操り人形のようにフラフラ踊る女たち、そしてグッタリと椅子にうなだれている妙の姿……。鬼窪の呼びかけで気を取り戻した妙。連れて帰ろうとしたところ、異人は「帰スワケニハイキマセン」と鬼窪をさえぎる。鬼窪のせいで病気が悪くなるというのだ。(第2話)
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発刊: 2016.05.18 ~
既刊7巻
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