おおがらす さんのレビュー

売れた理由は…タイトル8割、サスペンス1割、エロ1割。
非現実的な出会いから、ファンタジーのなか旅をするふたり。目的は「蟹を食べること」
旅の果てにたどり着くリアル(現実)での、ふたりの選択は？！

……と、思ったら最後までファンタジーだった。
クライマックスに驚きが欲しかった。
最後の巻は蛇足。

「イノサン」の続編。前作の主人公シャルルの妹、女処刑人マリー-ジョセフ=サンソンの血に塗れた華麗なる生涯。
女性をエンパワメントする物語！！
前作同様、やはり「裏ベルサイユのばら」でありマリーは「裏オスカル」なのだ。(ベルサイユの数々のエピソードとアンドレの存在など、作者も狙って描いている)
身分、環境、性別、因習、家族……みずから手を汚し闘うヒロインは何にも縛られない。ここまで自由なヒロインは初めて。
惜しむらくは作者が男性であること。女性から発信される物語であってほしかった。

まさに令和の「裏ベルサイユのばら」！
18世紀のフランスで処刑人の家に生まれたシャルル-アンリ・サンソン。「死神」と蔑まれる過酷な運命に抵抗するも、周囲は彼に自由を許さない…
悪意はなく使命によってひとを殺す「無垢(innocent)=イノサン」なるシャルル。
彼と妹マリーを中心に展開する血に塗れた壮大なる大河ドラマ。やがてベルサイユは革命の動乱に突入する…
絵の精密な美しさ。内容のドラマティックな濃密さ。
素晴らしいのひとこと。

見た目が怖い底辺男子校の男の子と、お嬢様女子高の女の子のピュアなラブストーリー
絵柄もストーリーもキャラデザも「昭和感」がすごい！けど令和の子供にとっては新しいのかもしれない。
鬼滅の刃の時もそう思ったけれども。
時代が一回りして、また戻ってきたらしい。

全てのコマが４コマ＋丸々１コマ。映画を観ている感覚、または主人公がスマホで撮った映像(?)を、撮る側に立って見ている感覚。
「映画を撮ろうとする人の物語」はいくつかあるけど、藤本タツキの場合は単純な入れ子ではなく多重構造になっていて、リアルとファンタジーの境目がしばしば無くなる。
今回も魅力的！

ネグレクトの母親から妹を守る小学生の主人公。遊園地の観覧車に乗っていたとき落雷が落ち、気がつくと目の前に女の死体。彼自身も別人になっていて…
スピーディな展開で手に汗握るサスペンス。
5巻の最後はナレーションベースで終幕……
打ち切り？
面白かったのに、残念。

競技ダンスとBLの、奇跡の融合！！
ダンスの詳細な知識と作画センスが留まるところを知らない！
BLだけど、性愛描写はほとんど無いので、抵抗がある人でも大丈夫かと。むしろ読まないのは損。互いを求めてやまぬふたりの破滅的で究極の純愛。

パッと見、ブラックな笑いの短編集かと思いきや、女性差別や人種差別、いじめ、パワハラなど、どの物語も昨今の重要な問題点を鋭く突いている切れ味の鋭さ。
関東大震災の朝鮮人虐殺を描いている商業作品を初めて見た。商業作家としてはとても勇気がある…すごい！
ただ、エンタメとしてはどうか？敬遠する人も多そう。人を選ぶ。

「記号」ではなく、ちゃんと「生きてる」リアル感ある女子高生たちの面白かる〜い群像劇。
絵がめちゃエロかわ、なのに会話が軽妙でエロ過ぎず、ひとつひとつの話が短いので、サッと読める青春ギャグ漫画としても面白い！！

欲をいえば、もう少しエロを控えめにして、ギャグを増やして欲しいかなー

デビュー作以来、作品を書けない小説家のもとに、昔の彼氏の訃報が届く。彼の死には8人の女が関わっていたらしい。作家担当の編集は、謎を解けば小説家のスランプ打開につながるはずと行動を起こすが…
男の情けなさと醜さ、女のズルさとしたたかさをこれでもかと描く正統派サスペンス。
「普通の人間」を全く美化しない深くリアルなドラマ。このまま実写ドラマになっても遜色ない素晴らしい脚本。

「君に届け」で、爽子のライバルポジにいた、拗らせ美少女「くるみちゃん」が主人公。
相手を試しちゃうし、自分で自分のことが嫌い…
なぜこんなに可愛いくてアタマ良い子が自己肯定感低くなってしまうんだろね、謎。

とにかく、くるみ(梅)ちゃんがかわいいので
お年頃の女の子、男の子にぜひ読んでほしい！

超々少子化の未来日本。子供が厳重に保護され「若さ」が何より優先する世界。全寮制の学園のなかで……同級生に殺されかけた三田くんは「サンタ」として覚醒する？！
身体は大人、心は子供！子供の願いは絶対にムゲにできぬ。ゆがんだ子供たち、邪悪な大人たちと闘うサンタクロース、降臨！！

元ボクサーのトレーナーxプロボクサー
主人公がポクシングと出会ったとき強烈に憧れた相手。その選手は引退した後、ボクシングジムで彼のトレーナーになった。
二人三脚でトレーニングするうちに、長年の想いが抑えられなくなり…
他人には無愛想な主人公が、唯一、好きな相手にだけは身も心も全て捧げる姿が健気。エモさしかない設定とドラマが胸に迫る。

防衛大の学生同士のラブコメBL。
高校から片想いの相手を追いかけ防衛大に入学した主人公。軍隊のような厳しいカリキュラム、生徒は男だらけ。群がる虫を追い払おうと人知れず頑張るが…
潜水艦になぞらえる風呂内でのボ◯キなど、軍隊ネタギャクに爆笑！笑いもあり、ときめきもあり。
この作家さんには珍しくエロはほぼ無しなので、性描写苦手な方はおすすめ。

エリート銀行マン同士のマウント取り合いBL。
仕事で終電を逃した翌朝、ホテルで目覚めると同期のライバルが上に乗って腰を動かしていた。社内では仕事の火花を散らすふたりだか、それ以来、意識し始めて。

仕事してる感、がすごくリアルだし、何よりスーツ男を描くのが上手い！
デキる男同士のデレ少なめケンカっぷる。良いです！

「別垢で作ったメンヘラ垢でかまってちゃんするのか！？政治家ネタを意味もわからないまま右から左へリツイートしてエセ社会派を気取るのか！？さあ貴様の夏休みはどれだ小山門出18歳53キロ！！」
ガチガチに厨二感で固まった陰謀論まみれで楽しくてグロテスクな日常。血しぶきをまち散らして駆除される侵略者たち。人類の残り時間はあと1か月、だからどうした、大好きな友達と過ごす日常こそ最強！
……やっぱ浅田にいおは天才

最初の兆候は、朝起きると時間が数日単位で飛んでいることだった。ある日、自分の部屋から覚えのない多額の現金と切り落とされた耳を見つけて…
本格サスペンス！過去の連続殺人と主人公の二重人格、次から次へと起こるハプニングに翻弄され、読む手が止まらない！
作画力も脚本のテンションもどんどん上がって凄いことに。映画を観終わった感覚、茫然自失。

大学の軽音サークル新入部員xサークルの先輩
自分の性的指向に疑問があった主人公。思い切ってゲイ風俗の店に入った。しかし彼を迎えた店のスタッフはサークルの憧れの先輩で…

大学軽音サークルの雰囲気が凄くよく出てるし、女の子も(BLには珍しく)普通に出てくる。絵がめちゃくちゃ上手くて表情がとても良い。
お話は良くも悪くもリアル。

耽美かつ美麗な絵に敷居の高さを感じるけど、読んでみれば百合風味の普通に面白い学園青春もの。
お姉様のストイックで美しきオーラと主人公の素直で前向きな快活さがよい。
これから本格的に百合方面に進んでゆきそうで期待高まる！