浅野いにおさんの作品の書影

浅野いにお

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作品数:18

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3,091

4.6

1巻まで読みました

様々な人物の過去と現在が折り重なるように物語られ、事件の真相や彼らの事情が明かされるものとなっています。

浅野いにお作品ですが、おふざけは無く、展開は終始シリアスです。
一巻で完結ですが、展開は複雑で説明が少ないです。
状況や顔の形から各キャラの過去と現在を紐付ける必要があり、2度3度読むことでようやく理解できる部分も出てきます。
ただ、展開は分かりやすく、文字が多い訳でもなく読みやすいです。
北野武監督が著書の中で"映画は因数分解"と表現していましたが、本作はそういう意味で"マンガの因数分解"が効果的にできている例だと思いました。
無駄がなく、構成が素晴らしいと感じました。

登場人物は複数いますが、誰が主人公というのは断じ辛いです。
強いていえば、物語の開始時に小学校に転校してきた鈴木アマヒコと、イジメっ子の小松崎航太が最重要人物と言えると思います
もう1人、キーキャラクターとして「木村 有江」という同級生の少女がいるのですが、彼女は不審者による婦女暴行を受けた後、イジメにあい、街の中にあるトンネルに転落して意識不明となっています。
クラスに馴染めないアマヒコを心配する担任教師はこの事件で襲われている生徒を救うため大怪我を負っています。
また、同じく教師の男は、後に父の経営するスーパーの支店長となり、木村有江の父と航太はそのスーパーの従業員となっています。
また、航太は有江の父のある黒い感情に気づいている。
有江の父とアマヒコの父には知られざる秘密があるなど、ストーリーを要約することはもはやできない複雑にほつれた、だけど一つ一つは日常に紛れるようなストーリーとなっています。
すごい作品です。おすすめします。

虹ヶ原ホログラフ

レビュー(188)件

既刊1巻

4.2

2巻まで読みました

私が20歳前後の頃、隣室に住んでいた友人の部屋が汚部屋でして、そいつの京都の田舎から野菜が送られてくるのですが食べきれないというのでよくおすそ分けに預かってました。
ガス代節約を兼ねて健康的に生でかじっていたのですが、イモ類は流石に生で食えないのでやるといわれても拒否ってたんですが、ある梅雨の日、そいつん家で湿ったダンボールを開けると中に紫色の触手の塊があって、よく見ると芽が伸びてシューティングのラスボスのような変わり果てた姿になったじゃがいもだったという、ソラニンというワードを聞くとそんな思い出が勝手に蘇ってきて切ない気持ちになります。

そんな思い出とは一切関係ないのですが、本作ソラニンは浅野いにおの出世作ともいえる作品です。
典型的なサブカル系なので、好きな人は好きですが、苦手な人は苦手だと思います。
宮崎あおい主演で映画化し、作中で出てきた楽曲「ソラニン」にアジカンが曲をつけて歌い、映画の主題歌となっています。
ちなみにソラニンというタイトルとした所以にはアジカンが関わっているというエピソードがあり、どこか因縁めいたところのある作品です。
その後新装版が発売されていて、追加収録された描き下ろしの追加エピソードがあるそうなのですが、そちらは未読です。
ただ、今のいにおと当時のいにおでは作風が変わっている感じがあるので、ちょっと読むのが怖いような気がしています。

社会への不満、将来への不安、大きな夢はあるにはあるが叶うわけがないと諦めている自分と、かといってサラリーマンにはなりたくない若者の葛藤、そしてすでにアディショナルタイムに入ってしまっているモラトリアムに対する焦りがないまぜになった作品です。
何を言っているのかわからないですが、そういうことです。
デザイン事務所のアルバイトをしながらバンド活動を行っている種田と、同棲中の彼女・芽衣子の物語です。
仕事にやりがいを見いだせず、社会への不満を抱える芽衣子は、ある日勢いで会社を辞める。
そして自らの才能を平凡と言って本気にならない種田に、芽衣子は「バンドをやってほしい」という思いを伝える。

サブキャラクターそれぞれにもエピソードがあり、内容は濃厚ですが、全2巻ですっきりとまとまっています。
名作です。名作なのですが、やはりサブカル色が強く、例えばストーリーを瞬間で捉えずに全体を読んでから「要するに~じゃん」という感想を持ってしまう人にはおすすめできません。
あと漫画あまり関係ないけどアジカンのソラニンは名曲です。

ソラニン

レビュー(458)件

完結・全2巻

4.2

3巻まで読みました

浅野いにおの短編集作品です。
収録されている作品はすべて同じ街の同じ世界の出来事として描かれていて独立しておらず、微妙につながったストーリーとなっています。
ただし、各話主役は別のキャラとなっており、各キャラのストーリーが他のキャラのストーリーに明確に関わっているわけではないです。
例えば、満員電車で潰されるサラリーマン、が立ち寄ったコンビニの店員、の元カノ、が学校で教えている生徒、が交差点ですれ違った冴えないオヤジ etc etc にもそれぞれに人生があり、ドラマがあって、そんなわりかしどうでもいいっちゃあいい短編作品19編が収録された全2巻。
よく読めば別の短編の主人公が、話によっては見切れレベルで登場していて、読んでいて「あれ?このキャラは確か」とか「このエピソードって見覚えがある」とか思います。そういったギミックの楽しい短編集と思います。

浅野いにおの初期作品はナウなサブカル系女子にバカウケする内容となっており、本作もその味が強いので、苦手な人は苦手な作品だと思います。私的には良かったです。
各話はその話内で一旦のけりがついていて、だけど生きている限り彼らのストーリーは続くんだと思いました。

一点、それまで漫画的表現はあれどもリアルな世界観でキャラクターは動いていたのに、最終話近辺で急にストーリーが超自然的になります。
死んだものが生き返ったり、神が登場したり、そういう締めなので、最後まで淡々と進めていってくれたら良かったのにと思いました。
伏線が無いでは無かったので、このラストはすべての結果として必然なのかもしれません。
でも今見返してもやっぱり唐突感あるなぁと感じます。意味も正直良くわからない。意味があるのかすらわからない。
そういった意味とか考えずに楽しめる方、あるいは解釈をするのが好きな人には特におすすめの作品です。
話によっては真に理解に苦しむものもあるのですが、それも包括して楽しめる方におすすめします。

素晴らしい世界

レビュー(144)件

既刊3巻

この漫画家が好きな人におすすめ

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