この漫画のレビュー

5.0
4.0
3.0
2.0
1.0
3.39

58件の評価

4.1

8巻まで読みました

2002年に書かれた滝本竜彦氏の小説を原作にしたコミカライズ作品。
ただし、原作小説準拠なのは序盤のみで、中盤からオジリナルキャラやオリジナル展開の比重が大きくなります。
作品自体も、(原作も大概ですが)ダメさがパワーアップしている感じがあり、原作小説とは別の楽しみ方ができるコミカライズだと思います。

原作小説の装丁は『NieA_7』や『灰羽連盟』などの安倍吉俊氏ですが、コミカライズは別の方が作画しています。
作画担当である大岩ケンヂ氏の作品を読んだのは初めてですが、女の子は可愛く、オタク青年は薄暗く描けており、個人的には本作の雰囲気的に、コミカライズするなら安倍吉俊氏よりもあっていると感じました。
オリジナル部分も面白く、良コミカライズだと思います。

原作小説既読ですが、読んだのが昔のためだいぶ忘れている状態で読み始めました。
地元北海道より大学進学のために単身上京したが、その後中退し、親からの仕送りを受け取ったまま4年間ひきこもり生活を続けているニート青年「佐藤達広」が本作の主人公です。
対人恐怖症で、人と対面すると妄言を吐き散らして止まらなくなる習性を持つ佐藤の家に、ある日、宗教団体の勧誘が訪れます。
テンパってわけがわからないことを叫び暴れる佐藤に恐れをなした宗教勧誘の女性2人連れは逃げ出すのですが、その1人「中原岬」は、佐藤をひきこもりから救うため、「プロジェクト」を遂行します。
詳細のわからない「プロジェクト」を進める岬に言われるがままカウセリング的な何かを行われる佐藤だが、ある日、同じアパートに住む後輩の「山崎薫」に、一緒にクリエイター(エロゲー作る人)にならないかと誘われる、という内容です。

作者のひきこもり経験を元に書かれただけあって、オタクの妄想逞しい内容となっています。
対人恐怖症のひきこもりニートに美少女がつきまとったりすることはないですが、本作ではエッチでかわいい等身大の美少女が"言い訳だらけで行動しない男"である佐藤につきまといます。
ただ、佐藤くんの性根は腐りきっているので、岬ちゃんの献身的な介護(?)にも関わらずグダグダした日々を暮らして、自殺サークルに巻き込まれたり、ゲームを作ってると言いつつ何もしていなかったり、実家に引き戻されて反省するもやっぱり何もしなかったりします。
一方の岬ちゃんも結構アレな人種で、全体的にめんどくさい人たちがアレヤコレヤでスッタモンダするストーリーとなっています。

サブキャラクター同士が実はつながりがあって、サブキャラクター同士の裏のストーリーで感情の変化が起こり、佐藤や岬、山崎に影響を与えるような展開があり、非情にうまいと感じました。
また、ご都合主義のような始まり方ですが、トントン拍子に展開はせず、かなり迷走します。
ラストも、簡単にはハッピーエンドにしてくれない感じを受けました。
ニートのひきこもりのところに美少女がやってきて幸せなキスをして終了みたいな展開だとあまりにも痛々しいので、本作の終わり方は個人的には良かったと思います。
ただ、それでも都合が良いと思わせる決着となっているので、現実を直視せずN・H・K(日本ひきこもり協会)の陰謀に巻き込まれてしまったガチ勢にはおすすめしづらい作品です。

1

この漫画を読んだ人におすすめ

Loading ...
Loading ...