宝石の国

市川春子

3.92

14709

発刊:2013.07.23 〜

完結・全14巻

『宝石の国(1)』巻の書影
『宝石の国(2)』巻の書影
『宝石の国(3)』巻の書影
『宝石の国(4)』巻の書影
『宝石の国(5)』巻の書影
『宝石の国(6)』巻の書影
『宝石の国(7)』巻の書影
『宝石の国(8)』巻の書影
『宝石の国(9)』巻の書影
『宝石の国(10)』巻の書影
『宝石の国(11)』巻の書影
『宝石の国(12)』巻の書影
『宝石の国(13)』巻の書影
『宝石の国(13)』巻の書影
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この漫画のレビュー

5.0
4.0
3.0
2.0
1.0
3.92

523件の評価

3.9

14巻まで読みました

『宝石の国』を読了しました。
この作品は、心えぐる鬱展開が話題で、単作が多い市川春子氏の初の連載作品で、ワンクールアニメ化もされています。
人間と呼ばれる生き物が古代と呼ばれる時代に存在したとされる遠い未来を舞台に、そこに生きる宝石の生命体たちを描いたファンタジーです。

登場するのは宝石の擬人化のようなキャラクターたちであり、人間は登場しません。
彼らは人の形をしており、人間と同様に会話し、軽口をたたいて日常生活しています。
宝石の名を冠している通り、体を構成する無機物の特性を受け継いでおり、シンシャは毒物を含んでおり、硬く黒いボルツは頑丈故に前線で敵と戦います。
宝石たちには敵がいて、月人と呼ばれる襲来者が度々月からやってきて、宝石たちを攻撃し、そして拐ってゆこうとします。

そんな宝石の国の主人公は、フォスフォフィライト。
彼は硬度も低く、得意なことも特にないため、仲間と違い役割を与えられないことに不満を抱いていましたが、根拠のない自信を持ち、明るく過ごしていました。
ある日、宝石たちの指導者である金剛先生は博物誌作成の仕事を彼に与えます。
しぶしぶその仕事をこなしていると、ある晩、月人の襲撃があり、夜の見回りを担当をしていたシンシャに助けられます。
美しい宝石たちによる未来世界のファンタジーですが、鬱展開と呼ばれるのは、主人公であるフォスフォフィライトが直面する悲劇的な運命のためですね。
フォスは仲間たちのために奔走し、足を失い、腕を失い、そして頭部を失うのですが、自分の体が入れ替わってゆくたびに少しずつ自我が変化していきます。
そして月へ赴き、月人や金剛先生の真実を知ったフォスは、仲間のもとに戻りますが、そこで悲しい誤解が生じます。
結果、さらに大きく欠損してしまった彼は、ついに崩壊をしてしまう。
身体が崩壊し、眼球が飛び出るようなシーンは多くありますが、ビジュアル的なグロさはほとんどなく、主人公のはずのフォスの不幸が際立つ作品です。
最終的には長い長い時間が経過し、最期のときが来てもフォスはフォスであった、その名残があったように思える悲しい結末でした。

絵はきれいなのですが、かなり読みにくさがあります。
ストーリーもやや複雑で、理解していてもなぜそうなるのか理由の把握が難しいシーンも多いです。
キャラクターも個性的なのですが、数がそれなりに多く、何度か読み返す必要があると思います。
ただ、一言で鬱展開と言う以上の深いストーリーがあり、ファンが多く話題になるのもうなづける壮大なサーガでした。

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nu

nu
2年前

4.6

12巻まで読みました

絵がわかりにくい。下手というわけではなく(むしろ絵自体はきれい)、読者への伝わりやすさよりも絵としての芸術性を重視して描かれたような感じ。悪く言えば作者自身の自己満足の絵。アフタヌーンだから許されてるけどメジャー誌だったらダメ出しされてそう。
キャラクターが多いのに顔がみんな同じ(実はこれには理由があり後ほど明かされる)なので、誰が誰に言ったセリフなのかがわからない。特にバトルシーンでは誰が誰に攻撃してどっちが勝ったのかが絵では読み取りにくい箇所が多くて前後の展開から予想しないといけなかった。
そのような理由で一度は読むのを断念していたものの、それ以上に内容が面白いと聞いて頑張って読んでみたら本当にめちゃくちゃ面白かった。絵のわかりにくさを補ってあまりあるほどストーリーが面白く、キャラクターも魅力的。序盤はやや単調でありきたりなストーリーで、能力は低いもののみんなに愛されるキャラクターの主人公と、機械のような無機質な敵が定期的に襲ってきて毎回撃退するというお話。中盤で主人公が月に行ってから一気に面白くなった。展開がスピーディーになり、伏線がどんどん回収されていく。一瞬12巻で最終回だと思ってしまうほどきれいに話がまとまったが、この続きがあるようなので楽しみ過ぎる。
23/09/17

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