吉田秋生さんの作品の書影

吉田秋生

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994

4.8

記録

BANANA FISH

レビュー(406)件

完結・全19巻

4.3

19巻まで読みました

泣ける

BANANA FISH

レビュー(406)件

完結・全19巻

4.3

鎌倉に住む3人姉妹 (香田幸・佳乃・千佳) の父 (浅野) が死に、葬式のため父が再々婚した相手 (陽子) と暮らした山形へ赴いた佳乃と千佳。
だが、既に離れて暮らしてから15年以上会っていない父を、2人は父と思うことができなかった。
2人はそこで父の再婚相手との子、三姉妹の異母妹である浅野すずと出会う。
葬儀の場で相続の話となり、駆けつけた幸と陽子のおじ、陽子で話をするが、陽子は頼りなくあぶなっかしい雰囲気である、その一方ですずは気丈で、年齢の割にしっかりしているが、3姉妹には彼女が無理をしているようにも思えた。
そんな折、幸はすずに、父の世話をしてくれてありがとうと言葉をかけると、すずは堰を切ったように号泣する。
鎌倉に帰る三人は、プラットフォームですずに、鎌倉に来て一緒に住まないかと誘い、すずはこれを即答で快諾する。
そして、鎌倉での4人姉妹の新たな共同生活が始まる。

一巻の一話がそんな感じでのスタートで、以降は、主に鎌倉での日々が続くものになっています。
終わり無く続いていくようなストーリーで、4人姉妹を中心に、失恋したり、大事な人が亡くなったり、遠い親戚が現れたり、恋愛したり、進級したり、家族が増えたり、普段の生活で当然のように起きるドラマチックな事件が述べられており、日常を扱ってはいますがいわゆる日常系ではなく、少しづつ変化する人々の生活を描いた作品です。

吉田秋生さんの作品は、本作の他はBANANA FISHしか読んだことがないので、銃とドラッグと歪んだ少年愛にまみれた斯の作品と比較すると、テーマが全く異なっていて驚きました。
人の死が描かれることはありますが事件性のあるものではない自然的なもので、殺人や、ましてやそれを隠匿するようなシーンは出てこず、描かれているのは一般の人々の行動の範囲内です。
すずの同級生だから少年は出てきますがゲスな親父に金で買われて犯されるようなシーンは、当然ながら無いです。
ただ、他の吉田秋生作品とクロスオーバーしており、ラヴァーズ・キスと世界観を共有しているそうなので、ラヴァーズ・キスもそのうち読んでみようと思います。
また、四姉妹が綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆、広瀬すずというキャストで実写映画化していますが、こちらは監督の是枝裕和の描く世界観が個人的に苦手なのと、原作である漫画作品は非常にできが良くスッキリした気分で読み終えたため、映画で原作のイメージを壊されそうなため倦厭しています。

本作、とても面白かったです。
少年サッカーや法事や恋愛など、普通に一般の人が経験することですが、どう取材したんだろうと不思議になるくらい複雑な事情が自然にストーリーに溶け込んでいてすごいと思いました。
私もサッカー経験者ですが、当時を思い返すと、意識していたわけではないまでもこんな感じだったような気がするなぁと思います。
長女は看護婦、次女は金融業に勤めており、専門性が高い上、その業種の性格上街の人々と会話するシーンが多く、その中でさらに人同士がいろんな形で関わっていて、そしてストーリーが進みます。
そのあたり、小さな街の普通の日常なのに、非常に情報量が多く、壮大なストーリーだと思いました。

非常に良かったですが、子供の名前で走馬と書いてランマと読ませるのはキラキラネーム過ぎるのではと思いました。

海街diary

レビュー(156)件

既刊9巻

3.9

1巻まで読みました

BANANA FISHのサイドストーリー集。
「本編より以前の話」と「終わってから数年後の話」をメインに、5編収録されています。

本作より前にBANANA FISH本編を先に読んでおく必要があります。
あくまで、本編のスペシャルサンクスとなっており、本作だけでは楽しめないです。

本編が楽しめた人にはおすすめですが、一方で止めを刺されたというか、終わったことを確認させる内容になっています。

・ANGEL EYES
ショーター・ウォンとアッシュ・リンクスの出会いが描かれた作品。
相変わらず腐ってますが、ザワークラウトの如く爽やかに腐ってます。
この2人がその後、「あんな別れ」をすることを思うと複雑な気持ちになりました。

・光の庭 THE GARDEN WITH HOLY LIGHT
本編後の作品。英二とシン・スウ・リン、そして日本人の女の子が主役です。
本短編集のメインとなる作品で、本作を持ってBANANA FISHは改めて終わりとなります。
本編ラストの出来事を英二が、そして読者が受け入れるための短編だと感じました。

・PRIVATE OPINION
アッシュ・リンクスとブランカの出会いが描かれた作品。
割りとハードな内容になっていますが、マービンとアッシュ間の出来事や、ゴルツィネに飼われていたアッシュの日々を補足するものとなっており、本編で匂わす程度にしか描かれなかったアッシュの生々しい過去が描かれています。
本作は本編中のブランカの回想になっていて、今英二と共にいるアッシュと、暗黒の時代だったアッシュの対比が物悲しさを感じる作品です。

・うら・BANANA
本編終了後のあとがきとして描かれたものになります。
本作だけは他の作品と違って、キャラ崩壊ありのお遊びになっています。
私も英二と一緒に日本に来たアッシュが見たかった。。

・Fly boy, in the sky
英二と伊部さんの出会いの話。
NYを舞台とした鉄火な内容ではなく、スポーツ少年とカメラ好きな青年が、お互いに刺激し合う平和な話になっています。
BL的要素も本作においては薄いです。
個人的にはそれほど印象に残らない作品です。本編の英二とはどこか違っているようで、やはり英二はアッシュと一緒じゃないとしっくりこないというか。
BANANA FISH登場人物の過去話ではありますが本編と繋がりはあまりないので、本作に関してはBANANA FISHのサイドストーリーというよりも、別個の一作品として見たほうが良いかと思います。

Banana fish another story

レビュー(81)件

既刊1巻

4.5

11巻まで読みました

子供の頃に読んだ記憶があるのですが、内容を全く覚えておらず、近日アニメ化するそうなのでレンタルで読み直してみましたが、子供が読んで理解できるような内容じゃありませんでした。
洋画のギャング映画のような骨太なストーリーです。

1973年 ベトナム戦争。アメリカ兵のグリフィンは突然暴走し、同部隊の兵に銃を乱射し死傷させる。
マックス・ロボはグリフの足を撃って暴走を止める。イカれたグリフィンは「バナナ・フィッシュ」という謎の言葉をつぶやく。
時が変わって、ダウンタウンのストリートキッズのヘッド、アッシュ・リンクスは、コルシカ・マフィアのボス、ゴルツィネの指示で襲われ、瀕死の状態となった男からペンダントを託され、「バナナ・フィッシュ」という言葉を伝えられる。
「バナナ・フィッシュ」は、廃人となったアッシュの兄グリフィンが譫言のように呟く謎の言葉だった。
アッシュは「バナナ・フィッシュ」の秘密について、調査を開始する。

アッシュ・リンクスの「バナナ・フィッシュ」を巡る戦いの物語なのですが、作中様々な勢力、企みを持った人物が利害関係を結び、あるいは敵対し、利用し利用され、場面が休む暇なく切り替わっていくので、気合を入れて読まないと理解が追いつかなくなります。そのハードな世界感が本作の魅力だといえます。
ストーリーは重厚ですが、理解が追いつけばページを捲る手が止まらなくなり、夜更かししてでも読み切ってしまう作品です。

感想を書く上で触れない訳にはいかない部分として、本作は若い女性のレギュラーキャラが皆無で、当たり前のようにゲイが登場します。
登場人物は野郎だらけで、男が男の身体を眺めて発情するのが本作の世界では常識なので、そちらの趣味の方にもうってつけだと思います。
主人公のアッシュは圧倒的なカリスマとIQ180以上の頭脳、そして冷酷な性格と金髪碧眼の並外れて整った容姿を併せ持っているのですが、子供の頃にレイプされ以降男娼として雇われていたという、この作品がベツコミに少女漫画として連載されていたというのが信じられないような過去を持っています。
仲間に囲まれながらも、研ぎ澄まされたナイフのように鈍い光を放って生きてきたアッシュが、取材のためにカメラマン助手としてダウンタウンに訪れた奥村英二と出会うシーンは、本作の本当の物語の始まりだと思います。
奥村英二は本作のもう一人の主人公で、アッシュが唯一心を許せる相手となるのですが、アッシュと英二の関係は友情以上、恋愛以上です。
本作のストーリーは、「バナナ・フィッシュ」よりもこちらのほうがメインだと思いました。ストーリーの骨組は「バナナ・フィッシュ」ですが、本作はアッシュと英二の物語なんだなと。

ラストは衝撃的です。
それがいい意味でなのか、それとも悪い意味でかも含めて、一読をおすすめします。

BANANA FISH 文庫版

レビュー(64)件

完結・全11巻

3.5

2巻まで読みました

2021.3

吉祥天女

レビュー(18)件

既刊2巻

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