ある雨の日。青蘭中学の入学式を待ちわびる「塙さほ」は、傘もささずに青蘭の制服を着て立っている少女と出会う。「あたしがみえるの?」と語りかけてきたその少女は、みつあみで、幽霊で、名前は「ちえ」。それを聞いた両親は、その子は、「さほ」の亡くなったお姉さんだという。だが、母のお腹の中で死んだはずの自分が、なぜ成長して、青蘭の制服を着ているのか? 疑問に思った「ちえ」が、あることに気がついた、そのとき……。「ちえ」と「さほ」、ある姉妹が遭遇した不思議なものがたり、その真実はどこに?
死んでしまった飼い猫の生まれ変わりを想像するありさ。大病から回復し、「まるで不思議な何かに押し戻されるようにしてここにいる」と感じる利根川まい。『わがままちえちゃん』に描かれる少女たちは、いずれも、起こってしまった出来事の偶然性と正面から向き合うことができず、それらに事後的に意味を与えようとする。 私たちは、出来事がただ起こっただけだ、という事実をそのまま引き受けることができない。理由も救いもない偶然に直面したとき、つい「そうであってほしい物語」を語ってしまう。本作品でいわれる「わがまま」とは、そうした半ば身勝手な想像力のことをいう。 亡くなった妹・さほの声が「聞こえるような気がする」と語る塙ちえも例外ではない。ある時は妹が生きていて、代わりに自分が死んで幽霊になっている夢を見たかと思えば、またある時は自分が子どもを産むとき、「その子がさほだったらいいな」と思いを巡らせる。彼女は単に現実逃避をしているのではない。そこに見え隠れするのは、無意味さの中に放り出されるよりも、どこか歪んだかたちであれ意味を選び取ろうとする必死さだ。おそらく彼女が興味を持つ占いも、単に未来を知るためのものというよりかは、偶然や無意味さに意味を付与するための儀式である。 「さほはさほで、弟は弟で、ちえはちえでしかない」 それにさほはあのときただ単に、理由もなく死んだのだ。彼女自身もそれを理解している。理解していながらも、どこかアイロニカルに「わがまま」を言う。あの日のことを後悔しながら、気休めにすぎないかもしれない「わがまま」を呟きながら、後ろ向きのまま前に進んでいく。「わがまま」を呟くこと、呟けるということは、私たちが生きる上でつねにすでに与えられている条件のようなものだ。
by 動物的データベース (150)3.33
7
発刊: 2009.03.09 ~
既刊1巻
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a3.11
7
発刊: 2016.03.10 ~
既刊1巻
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a世に知れ渡った気絶癖により、仕官から遠のいている泡吹ほっこり流15代目当主・泡吹絶之進。そんな師匠をモーレツバックアップするのは……門下生筆頭・すすむくん!! ダチョウの“ぼると”、カエルの“粘太”、ムカデの“百吉”などの“すすむ軍団”を引き連れて、今日も明日も師匠のために大奮闘! 果たして絶之進は仕官ができるのか!? 今ここに大型時代劇の幕が開く!
日曜日は「血」の料理を食べる日――。郊外の静かな町・東八森(ひがしはちもり)。そこには、日曜日に「血」の料理を食べる人々「血飲み(チノミ)」が暮らしていた。ある日、一人の女が全身の血を抜かれ殺される事件が起こる。そんなとき、しがないフリーターのユーイチは驚くべき「血」の秘密を握る!知ってはならない「血」の謎を追う、衝撃のアドベンチャー・ホラー開幕!
3.28
7
発刊: 2016.11.17 ~
既刊1巻
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a世話焼きなシェフ・開人と駆け出しのアートディレクター・伊介が同居を始めてから早6年。朝がしんどいのも、開人のHがしつこいのも相変わらずだけど、毎日少しずつ変化はあって――…?描きおろし52P収録!!電子書籍限定描きおろし1Pマンガ付き。
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