ちはやふる

最後がこうじゃなければな…

登場人物全員が愛おしい。読者の自分も本当に彼らと共に青春を過ごしているような錯覚に陥り、読み進めるのが勿体無くて切ない。

カルタに恋の争いの要素を含めつつ、千早の熱に触れるたび次第にその恋が単なる恋としての一面が薄れ、もっと高尚な何かに変化していく様が繊細に描かれている。
「手に入れたいものほど手放す」
カルタという勝負においても、恋愛という勝負においても、始終このテーマが一貫してて良かった。今まで知らなかった哲学。もちろんその後の「必ず取ると勝負に出る」も含めて、何かを極める人間の哲学というのは惹かれる。競技のラインを超えて人生の哲学にもなる。

千早の情熱、新の情熱、太一の情熱…普段なら泣かないであろう場面でも彼らの情熱に当てられると涙が止まらなくなる。周防名人も若宮クイーンも全力で応援したい。
ちはやふるというスポ根漫画は本当に漫画が上手い、上手すぎるとしか言えない。人の情熱はこんなに美しく燃え上がるものなのか…と目が離せない。終わりを想像すると既にロスがくる。

2022.7.16