『ルックバック(1)』巻の書影
ななごんさん、他2人が読んでいます

この漫画のレビュー

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1382件の評価

4.2

1巻まで読みました

チェーンソーマンの藤本タツキ氏の長編読み切り作品。
コミックス全一巻で完結です。

ある小学校の学年新聞で4コマ漫画を担当していた少女「藤野」と、同じくマンガを描いていた不登校の少女「京本」が主人公。
マンガを描くのが趣味で、面白いマンガを描ける自分を誇りに思っていた藤野は、京本の画力の高さにライバル意識を持ち、毎日必死で絵の練習をします。
小学校卒業の日、京本の家に卒業証書を届けに行った藤野は、そこで初めて京本に出会い、二人は一緒にマンガを描き始めます。
二人のペンネームで描いたマンガを投稿し、受賞した二人でしたが、京本は美術の学校に通うためマンガを辞め、藤野は1人でマンガを描き始める。
そんな折、京本の通う美術大学に刃物を持った男が押し入り、学生を大量の殺害するという事件が発生します。

そこからは妄想なのか、後悔の想いが見せた幻惑なのか、はたまたパラレルワールド、時間移動なのか、現在と過去が交錯するストーリーとなります。
その解釈は明言はなく、読者次第なのかなと思います。
現実とifの世界が描かれ、タイトルのルックバック(振り返る)という意味につながる感じがしました。
私的には、シンプルに出会うべきでないタイミングに出会ってしまったのではないか、別の出会いがあればこうなっていたのではないかという意味のないタラレバを考えてしまう悔恨の物語と捉えています。

なお、美術大学に押し入った男性の動機が物議になり、オリジナルから修正されるということがありました。
オリジナルでは「ネットに上げたアイデアをパクられたから」という妄想が動機で、京アニ事件を彷彿させます。
大きな事件があると、忘れたい人と忘れてほしくない人がいて、難しい問題だと思いますが、作者がその事件を思い起こさせるような内容にしたのはそうした意図があるのではと思います。
個人的にはオリジナルの事件があった上で『ルックバック』というタイトルに思いを込めたのでは、と思いました。

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