藤本タツキさんの作品の書影

藤本タツキ

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作品数:6

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6,332

4.4

1巻まで読みました

チェーンソーマンの作者、藤本タツキ氏の22歳から26歳ごろに描いた短編が4作収録された短編集です。
本作の2ヶ月前に発売された"17-21"と併せ、藤本タツキ氏の初期の短編集となっています。

収録作の解説は本作もなく、実際の執筆時期も不明です。
各作品の最期のページに三行程度の解説、というかなんだろう、作者の所感的なものが書いています。
また、あとがきに代えて若い日のタツキ氏の罪の告白が書かれていて、作品自体とそれらの文章から、独特な世界観を持った方なんだなということが伺えました。
日常から少しずれた当たり前の非日常を感じさせてくれる短編集だと思います。

各作品の感想は以下の通りです。

<人魚ラプソディ>
海の中に設置されたピアノを弾くのが好きな男の子と、人魚の話です。
人を喰うこともある人魚と、人魚伝説を恐れる漁村で暮らす人間たち、それはそれとして息の続く限りピアノを弾くことが人魚だった母との唯一の繋がりと感じる男の子の話で、とてもキレイな話と思いました。
ただ、人魚が胎生なのか卵生なのかだけがどうしても気になってしまいます。

<目が覚めたら女の子になっていた病>
タイトルの通り、"目が覚めたら女の子になっていた病"という不治の病にかかってしまった、元・男の子の話です。
勢いがすごい話です。
ただ、メッセージ性を感じるのですが、正直なところ何が言いたいのかがよくわかりませんでした。
体が女の子になってしまい、精神も女の子になってしまうか否か悩むトランセクシャルな物語なのかもと思います。
ただ、作中"セックス"の連呼が激しく、やりたいざかりの若者(作者)の滾りそのものなのかなと思いました。

<予言のナユタ>
若干ファンタジーが入っている作品です。
主人公の妹「ナユタ」は、やがて世界を滅ぼすと言い伝えられている、呪いの角のある少女です。
ナユタは小動物を食いちぎり、虐殺して、不吉な言葉だけを話し、周囲から恐れられています。
その唯一の理解者である兄は、ナユタを庇い幼い頃から働いて彼女を養ってきたが、そんなある日の物語です。
世界を相手取っておいてすごく家庭的なオチがタツキ氏らしいと感じました。

<妹の姉>
姉の全裸の絵画で金賞受賞した妹の作品が、事もあろうに二人の通う美術学校に張り出されてしまうという作品。
無駄にエロくて素晴らしいです。
本誌掲載時にはカラーだったそうで、私も是非カラーで読みたいものだと思いました。

藤本タツキ短編集「22-26」

レビュー(290)件

完結・全1巻

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