チ。―地球の運動について―

魚豊

3.89

33806

発刊:2020.12.11 〜

完結・全8巻

『チ。―地球の運動について―(1)』巻の書影
『チ。―地球の運動について―(2)』巻の書影
『チ。―地球の運動について―(3)』巻の書影
『チ。―地球の運動について―(4)』巻の書影
『チ。―地球の運動について―(5)』巻の書影
『チ。―地球の運動について―(6)』巻の書影
『チ。―地球の運動について―(7)』巻の書影
『チ。―地球の運動について―(8)』巻の書影
きよきよさん、他2人が読んでいます

この漫画のレビュー

5.0
4.0
3.0
2.0
1.0
3.89

1280件の評価

3.3

8巻まで読みました

思いを受け継いでいく主人公交代型の物語としては一定の面白さがありました。絵は下手の部類でもっと上手ければとは思いましたが。

この作品が最もスッキリしないのは、物語の根幹たる地動説への弾圧について、歴史的事実との齟齬はよく指摘される通りですが、P国やC教を匿名表記なのか、最終章で急にポーランド表記になったようにパラレルワールドな別世界としてなのか等玉虫色の予防線に終始する姿勢です。

終盤にキリスト教一部の個人解釈による弾圧が存在したことが、民衆にとって組織全体によるものと映る勘違いとなったという史実との擦り合せ仮説が出て来ます(ここもそれまでからすれば、外の情報が入らない地での箱庭世界な騒ぎだったといきなりスケールダウンなガッカリは否めませんが)。
しかし、それも一部の人間がやってたが記録には残してない弾圧はあったとする(これがおそらく作者さんの本音でしょう)のかとツッコミを恐れてなのか、最終章の史実世界を大人ラファウが登場する連続していないパラレルワールドだったと捉えられるようにさらなる逃げが用意されてます。
その様は作中の登場人物達が真理たる知を追い求めて、そのためには死をも厭わない生き様とは乖離しているし、そのまま作者さん自身への批判にも見えてしまいます。

歴史に詳しい人やキリスト教関係からの批判に対して、「歴史漫画なんだから、あくまで自分の考え(キリスト教関係者による迫害は前述の形でやはり存在した)を示しました」くらい作中で散々唱えられてる信念を発揮した方がまだ良かったように思えます。こんな窮屈になるなら地動説以外の別題材はなかったのかとも考えてしまいます。
色々論じながら最後は「知らんけど」で煙に巻くような悪い意味での若い作者世代を感じる作品でもありました。

うーむ...

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