3巻
音楽家だということしかわからない父親を捜し出すため、日本に来た花音(かのん)。その彼女の前に、亡き母と親交があったと思われる音楽家のひとり、沢浩基が姿を現す。彼はヨーロッパで活躍中のバイオリニストで、帰国は5年ぶり。指揮者の三神(みかみ)とも競演することになっていた。沢と対面した花音は、思わず「父さん」と呼びかけるが、彼はひどく動揺した面持ちで、その場を逃げ出してしまう。その様子に、花音は自分は望まれないで生まれてきたのではないかと思い悩む。そんな彼女を本当の父親のように慰め、抱きしめる三神。だが実は、沢は花音の父親ではなく、その動揺の影には、意外な秘密が隠されていた…。