仮面ライダー

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    『仮面ライダーSPIRITS』の書影

    仮面ライダーSPIRITS

    3.36

    794

    発刊: 2001.3.5 ~

    完結・全16巻

    時代が望む時、仮面ライダーは必ず甦る。本郷猛、一文字隼人、風見志郎。すべての世代に贈る、ライダー新ストーリー!

    雑誌連載を主軸にストーリー展開された仮面ライダーZXを中心に据えた漫画作品。 ストーリーは基本的に雑誌と数少ない特撮番組の流れを意識した展開がされていますが、オリジナル色が強いので、ZXのコミカライズではなく別作品として捉えたほうがよいかと思います。 3巻までを第1部、4巻から8巻が2部、9巻からラストが3部という構成となっています。 また、連載中に掲載誌が休刊となった都合上、本作で完結されておらず、続刊がタイトルと掲載誌が変更になって「新 仮面ライダーSPIRITS」として連載されています。 「新 仮面ライダーSPIRITS」も追いかけていますが、現時点で完結していないので、ひとまず「仮面ライダーSPIRITS」までのレビューとして書きます。 第1部では世界各地に散らばったライダー達のその後と、新しい戦いの序曲が描かれています。 正体不明の怪人が引き起こす事件に対峙し、徐々に新たな敵組織「BADAN」の輪郭が浮かぶ上がってくる内容となっていて、仮面ライダーZX・村雨良の物語は2章から始まります。 精神体となった姉の助けでBADANから抜け出し、改造された体で失われた記憶を求める良は、他のライダーの助けもあってその運命と己の体を受け入れ、やがてライダーとして戦う決意をする。 その一方でBADANは、過去の組織と怪人たちを復活させて、日本中に進撃を開始する、ZXと9人ライダーの戦いの火蓋が切って落とされるところから3部開始、以降は「新 仮面ライダーSPIRITS」まで続いています。 10号ライダーまでのライダーによる物語となっています。 石ノ森章太郎氏の漫画版ではなく、特撮ヒーローの仮面ライダーがモデルで、時系列としてはスーパー1からの続編作品です。 仮面ライダーガイアも登場しません。 ただ、作者の仮面ライダーに関する知見は凄まじく、各ライダーの中の人のかき分けはもちろんのこと、立花藤兵衛、谷源太郎、FBIの滝和也、V3に登場した佐久間、水城 涼子・霧子、マサヒコやモグラ獣人、がんがんじい、チョロ、ハルミ、少年ライダー隊などなど、漫画とはいえ当時のキャラが当時のまま活躍する姿をみるのは非常に嬉しいです。 作者のライダーに対する深い愛情を感じました。 私自身、昭和ライダーを見たのはもう何年も前のことですが、当時の記憶が蘇ってきて、仮面ライダーが好きな少年だった自分を思い起こさせる作品だと思いました。 昭和ライダーを知らなくても楽しめるとは思いますが、やっぱり昭和ライダーを一巡でいいので見た上で本作を読むことをおすすめします。 ただ、本作は途中までだからいうところもあるのですが、ストーリーが緩慢な印象を持ちました。 過去組織の怪人、幹部が復活し、再びライダーと相見えるのですが、ライダーサイドに比べると怪人側のキャラクターの掘り下げは薄く、怪人も見るとノスタルジーを感じるのですが、再生した怪人とライダーがまた戦うだけという感じがしました。 とはいえ完結作品ではないので、今後の展開を刮目して待ちたいと思います。

    by うにたべたい (528)

    仮面ライダーZOのコミカライズ作品。 原作とはテイストが異なっており、島本和彦節が効いた熱い内容になっています。 特撮作品と比べるともはや別物ですが、いい方向に改変が行われていると思いました。 動きがあり迫力が感じ取れます。また、ウエストが異様に細く、関節がか細く、そして興奮するとクラッシャーが大きく開口するZOは、原作以上に異形の怪物として表現されています。 ドラスもかっこいいです。もともと秀逸なデザインですが、本作のドラスはより禍々しい存在として描かれており、ドラス好きにも安心の作画でした。 ただ、マッチョで寡黙な麻生勝がニヒルな優男に改変されているのだけは受け入れられませんでした。 麻生勝役の土門廣さんのファンな自分としては、ここだけは原作に寄せてほしかったです。 ストーリーに大幅な改変があるため、元の特撮作品は見なくても理解できる内容です。 異なる点として、序盤元作品には出てこない巨大なバッタがサポートキャラとして現れます。 巨大バットといえばZOというよりJに出てきたベリーを想起しますが、まさにそのような感じです。なお、本作のバッタはいつの間にか登場しなくなります。 また、元作品ではドラスの手下としての描写しかなかった蜘蛛女が、改造された麻生勝の恋人であるという設定が追加されています。 他にも、ドラスを倒す方法が異なっていてラストも違っていたり、ドラスのパワーアップ方法が違っていたりします。 全体的には比較的短いページ数の中で十分な見せ場のある作品となっており、テンポよくまとまっていて、原作へのリスペクトも込められている良作品だと感じました。 基本的にシリアスな作品なのですが、道着を着たライダーがパンチの修行をするシーンだけどう受け取ればいいのか、実写でやれば様になったかもしれませんがちょっと悪乗りがすぎると感じる部分もありました。 土門廣さんがイケメンすぎるので、特撮作品のほうが個人的には好みですが、本作は本作で一つのZOの物語だと思います。 なお、この完全版では、週刊少年サンデーで連載されていた仮面ライダーBlackの外伝「イミテーション・7」が同録されています。 この「イミテーション・7」のほうはギャグ描写が一切なく終始シリアスな展開をしていて、ZOよりも個人的には良かったです。 仮面ライダーBlackのダミーとして改造されてしまった暴走族のヘッドが組織から脱走し仲間と合流するのですが、持った力で暴走するも悪になりきれず、というストーリーで、本作中には仮面ライダーBlackこと南光太郎が登場します。 光太郎の登場シーンがもう、超かっこいいです。 「イミテーション・7」が載っているので、仮面ライダーZOのコミックは完全版の購入をおすすめします。

    by うにたべたい (528)

    仮面ライダーをつくった男たち (KCデラックス) [Apr 23, 2007] 村枝 賢一; 小田 克己

    仮面ライダーの制作秘話が描かれたドキュメンタリー漫画。全1巻、4話収録されています。 タイトルこそ「仮面ライダーをつくった男たち」となっていますが、最初の一話は初代プロデューサー平山亨の話で、残りの2話から4話目までは大野剣友会にスポットをあてた話になっています。 個人的には、原作者の石ノ森章太郎はもちろん、衣装さんや構成作家、俳優さん、あるいは有名ファンなど、他の「仮面ライダーをつくった男たち」について深く掘り下げられていないのが少し残念と感じました。 不定期でいいからもっと続いてほしいなと思います。 作画は仮面ライダーSPIRITSでお馴染みの村枝賢一氏。本作のようなテーマでファンが安心して任せられる数少ない漫画家だと思います。 仮面ライダーにかける熱い情熱が、そして命さえもかけて仮面ライダーに全力を尽くす彼らの迫力がビシビシと伝わってくる作品になっています。 なお、村枝賢一作品らしく、登場人物が10倍増しでイケメンになっています。石ノ森章太郎先生かっけえぇぇ。 役者さんも少し登場するのですが、SPIRITSと同じ作画ではなく役者としての顔を描いていただけています。 村雨良ではなく、菅田俊が登場したシーンでなぜか感動しました。ただ菅田俊は本人の方がイケメンと思います。 ストーリーは、実質、平山亨と大野剣友会の2本立てとはいえ、ファンにはたまらない内容になっています。 バラック同然の細山スタジオ、マスクマンKの企画書、仮面ライダーの前進クロスファイヤー、そこからドクロのヒーローへ差し替えを提案するが却下をくらい飛蝗をモチーフとしたヒーローが登場するなど、ライダーは知っているが裏話はよく知らないという方にも、知識としてすでに持っている人にもおすすめです。 大野剣友会の面々に関しては、私自身、本編でのクレジットから彼らの名前くらいしか知らなかったのですが、その素顔(美化はされているのでしょうけど)が描かれており、大変興味深かったです。 巻末には大野幸太郎、平山亨、内田有作などの寄稿文が載っており、こちらもライダーファンは必見です。 かっこよくて感動できて最高でした!

    by うにたべたい (528)

    仮面ライダー響鬼・劇場版のコミカライズ作品。 若干アレンジが加えられている他は基本的に原作を準拠した内容となっています。 劇場版響鬼はTV版企画段階では存在した戦国時代を舞台にした作品で、人々に蔑ろにされてバラバラになった8人の鬼たちが、オロチに苦しめられる人々を救うため手を取って戦うという、本放送とは別の時代の響鬼ら鬼たちの活躍を描いた内容になっています。 私的には、本作の劇場版ライダーは初めてラルクやランスを見たとき、いやそれ以上に衝撃のデザインでした。とても仮面ライダーに見えないフンドシでマッチョなライダーたちが登場します。 映像作品では冒頭で現代のヒビキさんや明日夢のシーンがありますが、本作では最初から最後まで戦国時代の話となっています。 そのため、本作中ではライダーという単語すらも出てきません。 ムキムキの鬼たちが、肉弾戦ではなく楽器を奏でることで戦っているので、響鬼未視聴で読むと意味わからなくなること請け合いです。 本作だけでも楽しめると思いますが、TV版を視聴しておくことをおすすめします。 作画についてはマッシヴな鬼たちを十分描けていると思います。 ただ、バトルシーンに関しては、動きがあまり感じられず、迫力が弱いと感じました。 凍鬼の音撃殴 一撃怒涛のシーンなど、良かったシーンもあるのですが、響鬼と歌舞鬼の戦うシーンはただの絵の連続になっていて、命を賭して戦っている様子にはとても見えませんでした。 役者さんはだいぶ特徴を捉えられています。ちょっと目がキラキラしすぎている気もしますが、雰囲気が似ていて映像作品のイメージを壊さないと思います。コミカライズ!って感じ。 映像作品はレンタルなりで視聴が難しいわけではないので、わざわざコミックで読むメリットはないと思います。 私はコレクターズアイテムとして所持していますが、よほどライダーマニアというわけでもない限りは、本作を見たければDVDを借りるほうが良いと思います。

    by うにたべたい (528)

    テレビ放送された仮面ライダー龍騎のスペシャル番組「13RIDERS」のコミカライズ作品。 「13RIDERS」はテレビ放映時に一度見たきりなのですが、細部が放映時と異なっているそうです。 また、テレビ放映時龍騎は、「戦うこと」を選択しましたが、もし「戦わないこと」を選択していたらどうなっていか、その場合の結末についても本作中で述べられており、コミック版は1冊で2通りのエンディングが描かれた内容になっています。 OREジャーナルの記者見習いである城戸真司が、ライダーの戦いに巻き込まれてからその終結までを描いた作品になっており、TVシリーズでは50話かけた内容を一冊にまとめた上、TVシリーズでは出しきれなかった13体の全ライダーを登場させているため、かなり無理のあるストーリー展開になっています。 一応13体のライダーが描かれていますが、変身者のまともなシーンがあるのは龍騎、ナイト、ベルデくらいで、それ以外はカメオ出演程度かまたは無しで、各キャラの見せ場もほぼありません。 このあたりはテレビ放送時も同様なので、どうこう言っても仕方ない部分ですが、龍騎、ナイトがSURVIVEのカードを持っていた理由についても語られておらず、なぜミラーワールドが存在するのかや、そもそもこの戦いは誰が何の目的で始まったのかについても語られない、説明不足の多い作品だと感じています。 作画については癖が強いですが、役者さんの特徴を捉えていて読んでいて懐かしさを覚えました。 特撮のコミカライズ経験のある漫画家のため、ライダーたちの乱戦のシーンも混乱なく描けていて読みやすかったです。 本作はTVシリーズのサイドストーリー(パラレルワールドの一つ)であり、本作のみでは内容を飲み込めないと思います。そのため、龍騎の入り口としてはおすすめできません。 平成ライダーファンはコレクターズアイテムとして持っていてもいいと思います。

    by うにたべたい (528)
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