大正時代、金も名誉も家族も捨てて、恋に走った女がいた。26歳上の石炭王に嫁入りした「金で買われた伯爵令嬢」こと煌子(きらこ)は、歌人として名を成し、ついには7歳年下の弁護士と駆け落ち。新聞を通じて悲惨な結婚生活を暴露し、女性の自由と権利を求める女として世間から賞賛される。だがそこには隠された真相があった…。
誰もが認めるおしどり夫婦の奈津美と明雄。まだ小さな息子の雄一と3人で、幸せな毎日を送っている。奈津美は父から継いだ動物病院で働く獣医。造り酒屋の実家を飛びだした明雄は、建築家になり奈津美の家に住んでいる。だがある日、そんな夫婦のところへ明雄と同い年の従兄弟・雅人が転がりこんできた。仕事もしないでブラブラしているという彼は、しばらくの間、居候をさせてもらうと言ってきた。嫌な顔をする明雄とは逆に、奈津美はマイペース。けれども、幸せそうな2人が気にいらない雅人は、明雄を5千万円の借金の保証人にして行方をくらませてしまう。ガラの悪い連中に押しかけられ、途方にくれる2人だが…。