ボリス・ヴィアンの小説『うたかたの日々』を原作にした、岡崎京子によるコミック。雑誌「CUTiE」の連載(1994年~1995年)後に、著者がプロローグ、ラストを描き加え、全体に加筆修正したもの。 <p> 「ちょっとした財産もち」のコランと軽やかで美しいクロエ。ふたりは盛大な結婚式を挙げるが、そのすぐ後、クロエは肺に「睡蓮」が巣食うという奇病に侵される。治療費のために破産に追い込まれながら必死に看病するコラン。だが、クロエは日に日に衰弱していく。そして、ある作家の偏執狂的コレクターのシックとその恋人アリーズ、コックのニコラなど、周囲の人々の人生も深刻な様相を呈していく。 <p> 原作ともども、この作品の魅力のひとつは、残酷さと無邪気さをあわせもつ幻想的な描写の数々にある。恋するふたりを包む、熱くてシナモンシュガーの味がするバラ色の雲や、土から生えてくるたくさんの銃身、そして、クロエの胸から伸びて咲く睡蓮の花…。原作を知る人にとっては違和感をおぼえる場面もあるかもしれないが、彼女の目をとおして、ていねいに描かれたヴィアンの世界を、特に前半は、ただ楽しみたい。後半に入ると、破滅へ向うコランたちの姿が現実をぎりぎりのところで生きる岡崎作品の登場人物の姿と重なり、物語は一気に走り出す。 <p> 凝った装丁も、本書をより魅力的なものにしている。白い箱から真っ赤な本を取り出せば、表紙には睡蓮の花。しゅるりと勢いよく伸びるその姿は、恐ろしくて、美しい。(門倉紫麻)
DV、レイプ――18歳のほのかを襲う、苦難の日々。「あそこにはもう絶対に戻りたくない!」行き場を失った彼女が辿り着いた先は、ソープランド!すべては“本当の幸せ”を掴むために――。異色シンデレラストーリー、開幕!
「ガラスの仮面」だけじゃない!! トラウマ少女ホラーがふたたび。美内すずえの真骨頂、 「オカルト少女マンガ」が、美麗なカラー原画とともに、大判サイズでよみがえる…。 運命に招かれるように、とある女子校に転校してきた長谷部涼子。 新しいクラスの窓際の前から4列目の席は、なぜかいつも空席で、そのことについて先生やクラスメイトは固く口を閉ざしたままだった。 ある日、忘れ物を取りに放課後の教室へ戻った涼子は、例の席に見知らぬ少女が座っているのを目撃。 それを境に身の回りで不可解なできごとが頻発するようになる。 じつは彼女には5年前に学校で死んだ少女・小森小夜子の霊が取り憑いていたのだ――(「白い影法師」)。 表題作の「13月の悲劇」ほか「白い影法師」「孔雀色のカナリア」の3作を収録。 さらに、貴重な原画資料を掲載した巻頭グラビア、著者本人によるセルフ解説文、そして"あのトラウマシーン“のポスターを収録!!