この漫画のレビュー

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3.0
2.0
1.0
3.64

26件の評価

4.5

4巻まで読みました

『ヤング島耕作』から始まるイブニング連載の島耕作シリーズ三作目。
本作ラストで課長に出世し、『課長島耕作』に続くので、一旦は本作で一区切りとなります。

『常務島耕作』と『専務島耕作』に続いて過去編にあたる本作を読んでみましたが、サラリーマンとして仕事に忙殺される日々のイメージとしてはこちらのほうがつきやすかったです。
社会の構成員として、企画・営業をして売上に貢献し、粉骨砕身、土日も夜間もなく仕事に打ち込む姿は、モーレツなバブル期のサラリーマンそのものという感じでした。
そのせいで家庭を蔑ろにしてしまい、妻からは疎ましく思われ生活にストレスを感じるなど、悲しい一面もリアルに感じます。
本作あたりがいわゆる普通にサラリーマンが読んで頷ける内容ではないかと思いました。

本作では序盤に「庭」という男が島耕作の上司になります。
彼が、非常に不遜で、島耕作に無理な仕事を振り、成功したとなると一転その手柄を横取りします。
本作に限らずですが、そういう上司を悪くも言わず、島耕作はニコニコとして自分の仕事をこなすので、(後々失脚するのですが)スカッとはしませんでした。
状況的になるべくしてとどのつまりそうなったという感じで、島耕作が「やられたらやり返す、倍返しだ!」というセリフと共に、嫌な上司を罠にはめるような展開はないです。
嫌なこともうまく受け流す対応をしますが、読んでいて上司の胸ぐらの一つくらい掴んでやりたい気持ちになります。
そういう意味で、島耕作の処世術は参考になると思いますが、嫌なことが次々起きるもぐっと堪えるマンガを楽しめるかは人それぞれな気がします。

ちなみに、作中ではベータとVHSがデファクトスタンダードを争う、いわゆるビデオ戦争が行われます。
VHSが勝利するのですが、その要因の一つとして有名な、VHSではアダルトソフトが充実していたことに島耕作が一枚噛んでいたという面白い展開があり、興味深く読めました。
ディズニーランドが開園し、ファミリーコンピューターが登場するなど、ノスタルジーも感じる一作でした。

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