午前3時の不協和音

ねむようこ

3.61

3885

発刊:2012.05.08 〜

完結・全1巻

『午前3時の不協和音(1)』巻の書影
うにたべたいさん、他2人が読んでいます

この漫画のレビュー

5.0
4.0
3.0
2.0
1.0
3.61

86件の評価

4.0

1巻まで読みました

『午前3時の無法地帯』、『午前3時の危険地帯』のスピンオフ短編集。
収録作は5編で、各話主人公が異なる形式です。

<ガゼルのたてがみ>
主人公はP-DESIGNの営業・輪島です。
本作だけ、執筆時期が『~無法地帯』終了後、『~危険地帯』開始前で、そのため『~無法地帯』内のできごとがネタになっています。
よく当たり散らしているが、実は気が弱い輪島は、ある朝、既に退職した元女性社員・由香のにらみつけるような目を夢に見て目覚めます。
その後、街で偶然、由香に出会い、気にし始めるという展開です。
恋までは発展しないものの組み合わせが意外でおもしろかったです。

<empty heart>
宮下の元カノ・アキホと、P-DESIGNのデザイナー・田辺のスピンオフ。
こちらも組み合わせが意外に感じました。
というか、田辺は、そういうキャラがいたことは覚えていますが、名前があったのかレベルの認識しかなかったです。
地味なキャラに映りましたが、本作でようやくスポットライトがあたったように思います。
アキホも、本編では悲惨な役柄でしたが、本作でなんとなく救われた感じがしました。

<大人の事情>
真野さんと堂本のスピンオフ。
『~危険地帯』内であったできごとの裏話的な内容です。
短編だし、展開は非常に王道、だけどこんな"仕方ない"から壊れるもんだよね、という話です。
最終的にはハッピーエンドとなりますが、ご都合主義的なところが強かった気もします。
ご都合主義なハッピーエンドが好物な私としては、本書収録作内で一番好きな作品です。

<ウェディングマーチ>
怪人パンツ男・瀧と、『~無法地帯』で職場連れ込みがバレた瀧の友人のスピンオフ。
急に結婚の話を持ちかけられ、人生に悩み始めた瀧が、ある日、乗ったタクシーの中で不思議な経験をする話です。
オチはありますが、珍しく神秘的で、世にも奇妙な物語系の展開となっています。
ラストはシリアスですが、ギャグテイストも強い作品で、異色感があります。

<きのうと今日とそれから>
ももこと多賀谷、たまこと宮下、過去2作それぞれの主人公カップルを主役にした作品です。
その後のそれぞれが描かれていて、ほんわかした内容です。
終了した少女漫画で一緒になったカップルは、その後、破局を迎えるのかもしれない、それは作者にも読者にもわからないことですが、少なくとも『~無法地帯』と『~危険地帯』2作の2組は、ずっと一緒に続いていくのだということを感じられる作品でした。
『きのうと今日とそれから』が2012年なので、もう続編はなさそうですが、こんなブラックな会社は幸い(?)現在も存在しているので、変わらないままさらっと続編が描かれたら嬉しいなと思いました。

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