サラリーマン金太郎五十歳

本宮ひろ志

3.28

268

発刊:2015.07.17 〜

既刊4巻

『サラリーマン金太郎五十歳(1)』巻の書影
『サラリーマン金太郎五十歳(2)』巻の書影
『サラリーマン金太郎五十歳(3)』巻の書影
『サラリーマン金太郎五十歳(4)』巻の書影
いかさまさん、他1人が読んでいます

この漫画のレビュー

5.0
4.0
3.0
2.0
1.0
3.28

11件の評価

4.2

4巻まで読みました

サラリーマン金太郎シリーズ4作目。
前作の"新サラリーマン金太郎"ラストで、怪童社立て直しの後、警察に連行され社長を退陣しました。
本作も引き続き金太郎の活躍が描かれますが、過去シリーズ同様、前作までのエピソードは一旦クリアにした新シリーズとなります。

タイトルの通り、50歳になった金太郎が主役です。
いろんな業界に殴り込み、八面六臂の活躍をして去っていく金太郎ですが、本作では一貫して電力会社の話となっています。
連載された2015年、2016年は東日本大震災から4,5年後、東北は奇跡の復興を行っている最中、福島第一原発も廃炉に向けて作業が続けられているところです。
復興に目を向けている状況下で、皆が忘れたい原発の廃炉作業を描いた作品で、これまで以上に社会に訴えかける内容だと思います。

3年の放浪の後、日本に帰ってきた金太郎は、中村加代の口添えで、電力会社の平社員として入社することになる。
同時期、秋田六区で当選した代議士「伊達三郎」が登院します。
両者同じく暴走族上がりの二人はやがて手を組み、金太郎は電力会社側から、伊達は政治側から、原発問題に取り組むという内容です。

電力会社内部の腐敗、政治家との癒着を批判し、目隠しされた目前に迫っている危機を詳らかにして、できうる対処を誠実に行う展開です。
過去にも、マネーウォーズでは投資の、出版業界立て直しの際にはIT関連の専門分野での情報が突破口となっていましたが、本作でも原子力発電所がメルトダウンするとはどういうことなのか、専門的な用語が飛び交います。
例によってすべて理解することができませんでしたが、作品を書く上で作者がどれだけ丁寧に取材してきたかが内容が伝わってきました。
読む人が読めば粗もあるのだろうと思いますが、知識を持たない私的には、行動に説得力を感じました。

ただ、本作は政治批判、電力会社批判の臭いが強く、作者の主張を感じます。
何が正しいかはさておき、本作で描かれていることは一つの考えであり、公平な目で読む必要があると思います。
また、過去作でもそうでしたが、本作でも最後まで解決を見届けることなく、金太郎は去ってゆきます。
道標はできており、これから先はもう安心であるというところまで描けているので、中途半端に終わっているというわけでは無いのですが、賛否は出ると思います。
個人的にはもう少し長く続けて欲しいと感じましたが、だらだら続けて駄作にするよりかは、ここまで描ければいいというところでピリオドを打つのも一つかと思いました。

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