対ありでした。 ~お嬢さまは格闘ゲームなんてしない~

江島絵理

3.80

2516

発刊:2020.06.23 〜

既刊6巻

鈴木さん、他2人が読んでいます

この漫画のレビュー

5.0
4.0
3.0
2.0
1.0
3.80

36件の評価

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鈴木

sus9s
4ヶ月前

5.0

勝ちたすぎて泣きながら格ゲーする少女たち。
前から好きな作家さんだったのだが、これは文句なくマスターピースになるのでは?
この人の美点って、エモーショナルさを取り扱うことへの迷いのなさ、だと思っていて、マンガに極太の矢印でも書き込まれているかのような迷いのない感情の導線設計はここに極まっている。
格ゲーならではの大仰なターム…「一生○○してくる(実際には数分であることが多い)」「小学生なんだ こいつは」…も感情のピークを飾る言葉として絶妙に機能してくる。
主人公が自分が格ゲーをする理由というのをいろいろ自分なりに考えて語ったりするのだが、それに対するライバルの子の言葉には震えた。


"…キラッッキラがどうとか!!! 命が燃えるのがどうとかっ……!!!
キモいし意味わかんない自分語りを聞いてあげたんだから対戦してくださいよ!!!
対戦しろ!!!"


この一言でスポコンものとかきらら日常系もののクリシェを遥か後方に追いやってしまった。でもこれは装飾を引っぺがした本当の言葉だよなって思う。理由なんて後付けだ。

"小学生なんだこいつは
だから思いどおりにいかないと泣くし──明日のことは考えてない
"今" 勝つことがすべて
……ああ そうだったな あの頃は
明日のためじゃなくて なにかのためじゃなくて

理由(わけ)もないのに全力だった"


この「全力だった」に「勝ちたかった」とルビが振られているのだが、なんかもうそれが全てでいいんじゃないかって思える。ちょっと客観的な視点から格ゲーマーの面白おかしさを描く、みたいなことだったら面白いとは感じなかったかもしれないけど、その内にある情熱、"勝ちたさ"がきわめて高い熱量で刻み付けられているから、心を揺さぶられるんだろうな。

六巻にて描かれる一戦は、格ゲーマンガを新たな領域に引き上げたものとして末永く語られることになるはずだ。

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