会長 島耕作

弘兼憲史

3.36

1352

発刊:2014.01.23 〜

完結・全13巻

kioさん、他2人が読んでいます

この漫画のレビュー

5.0
4.0
3.0
2.0
1.0
3.36

22件の評価

4.2

13巻まで読みました

株式企業の会長を主人公に据えた珍しい作品です。
『島耕作シリーズ』としては七作目で、"社長島耕作"の直接の続きとなります。

内容は前作に引き続いて真面目でファンタジー色はなく、タイトル通り、"会長"という仕事をこなす島耕作の日々が描かれています。
そもそも"会長"という役職は、社長までとは違い、組織によって役割が異なります。
会長の仕事内容なんて、正直なところイメージすらついてなかったのですが、本作の会長は、一般的な日本企業の会長職となっているようです。
本作の"会長"が、どの会社の"会長"とも同義であるとは思いませんが、一つの会長の姿、会長の仕事内容として、勉強になりました。
ちなみに、本作で会長は社長の上位に置かれた職制となっており、社長を退いた方が会長のポストにシフトするようです。
会長は、企業経営に注力する社長をサポートする役割となっていて、実務を行う社長に代わり対外的な活動がメインとなっています。
本作の島耕作も、活動内容は経済連や、幅広い分野での視察がメインで、TECOTの事業促進のため、また日本経済を発展させるために働いています。

社長に国分圭太郎を据え、自分は会長となった島耕作の、相変わらず多忙な日々が描かれます。
"会長"なので、カスタマー向けのトラブル対応等、実務に忙殺されるシーンはなく、在任期間は会社の不祥事で頭を下げるようなシーンもないです。
大勢のサラリーマンが胃を痛めながら対応しているような業務は描かれないので、ビジネスマンのバイブル的意味合いは低くなってるかなと思います。
ただ、農業、漁業、エネルギー問題、酒造り、ゲノム編集から岩手のILC推進計画まで、幅広い分野を学習し、事業計画に組み込もうと目をランランとさせる島耕作の活力は衰えを感じさせませんでした。
事業だけではなく、本作では総理大臣とコネクションを持ち、経済連に加入し、日本経済再生をすべく財界活動も行います。
各業界の問題点、課題点を学び、ビジネスチャンスに切り込む内容でした。
これまでの島耕作の活躍を楽しめた方は、引き続き楽しめると思います。

本作では過去に登場したキャラクターのその後が登場したのも特徴的でした。
樫村の息子やチャコママ、三郎丸と結婚後の高市千鶴、退職後の今野輝常等が再登場し、明るい話ばかりではなかったですが、懐かしさを感じました。
また、学生島耕作で学生運動にのめり込んでいた東北沢が登場します。
本作から読む方はいないと思いますが、"学生島耕作"も含め読んでいた方が楽しめると思います。

ただ、政治的な内容が多く、作者の思想が若干感じられます。
私は例によってですが、政経部分は理解が追いつかず、読み飛ばしながら読んでました。
ILCは未来的な建造施設が好きなので興味を持って読んでましたが、政治部分は議論がある様子ですね。
そのため、読む場合、鵜呑みにせず、一意見として受け止めることをおすすめします。

ラストは、とある事情から相談役の万亀健太郎が退陣、自身が相談役、国分が社長に就任します。
新社長は伏線なく登場した気がしましたが、スピンオフが先に出ていたらしいです。
次回作は"相談役島耕作"ですが、相談役の仕事内容とか想像もできないので、引き続き楽しみです。

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