寺沢大介さんの作品の書影

寺沢大介

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164

3.3

4巻まで読みました

週刊少年マガジンに連載され2000年に完結した『将太の寿司』の13年越しに描かれた続編。
掲載誌は週刊少年誌ではなくイブニングに変わっています。
一応、青年誌に移動しましたが、特に内容が過激になったとかはなく、むしろ旧作の方が過激な寿司マンガでしたね。
人ならざる技を身に着けた寿司職人たちがしのぎを削った前作に比較すると、荒唐無稽度は比較的大人しくなったように思います。

主役は、旧作主人公たちの2世です。
北海道小樽の実家の寿司店を継いだ関口将太の店に、佐治安人と柏手の安、武藤鶴栄が訪れます。
現役寿司職人として腕を振るう将太に、全日本寿司協会の会長になって欲しいという打診をするためだった。
だが、まだ修行中だという将太はその誘いを断り、息子の関口将太郎を育ててほしいと、佐治の店に託します。
彼、関口将太郎が主役の一人ですが、佐治の店となった鳳寿司には、もうひとりの将太、佐治の息子、佐治将太がいました。
基本的には佐治将太がメインのストーリーですが、中盤スポットが将太郎にもあたり、W主人公という形でストーリーが進む構成になっています。

基本に忠実で、寿司調理の常識を崩さない関口将太郎と、自分の信じる調理法の方を信じる佐治将太。
考えの違う二人の若い寿司職人は序盤、対立しますが、店にフランス人寿司職人のダビッド・デュカスが来店したことをきっかけに、日本の寿司を世界にしらしめるため佐治将太はフランスに渡ります。
フランスで現地の人向けに作られた不思議な寿司を学び、文化の違いがあれど日本の寿司を味わってもらうために奮戦する。
一方で、日本ではデュカスが銀座で立ち上げた寿司店「GENESIS」が盛況となり、常識を打ち破った寿司に対峙した将太郎たちが、寿司の未来を思う内容となっています。

主人公たちも含めて異能者的な寿司職人は登場しません。
また、旧作では寿司を食べたおじさんたちはみんなアヘ顔で絶頂してましたが、今作は審査員のリアクションもそこまで大げさではないです。
フランスの風土、習慣を元に、彼らに受け入れられる"日本の寿司"を模索する、比較的まっとうな寿司マンガで、普通に楽しんで読めました。
タイトルこそ"将太の寿司2"ですが、過去作からキャラは引き継いだ上で別タイトルの新作としてしまった方がよかったのではと思います。

巻数は短く全4巻。おそらく打ち切り終了となったようです。
序盤から旧作のキャラや設定が引き続き登場し、終盤では過去作キャラたちの二世が続々と登場します。
そのため、旧作を読んでいる必要はありますが、終盤の寿司選手権は個人的には微妙に思いました。
それよりもフランスでの将太の活躍がもっと読みたかったので、そこが残念でした。

将太の寿司2 World Stage

レビュー(14)件

完結・全4巻

4.3

17巻まで読みました

『将太の寿司』の直接の続編。
若い寿司職人「関口将太」は、前作で新人寿司コンクールに優勝し、続く全国大会への出場権を獲得します。
本作はその全体国大会が描かれていて、全国の並み居るライバルたちとしのぎを削って、日本一の寿司職人を目指す話になっています。

鳳寿司の面々や百目の辰など、登場キャラはほぼ続投します。
東京大会の審査員として武藤鶴栄がおり、本作でも客観的に観てどう考えても将太を狙ったような難題が提示され、将太を苦しめる展開です。
また、前作序盤で将太の先輩寿司職人として登場していた佐治安人がライバルとして登場します。
意地の悪い先輩職人だった佐治は、厳しい修行の末、"絶対味覚"という奥義を身に着け、将太の前に立ちふさがります。
その他のキャラも、目にも止まらない包丁技・必殺かまいたちを操る職人、0.01gの狂いなく寿司を握る「神の右手」を持つ職人などが登場、金にものをいわせてとんでもない妨害をしてくる笹寿司チェーンと、料理人キラー・武藤鶴栄の無理難題に立ち向かいながら、ライバルキャラたちに寿司勝負を挑みます。

前作もツッコミどころが多かったですが、本作はそれに輪をかけて愉快な寿司マンガになっています。
全国の名店から寿司職人が集まる大会になっていて、新人寿司コンクールだったのにいつの間にか新人は関口将太だけになります。
そもそも将太より5年もキャリアが上の佐治が登場する時点で矛盾していますが、序盤は一応、理由付けられたキャラもいて、15年のキャリアを持つ大年寺三郎太は、実際に店で働いた経験は少ないため新人という設定でした。
ただ、その15年間は寿司職人してなければ何をしていたのか語られず、単なる全国のお寿司屋さんが集まって技術を振るう大会ではない、異様さが本作にはあります。
「神の右手」、「絶対味覚」、「必殺かまいたち」など、職人たちの技ももはや人間を超越していて、大念寺も"真冬の海に5分間素潜りをしてタコを捉える"、"電車にはねられたその日にアンコウを解体する"など、常人を超えています。
マンガなので当然誇張表現はあるのですが、かなり凄まじい寿司バトルを繰り広げるので驚きです。

また、審査員のリアクションも本作で爆発します。
お寿司を口に入れた途端に「はへー!」だの「うほっ、うほほぅ」だの「どおーーッ」などと叫びながらアヘ顔を晒します。
普通に美味しそうにお寿司を食べていた前作から一変、ミスター味っ子的なリアクションになり、大量の汗と鼻水滴るおじさんのドアップ、恍惚な表情を浮かべてイッちゃってるおじさんのドアップが続くので、まったくおいしそうにみえない、むしろ汚いというデメリットがあり、超人たちの人知を超えた戦いとおじさんのアヘ顔という激しい寿司マンガになっています。

一方で関口将太は比較的真っ当な寿司知識で勝負しています。
前作同様、例えば、"イセヒカリ"というコシヒカリの変異種、超レアな高級魚「シロシブダイ」など、知らなかった知識が登場するのは興味深かったです。
ラストはすべて大団円で終わっていて、途中中だるみもなく最後まで楽しく読めました。
更に続編がありますが、無印から全国大会編への内容の変化を考えると、少し読むのは怖い気がします。

将太の寿司 : 全国大会編

レビュー(35)件

完結・全17巻

4.3

26巻まで読みました

90年代中期、週刊少年マガジンで"金田一少年の事件簿"や"MMR"などの人気連載作品と同時期に連載されていた料理マンガ。
厳密には本作の次回作も含む形になりますが、マガジン第1次黄金期と第2次黄金期にまたがって連載されていたため、全盛期のマガジンを知っている方は誰しもが知っているタイトルですね。

週刊少年誌には珍しい寿司職人を目指す少年「関口将太」が主役です。
将太の実家は北海道の寿司店・巴寿司を営んでいますが、そこには大型寿司チェーン店・笹寿司の店舗が広がっており、個人寿司店は難しい状況だった。
その上、笹寿司は巴寿司を始めとした他の寿司店への執拗な嫌がらせを行っており、将太もまた学校で笹寿司社長の息子「笹木剛志」から嫌がらせを受けていたのだが、そんな折、「寿司握りコンテスト」の話が飛び込んでくる。
笹寿司の嫌がらせでネタが集まらないため、父は船に乗り、直接ネタの仕入れに向かうが、笹寿司の謀略によって船が転覆し大怪我を負ってしまう。
父のかわりに寿司を握った将太の寿司を食べた、東京・鳳寿司の親方「鳳征五郎」は、将太の寿司を評価する。
一人前の寿司職人となるため将太は、鳳寿司で修行するべく東京へ向かう、というストーリーです。

基本的に一話完結型で、寿司のテクニックや職人としての心構え、注意点などを絡めて、人間ドラマが展開する内容です。
中盤はトーナメント方式の『寿司職人コンクール』編が長く続き、コンクール終了後も辛辣な評論家「武藤鶴栄」が難癖をつけ、それに対抗する寿司を作るようなストーリーが多く、寿司職人としての成長の物語というよりも料理対決ものとしての側面の方が強いです。
なお、作者の寺沢大介氏といえば、アニメ版で美味しい料理のリアクションが激しいことで有名な「ミスター味っ子」が代表作ですが、本作では寿司を食うと口内が発光するようなエフェクトはないです(近いものはありますが)。

北海道の収穫時期の異なる鮭・ときしらずや、浅草海苔が絶滅危惧種であること、鯛の稚魚カスゴや、高級なドジョウ・アジメドジョウなど、寿司、特に魚に関する知識が多く登場します。
実在するまさかの食材によって勝利を収めるシーンも多くて、そういった知識も楽しめる良作です。
ただ、主人公も含め登場人物にクズが多く、ほぼ毎話のように嫌がらせが入ります。
ストーリー序盤から、主人公の父親はライバル寿司店によって殺されかけ、以降も後遺症に苦しみますが、以降も割りとそんな感じなので、意外にバイオレンスな寿司マンガだと思います。
あまりの嫌がらせの多さにギャグかと疑うときもあるのですが、それも含めて面白く、テンポはよくて読みやすい作品です。

将太の寿司

レビュー(52)件

完結・全26巻

3.0

カツ丼が美味しそう

ミスター味っ子

レビュー(24)件

完結・全10巻

5.0

26巻まで読みました

全27巻

将太の寿司

レビュー(52)件

完結・全26巻

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