この漫画のレビュー

5.0
4.0
3.0
2.0
1.0
4.29

375件の評価

5.0

2巻まで読みました

このレビューにはネタバレを含みます。

舞台はフィギュアスケート強豪国日本、その中で特に盛んな愛知県名古屋市。成功する選手の大半が小さな頃から始める中、主人公・結束いのりは母親に「フィギュアスケートがやりたい」と言い出せないまま、11歳になってしまった女の子です。その彼女が、こそっと忍び込んでいたスケートリンクで、金銭的な事情から同じく競技を始めるのが遅く、世界への切符にあと一歩届かなかった元選手・明浦路司と出会い、コーチになって貰うことから物語の幕が開けます。フィギュアスケートのノービスクラスを題材にした選手とコーチ、二人三脚で金メダルを目指すW主人公の熱くて涙溢れるスポーツ漫画です。
きちんと明言されているわけではありませんが、この作品には所々にいのりが発達障害であることを匂わせる描写があります。周囲にも親にさえも“出来損ない”と思われている彼女が、司という優しい大人と出会い、大好きなフィギュアスケートを懸命に滑ることで自信を取り戻していく姿が涙を誘います。純粋無垢なところが本当に魅力的で応援したくなるキャラクターですね。加えていのりのライバルとなる女子選手らもまた、それぞれがそれぞれにいろいろなものを背負って競技に挑んでいるので、敵味方関係なく「箱推し」になってしまう最高に熱い漫画です。
今のところ、何度も読み返しているほど大好きな名シーンは「名港杯 初級女子FS編」のブロークンレッグですね。いつも自信がなかったいのりがフィギュアスケート選手として変わり始めるところ、そしてその姿を見て涙を流すお母さんが胸を打ちます。
プロの漫画家さんの中にもファンを明言されている方がたくさんいるほど、今注目の作品なので間違いなくオススメします。

泣ける

5.0

2巻まで読みました

いのりのリンクに賭ける執念は。
ひたむきな想いは。
夢を追いかけている人。
夢を諦めた人。
夢を探している人 。
いずれにもド直球で響きます。
その熱に司は突き動かされ、その涙に僕の心は大きく揺さぶられました。

いのりにとってスケートは存在証明であり、自己表現であり、人生を懸けた夢でもある。
その熱量と情熱は読者を傍観者のままでいることを許さない。
いてもたってもいられなくなるんです。
僕は正直悔しいとさえ思いました。

彼女の夢に懸ける覚悟を前に、自分の覚悟の、想いの薄っぺらさを思い知りました。
僕は何をやっているんだと自分に対する怒りすら湧いてきましたよ。
対抗心をメラメラ燃やし、負けたくないと、真剣にそう思いました。

悔しいのは夢の残り火がまだ心の中に残っている証拠。
あの涙に、あの笑顔に、まんまと焚き付けられました。
諦めるのはまだ早い。
僕はまだリンクに傷跡すら残していないぞ。
内から沸き上がる衝動と情動を抑え切れません。

こんな気持ちがまだ自分に残っているだなんて夢にも思いませんでした。
この興奮と感動と高揚感をぜひ皆さんと共有、共鳴、共感、共体験したい。
この作品は本物です。
ガチのマジで令和一お薦めの作品です!

オオおおお!

5.0

2巻まで読みました

 例えば自分には何もないと感じたとき。何かをしたくてもはじめの一歩を踏み出せないとき。何かを成そうとして結果に結びつかなかったとき。休日をゴロゴロ過ごして日が暮れる頃に後悔してきたとき。本気を出せばこんなものじゃないと部屋の中を無我夢中で駆け回りたいとき。
 そんな日々の瞬間に「明日また頑張ろう」と立ち上がれるような力を、大人も子供も求めているのだと思う。
 『メダリスト』はそんな大人と子供のための作品だ。
 氷上で挫折したスケーター・司と何も持たない少女・いのりが、フィギュア王国・名古屋のリンクで巡り合い、「メダリスト」を目指し歩み出していく。物語としてそれ以上の説明はいらない。
 いつかの挫折が巡りめぐって誰かの支えになったり。踏み出した先が茨の道で、それでも歩みを止められなかったり。遠くなっていく光を追いかけたり、何度転んでも笑顔で立ち上がったり。そんな姿に心震わせ泣きそうになる自分にふと気づいてみたり。
 一見違う世界に生きる大人と子供の物語に惹かれるのは、それが誰もが通ってきた道で、誰もがこれから経験するに違いない道だからだと思う。
 物語は序盤も序盤。今から読んでもすぐに追いつける。追いついてからページをゆっくりと閉じ、「明日また頑張ろう」という勇気が湧いてくるのを是非その身で感じてほしい。
 個人的には狼嵜光ちゃんがイチ押しです。

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