日露戦争物語

江川達也

3.16

842

完結・全15巻

『日露戦争物語(1)』巻の書影
『日露戦争物語(2)』巻の書影
『日露戦争物語(3)』巻の書影
『日露戦争物語(4)』巻の書影
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うにたべたいさんが読んでいます

この漫画のレビュー

5.0
4.0
3.0
2.0
1.0
3.16

3件の評価

4.5

15巻まで読みました

日露戦争の名参謀として第一艦隊の旗艦・戦艦三笠に乗艦、ロシアのバルチック艦隊の迎撃作戦を展開し、日露戦争の我が方の勝利に大きく貢献した海軍軍人「秋山真之」を主役に吸えた歴史漫画。
秋山真之が主役というと「坂の上の雲」が想起されますが、本作はそのコミカライズなどではなく別作品です。

ストーリーは、松山城下町で暴れ回る秋山真之(淳五郎)6歳の頃から始まります。
いじめっ子たちを権謀術数で従え、松山一のガキ大将となった淳五郎と、後に「日本騎兵の父」と呼ばれる兄の秋山好古、親友の正岡昇(正岡子規)の幼少期から、二宮忠八、白川義則、南方熊楠などと出会い、大きな世界のうねりに飲まれず突き進んでゆく様が描かれています。
基本的に史実に基づきますが、特に序盤はエンターテイメント性の高い表現がされていて、楽しく学べるものとなっています。
秋山真之だけではなく同時代の歴史上の偉人達にもスポットがあたっていて、一時期秋山真之らを教えていた高橋是清や、正岡子規の学友だった夏目漱石などなどについて逸話や人物像が挿入される作りになっていて、とても楽しめます。
また、清国から独立し近代化を目指していた金玉均らのクーデター、その顛末も脇道に逸れる形で描かれるなど、同時期の世界の動きも描かれています。
作中に描かれる内容は並大抵の取材、知識で得られるものでは無い、大変情報量が多くて為になる内容だと思いました。
私見となりますが、右でも左でもなく、ただ史実をわかりやすく面白く伝えようという感じがしました。
この手の題材は思想が偏向しがちな感じがしますが、マンガ的表現を加えることで一歩下がった見方ができているので、歴史を学ぶために手に取るにもオススメします。

ただ、残念なのは終盤で、タイトルにあるの日露戦争に入る以前の、日清戦争が終戦する前までですっぱりと終わってしまいます。
日清戦争に入ってからは文字の比率が圧倒的に多く、背景は銃声の「パンパン」という文字で埋められています。
内容の濃さは変わらず、日本側の軍人の考え、動きや、軍関係者、特に明治天皇陛下の心中の描写まであり、凄まじい量の努力が裏にあったと感じられ、興味深く読みましたが、大衆向けのエンターテイメントではなく、興味がある人向けの難しい内容になっています。
歴史に興味がある人には凄く夢中になれると思います。
何せ日本だけではなく清国側の軍人達についても描かれていて、字が多いとはいえマンガ形式で読めるのだから、これは他にはない名著と思います。
それ故に途中終了してしまったのが残念。どんどん一般向けでなくなっていったので、仕方ないのかもしれないですが。

作者の江川達也氏は、氏に対する批判の声も多いですが、本作については描ききれていない点については残念と思うものの作品自体は素晴らしいので、多くの人に読んで欲しいと思います。

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