この漫画のレビュー

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1.0
4.17

1405件の評価

4.6

10巻まで読みました

ある晩、頭部を置き換えて全身を乗っ取り人を捕食する性質を持つ、謎の生命体が空から飛来する。
主人公の高校生「泉新一」もまたその寄生生物に乗っ取られようとしていたのだが、右手から侵入してきた生命体に気づき、固く縛ることで寄生を逃れるが、生命体は頭を乗っとこることに失敗した代わりに右手が置き換わってしまう。
そうして、右手の寄生生命体「ミギー」と新一の共生生活と戦いの日々が始まるストーリーです。

1995年完結のアフタヌーン連載マンガで、今となってはかなり古いマンガです。
ただ、知らない人はいないほどの有名作で、現在も語り継がれる名作です。
ドラゴンボールやスラムダンク等と並び、日本を代表するマンガ作品の一つだと思います。

単に新一がミギーと共に他の人に害を与える寄生生物(寄生獣)と戦う話ではなく、人の活動の不合理性や、寄生獣目線での思想が語られます。
例えば、ミギーは人を食わなくても、新一から栄養を分け与えられることで生命活動を維持することを発見します。
つまり、人食いは必須ではなく、人と同じように活動し、人と同じものを食べることで生きることはできます。
それでも寄生獣たちは人を食うことを前提に活動します。
その理由は語られませんでしたが、ある寄生獣は、「人には天敵がいない状態のため、際限なく個体数を増やすことができる。そのためやがて人で溢れてしまう。その時、寄生獣に感謝する日が来る」ようなことを述べます。
ですが、人は人を食い殺す生き物の排除に動きます。
寄生獣から見れば人が豚を食うのと変わらない、つまり、豚から見れば人こそが寄生獣であるはずなのに、と。

物語は"人間"と"寄生獣"の立場で語られますが、新一は人と寄生獣の両方を宿す中間的存在であり、平凡な高校生であるはずの新一が、人の考え、寄生獣の考えに頭を悩ませ、それでも家族や友人、恋人を守るため戦うストーリーです。
バトル描写が多いですが、哲学的なところがあります。
また、浅薄で人間らしい新一と、合理的で冷徹なミギーのコミカルに感じるやりとりも魅力です。
二人の関係性は、作風は全く違いますが、のび太くんとドラえもんに近い印象を受け、それだけにラスト間際の展開は心揺さぶられました。

名作ですが、ハリウッドが原作権を保持していて、結局映画されずに権利元に戻った関係上、20年近くメディアミックス不可の状態でした。
2014年に、アニメ化、国内で実写映画化しましたが、両方評判が非常に悪いです。マンガ版のみを読むことをおすすめします。

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