かつて京で、幕府に背く長州藩らの不逞浪士を取り締まっていた武闘集団「新選組」。明治元年、今や長州・薩摩が官軍を名乗り新選組は賊軍と化していた。官軍に北へと追いつめられる中、新選組副長の土方歳三は、重病を患う友・沖田総司のもとを訪れる。はたしてその真意とは――!
主人公を土方歳三に据えた歴史漫画。 歴史漫画の醍醐味は、終わりがわかっている史実をベースにしながらも、どの辺で作者の色が出ているかを比較しながら楽しむところにあると思います。 この点、本作は初っ端から「土方歳三の小姓・市村鉄之助と沖田総司を入れ替え、沖田総司を生き長らえさせている」 という大胆なアレンジから入ります。 過去を回想するかたちで池田屋事件のエピソードも挿入されますが、ここも他では見たことがない切り口。新鮮です。 その他、新政府軍に対抗すべく、東北に朝廷を建てる構想があったという一説をストーリーに組み込んでいたりと中々面白いです。 作画の迫力や最低限のセリフ、テンポのいいナレーションも相まってとっても読みやすいし「if」のストーリーに違和感がない。 なにより洋装をして土方と共にする沖田が見られて嬉しい…これぞ漫画の醍醐味ですよね。
by せーふぁ (1065)3.08
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発刊: 2012.08.03 ~
完結・全1巻
新刊通知
aここ数年で描かれた美麗カラーイラスト50点収録!! ●人物絵巻 ●花札絵巻 ●銀幕絵巻 ●墨色絵巻 ●登場人物目録 ●聖地巡礼地図
16世紀、数万人が迫害を受けて死んだ“魔女狩り”。その狂気の時代に魔女と断罪された人々に寄り添い、医療の力で救おうとしたひとりの医師がいた──。精神医学の先駆者でもある実在した医師、ヨーハン・ヴァイヤーを描いた歴史ドラマがついに書籍化!
中世ヨーロッパ。現代医学とは対極の、魔女狩りが常識として行われていた時代。 "常識"ほど、不安定で移ろいやすいものはないでしょう。それが本作を読むと痛いほどわかります。 現代医学の礎の裏には、戦争がありました。失敗無くして成功はありません。 魔女狩りも、精神医学が発達していなかった中世の頃、更年期を迎える中年女性を中心に行われました。 自失状態や錯乱状態にあった彼女たちを「魔女」と呼び、その多くは火あぶりにかけられました。 人は、わからないものには無理やりでも理由をつけて安心したい性分なのでしょう。 そんないわば魔女の烙印をおされた人々を救った実在の医師、ヨーハン・ヴァイヤーの半生を描いた作品。 淡々としたテンションですが、それがかえって小気味良かったです。
by せーふぁ (1065)