ゆき子のホウレン草

フレデリック・ボワレ

78

既刊1巻

『ゆき子のホウレン草(1)』巻の書影

ゆき子のホウレン草のあらすじストーリー紹介

   フランスのマンガ表現「BD(ベーデー)」と日本のマンガのフュージョンを模索する、東京在住のフランス人フレデリック・ボワレ。彼の現時点での実験成果の1つ。「NHKフランス語会話」テキストでの連載の加筆・修正版である。2つの異なる言語が出あうことで生まれたユーモラスなタイトルは、本作に漂う日仏ない交ぜの不思議な感覚を端的に表している。 <p>   日仏の交感が生み出した本作は、日本人女性とフランス人の青年の私的で詩的な恋愛風景を描く。写実的で繊細な絵で映画的に紡がれる2人の関係。直接的な性的描写が頻出するにもかかわらず、静謐(せいひつ)とした、たたずまいがある。そんな作風には、日本のマンガとフランスのBDの共通項、親和性、そして微妙な差異が魅惑的に浮かび上がる。 <p>   本作には、ボワレが「感銘を受けた」と表明する、福山庸治とやまだないとがゲストとして作画に参加している。ボワレの、日仏のマンガ文化の交流をめざす姿勢は、このような遊びの部分にまでよく表れている。日々の営みを淡々と描くことで、軽やかに国境線を飛び越えようとするボワレの試みに、ぜひ一度触れてみてほしい。(横山雅啓)

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